アルモドバルとスペイン市民戦争*プラチナ賞2017授賞式2017年07月28日 10:05

       スペイン内戦の失踪者家族に捧げられたアルモドバルの受賞スピーチ       

      

★プラチナ賞2017監督賞を受賞したペドロ・アルモドバルの受賞スピーチの続きです。監督はトロフィーを「戦争中に失踪した人を今もって探し続けている何千何万という家族へ」捧げたという献辞の真意について簡単に説明したい。スペインは第二次世界大戦には参戦していませんから、戦争と言えばスペイン内戦193639)を指します。ざっと80年前の戦争です。プレス会見でアルモドバルは、「受賞作『ジュリエッタ』は、失踪した娘アンティアが母親に残した痛みについての物語」と語った。18歳になった娘の失踪の理由が理解できず、ずっと苦しみ続ける母親の話です。かつては夫の過去が許せず家を出た自分と娘をダブらせる話。失踪には死の臭いがただよう。「内戦の失踪者とタイプは異なるが、スペインでは失踪者を探し続ける家族は多い。自分の受賞スピーチは政治的な意味合いはなく、あくまでも人間的な要請から発せられたもの」と強調したようです。

 

    

   (受賞スピーチをするアルモドバル、マドリードのカハ・マヒカにて、722日)

 

★「ついこの間も、80年間閉められていた墓を掘り出したら、傷痕が幾つもある遺体が発見されたというニュースに接した」ことをあげ、内戦が終わっていない家族の存在を語った。「失踪者に関するテーマで映画を撮りたいと考えているが、相応しい脚本がまだ完成していない。それで生死が分からないとか、失踪者のいる家族に接触して取材している。スペインではこのテーマはとても重要だと考えている」とも。スペインにとどまらず、隣国ポルトガルは言うに及ばず、アルゼンチン、チリ、ドミニカ共和国、キューバ、パラグアイ、ペルーなど中南米諸国で軍事独裁を経験しなかった国はないのではないでしょうか。コロンビアやメキシコのように麻薬がらみの失踪者が現在も進行中のイベロアメリカ諸国が一堂に会したフェスティバルであってみれば、あながち唐突なスピーチでもなかったかもしれない。

 

       コミュニスト詩人マルコス・アナの回想録の映画化が実現する?

 

★アルモドバルは、詩人マルコス・アナの回想録 Decidme cómo es un árbol. Memoria de la prisión y la vida (バルセロナUmbriel 2007)の映画化権を2008年に取得している。当時スペインのランサローテ島で暮らしていたジョゼ・サラマーゴの序文が付いている。ポルトガルに初のノーベル文学賞をもたらした作家。どうやらこれと関係しているようです。まずマルコス・アナ(サラマンカ1920~マドリード2016)の紹介から。フェルナンド・マカロ・カスティーリョが本名だが、父親からとったペンネームのマルコス・アナで知られている詩人で作家。内戦終結後の1939年に19歳で逮捕された。容疑は内戦初期の1936年に司祭以下3人殺害の罪。本人は無実を主張したが、第一級殺人罪で死刑宣告、その後禁固30年に減刑され政治犯が収容される刑務所に収監されていた。1961年、設立されたばかりのNGOアムネスティ・インターナショナル、ラファエル・アルベルティやパブロ・ネルーダなどの海外の著名人の尽力によって自由の身になった。この獄中23年間を含む回想録が上記の本である。サラマーゴ、アルベルティ、ネルーダの3人は共にコミュニストでした。

   

       

                (回想録とマルコス・アナ) 

   

★アルモドバルは、『抱擁のかけら』完成後に、計画中の映画4本ほどを挙げていた。その中にマルコス・アナの回想録の映画化も入っていた。しかし2年おきに新作を発表しているのに一向に具体化せず、もう中止したのかと思っていました。というのも詩人も鬼籍入りしたことだし、冤罪ではないというフランコ支持者も多くいるなかで、映画化は難しいのではないかと考えていたからです。当時アルモドバルは「1939年に出所してからの詩人を描くことから始めたい」とインタビューに答えていた。詩人がアルモドバルに、「自由の身になってマドリードに放り出されたとき、私は42歳の幼児だった。痛みは肉体的なものより精神的なほうが辛かった。長いあいだ暗くて狭い空間に閉じ込められていたので広場恐怖症になり、灯りが怖く、車に乗ると酔って嘔吐した。同じように若い女性たちの存在にも慣れることができず、子供のようなリアクションをした」と告白していたそうです。

