第28回ゴヤ賞2014ノミネーション④2014年01月15日 14:09

脚本賞・脚本賞・編集賞ノミネート映画は作品賞・監督賞にほぼ重なるので、授賞式までに作品紹介をする予定のもの・ご紹介済みのもの(ゴチック体)を除くと、編集賞のLas brujas de Zugarramurdi1作となります。

 脚本賞

パブロ・アレン/Breixo Corralコラル 3 bodas de más

ダニエル・サンチェス・アレバロLa gran familia española

フェルナンド・フランコ・ガルシアエンリク・ルハス La herida          

ダビ・トゥルエバ Vivir es fácil con los ojos cerrados 

脚色賞

サンティアゴ・A・サンノウカルロス・バルデム  Alacrán enamorado

マヌエル・マルティン・クエンカ/アレハンドロ・エルナンデスCaníbal 

アレハンドロ・エルナンデス/マリアノ・バロソTodas las mujeres

ホルヘ・A・ララ/フランシスコ・ロンカル Zipi y Zape y el Club de la Canica 

 編集賞

アルベルト・デ・トロ3 bodas de más

パブロ・ブランコLas brujas de Zugarramurdi

ナチョ・ルイス・カピリャスLa gran familia española

ダビ・ピニリョス La herida

 

★ノミネート10個と数の多さでは2番目なのに助演女優賞以外一向に出てこないのがLas brujas de Zugarramurdiです。アレックス・デ・ラ・イグレシアの長編第10作目、ほぼ全作が公開かDVD化されるという人気監督、今年公開の次回作も完成してるようです。『みんなのしあわせ』(2000)、『気狂いピエロの決闘』(2010)など主要な作品賞に絡んだ年もありましたが、今回は撮影・特殊効果・録音など技術部門に集中しています。

 


*編集賞のパブロ・ブランコPablo Blancoは、アレックスのデビュー作『ハイル・ミュタンテ!電撃XX作戦』という邦題になったAcción mutanteでゴヤ賞1993にノミネートされています。エンリケ・ウルビスの『悪人に平穏なし』(2011)でゲット、ハイメ・チャバリの『カマロン』(2005)、バジョ・ウジョアのAirbag1997)でも受賞しており、未公開作品を含めると他にも優れた仕事をしています。このセクションは逸材揃いで混線模様です。

*撮影監督賞のキコ・デ・ラ・リカKiko de la Ricaは、1965年ビルバオ生れ、監督と同年同郷です。最初にタッグを組んだのが『みんなのしあわせ』です。この頃からメキメキ実力をつけ大作を手掛けるようになりました。『オックスフォード殺人事件』(2008)、『気狂いピエロの決闘』、フリオ・メデムの『ルシアとセックス』(2001)、昨年パブロ・ベルヘルの『ブランカニエベス』でゲットしました。ベルヘルの第1Torremolinos 732003)以来の信頼関係、連続受賞はないでしょう。今年はCaníbalのパウ・エステベ・ビルバPau Esteve Birbaと予想します。 

 

(写真:この中にパブロ・ブランコとキコ・デ・ラ・キカがいるかどうか?)

*ウーゴ・シルバ、マリオ・カサス、ペポン・ニエトの若手、最近のアレックス映画には顔を出すカロリーナ・バング、助演女優賞でノミネートのベテラン、テレレ・パベスの他、カルメン・マウラ、マリア・ブランコなど熟女総出演。

 

 イベロアメリカ映画賞

Azul y no tan rosa ベネズエラ=西、ミゲル・フェラーリ監督

El médico alemán. Wakolda『ワコルダ』 アルゼンチン==西=ノルウェー、ルシア・プエンソ監督

Gloria『グロリアの青春』 チリ=西、セバスティアン・レリオ監督

La jaula de oro メキシコ= 西、ディエゴ・ケマダ・ディエス監督

 

★昨年、大外れだったセクションなので予想は止めますが、『ワコルダ』が一番近いのでしょうか。こちらはラテンビート2013の作品紹介を参照してください。『グロリアの青春』は公開が決まっており、ラテンビートでは仮題の『グロリア』で上映されました。これもアップ済みです。

Azul y no tan rosaは、201211月ベネズエラ公開ですが、スペインは2013年なので今年になったようです。個人的にはこれが台風の目になる予感がします。ベネズエラは1990年代にはノミネートされることが多かったのですが、今世紀になってからはプッツリ、本作が15年振りのノミネーションだそうで当地は盛り上がっています。ファッション界のカメラマンとして活躍するゲイであるディエゴの物語。スペインに暮らす彼の10代の息子アルマンドはホモセクシュアルな父に反発する。テーマの一つが同性愛に対する社会の不寛容と差別、性転換や父と子の葛藤などもテーマなのでしょう。ベネズエラではややタブー視されているテーマに切り込んだ映画として評価され、観客動員数も封切り9週目223,000人、33週連続上映で50万人を突破したそうです。映像が素晴らしくスクリーンで観たい映画ですね。


 

(写真:ミゲル・フェラーリ監督)

ミゲル・フェラーリは俳優・脚本家、今回監督としてデビューしました。タイトルのazul(青)は異性愛、 rosa(ピンク)は同性愛を象徴しており、キューバの名作『苺とチョコレート』のベネズエラ版とか。物語の舞台がベネズエラとマドリードなのも有利に働くかもしれない。『ワコルダ』と『グロリアの青春』は、昨年のラテンビートで鑑賞済み、本作が受賞すれば今年のラテンビートは決まりだね(個人的すぎる!)。

 


La jaula de oroは、カンヌ映画祭「ある視点」、リマ映画祭(8月)、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティーノ部門」出品の他、昨年12月のハバナ映画祭にもコンペ外で上映されました。ディエゴ・ケマダ・ディエス監督デビュー作。キャリー・フクナガの『闇の列車、光の旅』のテーマに似ている。タイトルは「金の無蓋貨車」の意味、無賃乗車で豊かな「北」、アメリカを目指すグアテマラの少年たちの物語。
写真は
20135月のカンヌ映画祭にて、監督と出演の3人。

 

★次回は栄誉賞、落ち穂拾い。その後順次主要な作品紹介を致します。