オスカー賞2015外国語映画賞プレセレクション*アルゼンチンとベネズエラ2014年12月21日 15:25

★アカデミー賞2015外国語映画賞のプレセレクション9作品が発表されました(1219日)。当ブログで度々登場したダミアン・シフロンのRelatos salvajesWild Tales アルゼンチン≂西)と意外にもアルベルト・アルベロの『解放者ボリバル』Libertador ベネズエラ≂西)が残りました。ダビ・トゥルエバの“Vivir es facil con los ojos cerrados”(西)とアレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラスの『殺せ』(Matar a un homgre チリ≂仏)は残念でした。

                
               (ポスターをバックに監督)

                  

                  

              自分探しの旅が本命か

    

★今年は受賞歴なしというか初めてノミネートの国が多い印象です。本命とされている『イーダ』(Ida のポーランドも9回ノミネートと数こそ多いのですが、受賞歴なしです。『イーダ』のように自分探しの旅が戦後の歴史と重なる映画は、高齢化の進むアカデミー会員の好むジャンルです。いずれにしても、これから5作品に絞られ、受賞に辿りつくまでには山あり谷ありでしょう。

              

 
                         (右リカルド・ダリン)

            リカルド・ダリンはアルゼンチンのヒーロー

     

★人口4076万人のアルゼンチンで、入場者300万以上は『瞳の奥の秘密』(241万人)を超えますね。勿論オスカー賞を受賞してからはトータルで、3355万ドル(製作費200万ドル)の収益を上げたから比較になりませんが。アルゼンチンのアカデミー賞と言われる「スール賞」は作品賞、監督賞、主演男優(オスカル・マルティネス)、主演女優(エリカ・リバス)以下10部門を制覇するという、ゴヤ賞同様こちらも一極集中が恒例になりました(『瞳の奥の秘密』は13部門)。6話で構成されているので主演と言われても困るので一応受賞者名を入れました。

 

      

     (中央アルモドバル、エリカ・リバス、サングラスのオスカル・マルティネス)

 

★どのエピソードも出だしは平凡に始まるが、どれもこれも次第に信じがたい危険な展開になる。例えばエリカ・リバスが花嫁になるエピソード‘Hasta que la muerte nos separe’では、人生最大の幸せの結婚式が些細なやきもちからコントロールを失っていく。またオスカル・マルティネス出演の‘La propuesta’は、交通事故をお金でもみ消そうとするのは金持ちなら誰でも考えつく。強請りがエスカレートするのもお馴染みのコース、ところがさんざお金をつぎ込んだあげくに罪を償いたいと言い出されては困るでしょ()。若い監督が社会秩序を攪乱していく才能はハンパじゃない。とんでもない出来事もブラック・ユーモアのお蔭で深刻にはならない。監督と結婚したマリア・マルルは、カンヌではかなりおなかが目立っていたから生まれたかな。本作にはイサベル役で”Pasternak”に出演している。仮に最終5作品に残ることはあっても受賞はないでしょうね。

 

★『解放者ボリバル』はプレセレクション止まり、ゼロ回ノミネートでも映画発達途上国ベネズエラではそれなりの意味があります。かなり史実と異なっていても、祖国の英雄が世界に知られるのは、国民として誇りになります。(写真下、ボリバルになったエドガー・ラミレス)

 


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