 

   

           (アルモドバルとマルコス・アナ、2014328日)

 

★映画化が決まったわけではありませんが、詩人のプロフィールを簡単に補足すると、父親は貧しい日雇い労働者、4人姉弟の末っ子としてサラマンカで生まれた。家計を助けるため12歳か13歳で店員として働き始めたから、日本でいう義務教育を最後まで受けられなかった。16歳で共産党に入党、19364月に結成された統一社会主義青年JSU193661)というスペインの共産主義青年同盟に加入している。内戦が始まると前線で戦い、内戦終結後の1939年に19歳で逮捕されたのは、上記の通りです。 

      

                     (フェルナンド・マカロ・カスティーリョ青年)

 

      

 (ラファエル・アルベルティとマルコス・アナ)

 

★刑務所内の巡回図書でスペインの古典、ケベド、ロペ・デ・ベガ、カルデロンなどに触れ、1950年代には禁書だったラファエル・アルベルティ(当時亡命)やミゲル・エルナンデス(1942年肺結核で獄死)、ガルシア・ロルカ(1939年射殺)などを、反フランコの地下組織を通じて入手して読んでいた。獄中で書き始めた詩は海外で出版され、スペイン国内より外国での知名度が高かった。それが釈放に繋がったようです。1961年釈放後はパリに脱出、スペインに戻ったのはフランコ死後の1976年である。200912月、社会労働党のサパテロ政府からゴールド・メダルを授与されたが、勿論フランコ支持者からは非難の矢が飛んだ。翌2010年、フランスの法学者ルネ・カサン(1968年ノーベル平和賞)の功績を讃える「ルネ・カサン人権賞」を受賞した。20161124日、合併症のため96歳で死去、谷あり山ありの波瀾万丈な一生でした。

 

  

  (バスク自治政府パチ・ロペス首相からルネ・カサン人権賞を受け取るマルコス・アナ)

 

★映画化がされるなら、元スパイのフランシスコ・パエサのビオピックを描いたアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』のように面白くなりそうですが、どんな切り口にしろ物議をかもすのは目に見えています。今は取りあえずお蔵入りしたわけでないことを喜びたい。

ガルシア・ロルカの死に関する記事は、コチラ⇒2015年9月11日

 

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*結果発表2017年07月25日 18:36

         作品賞は『笑う故郷』、アルモドバルが『ジュリエッタ』で監督賞!

 

★ノミネーション発表(531日)から大分時間が空いて気が抜けてしまっていた授賞式が、去る722日にマドリードのカハ・マヒカで開催されました。作品賞は予想通り、本作はラテンビート上映時の邦題『名誉市民』が『笑う故郷』と笑えないタイトルになって公開されます。監督賞J.A.バヨナアルモドバルか迷いましたが、後者に軍配が上がりました。当夜いちばん光が当たった人がアルモドバルでした。彼の授賞式参加は初めて、つまりガラでの発言は皆無でした。「この受賞を市民戦争中に行方不明になった家族を探し続けている人々に」捧げるとスピーチした。えっ『ジュリエッタ』ってそんな映画でした? これにはかなり説明が必要なので別にアップいたします。というのもフランコ時代に無実の罪で23年間服役していた詩人マルコス・アナ(19202016)の回想録の映画化と関係があるからです(アルモドバルはこの回想録の映画化権を持っている)。いずれアップします。

 

   

★ドラマ部門の女優賞はブラジルのソニア・ブラガ、本作で第3回イベロアメリカ・フェニックス賞でも女優賞を受賞している。なお彼女は第1回プラチナ賞の栄誉賞受賞者でもありました。観客賞部門の女優賞ナタリア・オレイロは、ウルグアイ出身であるが主にアルゼンチンで活躍している。前回ウルグアイで開催された第3回ではサンティアゴ・セグラと総合司会者を務めました。ということで今回はベテラン女優が気を吐きました。男優賞のオスカル・マルティネスについてはもう書きすぎました。

 

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius アクエリアス」(ブラジル)監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)監督:アルベルト・ロドリゲス

