「批評家週間」のグランプリは”Paulina”*カンヌ映画祭2015 ⑤2015年05月23日 11:43

           La tierra y la sombra”も新人賞を受賞

    

★ラテンアメリカ勢が大賞を独り占めするなんて。カンヌ本体と並行して開催される映画祭だが、ノミネーションが7作と少ないせいか21日の夜に早々と受賞作品が発表になりました(本体は24日)。アルゼンチンのサンティアゴ・ミトレPaulinaLa patotaがグランプリ、コロンビアのセサル・アウグスト・アセベドLa tierra y la sombraが作品賞とSACDを受賞、今年はスペイン語映画が気を吐きました。

SACDLa Société des Auteurs et Compositeurs Dramatiques 優れた映画・演劇・音楽・舞踊などに与えられる賞のようです。2012年にスペイン出身のアントニオ・メンデス・エスパルサの“Aqui y alla”が受賞しています。同年のサンセバスチャン映画祭で上映、さらに東京国際映画祭2012ワールド・シネマ部門で『ヒア・アンド・ゼア』(西≂米≂メキシコ合作)の邦題で上映されました。

    


★「受賞を誇らしく思い本当に幸せにひたっています。(ディレクターの)シャルル・テッソンや審査員の方々すべてに感謝の気持ちでいっぱいです。私たちの映画にこんな大きな賞を与えてくれて、私やこの映画に携わった一同にとって今日は重要な日になりました。また観客と一緒に自分たちの映画を見ることができ、映画がもたらす観客のリアクション、エモーションを共有できました。・・・映画を作ることは信念がなければできません。この映画のテーマはそのことを語ったものです。パウリーナのような特殊な女性を通じて、信念について、公平について、政治について語ったものです」(ミトレ監督談話の要約)

 


★第1作『エストゥディアンテ』(2011)は政治的な寓話でした。本作のテーマは信念、自分の行くべき道は自分で決めるという選択権についてでした。1960年版の“La patota”と時代は違いますがテーマは同じということです。

 

「批評家週間」のディレクターのシャルル・テッソンがノミネーションの段階でサンティアゴ・ミトレの映画を褒めていたので、もしかしたら何かの賞に絡むかと期待していましたが、まさかグランプリを取るとは思いませんでした。監督の喜びの第一声がテッソンや審査員への感謝の言葉だったことがそれを象徴しています。(写真下サンティアゴ・ミトレ監督)
 

                                          

★今年の審査委員長はイスラエルの女優&監督のRonit Elkabetz だったことも幸いしたかもしれません。「主人公が多くのリスクにも拘わらず、体を張って自分の意志を貫こうとする姿に強い印象を受けた」と授賞の理由を語っています。

 

                        

                          (La tierra y la sombra”)  

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