メキシコのミシェル・フランコが脚本賞*カンヌ映画祭2015 ⑨2015年05月28日 11:55

           ミシェル・フランコの第4作目はアメリカ映画

 

メキシコのミシェル・フランコの第4Chronicは残念ながら英語映画、製作国はアメリカ、キャストもアメリカ人なら撮影もロスアンゼルスでした。そんなわけでメキシコとの関わりは監督だけなのですが、脚本賞を受賞しましたので、少しご紹介。1979年メキシコ・シティ生れの監督、脚本家。2009Daniel & Anaでデビュー、「監督週間」で上映されました。第2『父の秘密』2011Después de Lucía”)が、カンヌ本体の「ある視点」部門のグランプリを手にしたこともあって劇場公開されました。

 

★『父の秘密』は、娘をいじめたクラスメートへの親の一種の復讐劇ですが、父親は怒りのあまりある一線を越えてしまう。本当のイジメはあんな生易しいものではないのかもしれませんが、観客は不愉快さで爆発しそうになる。復讐がテーマではないのですが、最後の5秒ぐらいで観客は唖然となる。このシーンのために撮ったのではないかと思ったくらいでした。当ブログでも記事をアップしております。『父の秘密』の記事はコチラ⇒20131120

 

       

             (脚本賞を受賞したミシェル・フランコ)

 

★第3A los ojos2013)はストリート・チルドレンを巻き込む臓器売買の物語。モニカは路上生活者を援助する団体で働くソーシャル・ワーカー、臓器移植をしないと命がない眼病の息子を抱えている。それがタイトルになっている。本作は姉妹のビクトリア・フランコとの共同監督、子供の臓器売買というショッキングなテーマだけに2年に及ぶ丁寧な取材、撮影にもじっくり1年半もかけて撮ったという。今メキシコにあるメキシコの現実を描いているようです。老舗グアダラハラ映画祭を凌ぐようになったと言われるモレリア映画祭2013で上映されました。モニカ役にモニカ・デル・カルメン、『父の秘密』で教師を演じてましたが、マイケル・ロウ監督にカメラドールをもたらした”Año Bisiesto / Leap Year” 2010のヒロインを演じた女優。カンヌに衝撃を与えた本作は、うるう年の秘め事の邦題でラテンビート2011で上映されました。ヒロインを演じたということで映画館に出向いた母親が娘のすっぽんぽんにショックを受けて寝込んだという映画。

 

Chronicは、フランコ監督がティム・ロスを主演に迎えて、初めて英語で撮った映画。自宅での終末医療が題材になっており、テーマとしては万国共通。アイデアは2010年に鬼籍入りした祖母と数ヵ月間、一緒に過ごした体験から生まれた。「なるべく死のことを考えないようとしていました。しかし死は身近にあり、誰でもいつかは向き合わねばならない。映画は死を深化させるにはアートとして優れているということが分かりました」と監督。本作もコロンビアのセサル・アセベドの“La tierra y la sombra”同様個人的な痛みが動機、死は人間を思索的にしますね。「最初、看護師は女性に設定しましたが男性に変えました」。男性看護師と言えばポール・トーマス・アンダーソンの群集劇『マグノリア』のフィリップ・シーモア・ホフマン。こちらも自宅療養中の末期ガン患者の看護師でした。

 

            

                       (カンヌでのティム・ロスとフランコ監督)

 

★医学の進歩とともに自分の最期を選べる時代になりつつある。別の世界に入ろうとしている人の介護は孤独な仕事かもしれない。患者を怯えさせることなく細心の注意をはらって恐怖心を和らげてやることが求められる。『父の秘密』同様、フィナーレに衝撃が待っているようです。脚本賞受賞、英語映画とくれば、多分来年あたり公開されるのではないでしょうか。

 

                 

                                   (“Chronic”から)

 

★カンヌでのメキシコ映画は、最近ではカルロス・レイガダスに始まってアマ・エスカランテと、好き嫌いは別として話題を提供している。今年はコロンビアが目立った年でしたが、国際舞台でのラテンアメリカ諸国の活躍は歓迎すべきことです。今回は米国映画でしたが、フランコ監督は気になる存在、こんなに早く英語で撮るとは思っていませんでしたが。アカデミー賞2015の外国語映画賞にノミネートされたアルゼンチンのダミアン・ジフロンの次回作は英語、A・アメナバルJA・バヨナも英語です。イサベル・コイシェにいたってはずっと英語だし、そのうち若手中堅を問わず英語一色になるかもしれない。英語だと「商談」がやりやすいから。

 

A・アメナバルのスリラーRegressionの記事はコチラ⇒201513

 出演:エマ・ワトソン、イーサン・ホーク他。
 配給はユニバーサル・ピクチャーズ、アメリカ公開8月28日、スペイン公開10月2日。
 公開前にサンセバスチャン映画祭で上映が決定。

JA・バヨナの『怪物はささやく』(仮題)の記事はコチラ20141213

 出演:リーアム・ニーソン、シガニー・ウィーバー他


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