『ジュリエッタ』(スペイン)監督:ペドロ・アルモドバル

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)監督:パブロ・ラライン

 

  

 (左から、アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、オスカル・マルティネス、

  マリアノ・コーン、受賞者一同)

 

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

(ペドロ・アルモドバル

             

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante

 (キューバ、ベネズエラ、コロンビア)

 

 

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャックToulemondeビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

          ロレナ・ムニョス監督

◎ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

 

 (ソニア・ブラガ)

  

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

 (オスカル・マルティネス)

 

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

 

音楽賞

アルベルト・イグレシアス『ジュリエッタ』

ゴヤ賞の胸像を10個、オスカー賞ノミネーション3回、今回プラチナ賞をゲットして、トロフィーのコレクター。アルモドバル作品を一手に引き受けている。

 

美術賞

エウヘニオ・カバジェロ『怪物はささやく』

 

撮影賞

オスカル・ファウラ『怪物はささやく』

 

編集賞

Bernat Vinapiana / Jaune Marti『怪物はささやく』

 

録音賞

Peter Glossop / Marc Orts / オリオル・タラゴ『怪物はささやく』

『怪物はささやく』は言語が英語のため、作品賞から外されました。興行的にはナンバーワンの功労者でしたが残念でした。バヨナ自身は監督賞を逃しましたが、技術部門4個を制しました。 

 

 (フアン・アントニオ・バヨナ)

 

  

ミニシリーズ&テレビシリーズ賞

Cuatro estaciones en La Habana(西、キューバ)監督:フェリックス・ビスカレット

キューバの推理作家レオナルド・パドゥラのマリオ・コンデ警部補が活躍する「四季シリーズ」がベースになっている。

 

ドキュメンタリー賞

2016, Nacido en Siria(スペイン)監督:エルナン・シン

現在ヨーロッパで起きている、各政府が目を背けている証言で綴られている。よりよい生活を求めて旅を続けるシリアの子供たち20人と14か月間、監督は行を共にして作ったドキュメンタリー。

 

アニメーション賞

Psiconautas, los niños olvidados (スペイン)監督:アルベルト・バスケス&ペドロ・リベロ

 

意義のある教育賞

Esteban(キューバ、スペイン)

 

 

作品賞(観客賞部門)

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

女優賞(観客賞部門)

◎ナタリア・オレイロ Gilda, no me arrepiento de esta amor

 

 (ナタリア・オレイロ)

     

  

男優賞(観客賞部門)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』

 

ポスター賞(観客賞部門)

『ジュリエッタ』アルモドバル

 

プラチナ栄誉賞

エドワード・ジェームズ・オルモス

EGEDA会長エンリケ・セレソがプレゼンターでした。1947年ロサンゼルス生れのメキシコ系アメリカ人俳優。スペインUSA合作『ロルカ、暗殺の丘』(1997、監督マルコス・スリナガ)、代表作は『ブレードランナー』、TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(198489)のマーティン・キャステロ主任警部役がもっとも有名でしょうか。本作で1985年にゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞している。531日にロスで開催されたノミネーション発表会のプレゼンターを務めていた。   

 

★記者会見では「時差ボケで睡眠がとれずくたくたです。・・・国ではラテン芸術の理解に奮闘しています。彼らは私たちラテン系に恐怖をもっているのです」と、今や国民の20パーセントを占めるに至ったヒスパニック系アメリカ人に対する差別が増加していると語っていた。トランプが演出する反オバマ政策を支持する一部の人々が存在していること、そういう米国人はアフロ系大統領には我慢できなかった。「しかし私はオプティミストです」と希望も語っていた。

 

★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018はラテンアメリカに戻って、メキシコのリビエラ・マヤで、4月開催がアナウンスされました。有名なリゾート地カンクンより南へ車で90分ほどにある、外国人セレブに人気のあるリゾート地です。

4回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーション発表の記事は、コチラ201765

 

アリエル賞2017*メキシコ・アカデミー賞の結果発表2017年07月15日 16:30

        メキシコ未公開映画が最優秀作品賞以下10冠の不思議

 

★デビュー作(が目立った今年のアリエル賞711日に発表になりました。カテゴリーはまた増えて28個、うち10冠(ノミネート20個)を制したLa 4a compañíaが、未だにメキシコでは公開されていないのに受賞しました。グアダラハラ映画祭201636日)で上映こそされましたが、アカデミー会員の多くはスクリーンでは観てないはずです。今後の公開を期待したのかもしれませんが、配給会社はまだ決まっていないようです。受賞カテゴリーは、作品・男優(アドリアン・ラドロン)・クアドロ男優(エルナン・メンドサ)・編集・視覚効果・特殊効果・美術デザイン・録音・衣装・メイクアップの10個です。Tempestadがドキュメンタリーということからある程度は予想されていましたが、未公開作品が作品賞を取るという結果になりました。

 

           

              (La 4a compañíaのポスター)

 

★アリエル賞はメキシコの社会情勢を反映して、政治的メッセージの強い映画が選ばれる傾向にあると思います。2016年ダビ・パブロスの『選ばれし少女たち』2015年アロンソ・ルイスパラシオスの『グエロス』2014年ディエゴ・ケマダ=ディエスの『金の鳥籠』と、切りこむ角度は違ってもメキシコやラテンアメリカの闇を抉るという意味では同じでした。今年の受賞作も実話をベースにした刑務所が舞台になっている。制度的革命党PRIのホセ・ロペス・ポルティーリョが大統領だった時代(197682)、メキシコ・ペソの大暴落で世界を混乱させた頃の物語です。実現までに10年以上もかかったプロジェクト全員が、待ちに待った受賞者のアナウンスに酔いしれた夕べとなりました。

La 4a compañía」ほかノミネーション発表の記事は、コチラ20176月9日

  

 最優秀作品賞(メキシコ)

『夜を彩るショーガール』Bellas de noche)ドキュメンタリー

                        監督マリア・ホセ・クエバス

『彼方から』(ベネズエラ合作)監督ロレンソ・ビガス

『ノー・エスケープ自由への国境』(フランス合作)監督ホナス・キュアロン

Tempestad」ドキュメンタリー 監督タティアナ・ウエソ

Me estás matando, Susana監督ロベルト・スネイデル

La 4a compañía(スペイン合作)

                  監督アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラ

El sueño del Mara'akame監督フェデリコ・Cecchetti

 

   

        (ミッチ・バネッサ・アレオラとアミル・ガルバン・セルベラ)

 

 監督賞&長編ドキュメンタリー賞

タティアナ・ウエソTempestad」ドキュメンタリー

女性で監督賞を受賞した第1号となり、当夜のもう一人の華だった。アリエル賞は1947年、16のカテゴリーで始まったメキシコ・アカデミー賞、その長い歴史にもかかわらず、ウエソ監督が初とは驚きを通りこして沈黙あるのみです。女性への暴力が処罰されないメキシコの現在が語られる。パウラ・マルコビッチ監督の自伝的デビュー作「El premio」(メキシコ、仏、独、ポーランド)が、2013年に作品賞を受賞したことがあります。しかし彼女はメキシコで活動しているアルゼンチン出身の脚本家でした。

 

 

        (監督賞のトロフィーを手にしたタティアナ・ウエソ)

 

 オペラ・プリマ第1回作品賞&と音楽賞

El sueño del Mara'akame」監督:フェデリコ・Cecchetti

 

    

                (出演者と一緒に)

 

 男優賞(二人)

アドリアン・ラドロンLa 4a compañía

ホセ・カルロス・ルイスAlmacenados監督:ジャック・サグア・カバビエZagha Kababie確認

若手とベテランが賞を分け合いました。

 

 

      (左から、ホセ・カルロス・ルイスとアドリアン・ラドロン)

 

 女優賞

ベロニカ・ランガー(ランヘル)La calidas監督:マロエイリノ・イスラス・エルナンデス

 

   

               (貫禄の受賞者ベロニカ・ランガー)

 

 助演男優賞

オセHoze・メレンデスAlmacenados

 

 

 助演女優賞

アドリアナ・パスLa calidas

 

  

 新人男優賞

パコ・デ・ラ・フエンテEl alien y yo監督:ヘスス・マガニャ・バスケス

 

 新人女優賞

マリア・エボリTenemos la carne」監督:エミリアノ・ロチャ・ミンター

  

 

 クアドロ男優賞

エルナン・メンドサLa 4a compañía

 

 

 クアドロ女優賞

マルタ・クラウディア・モレノ 「Distancias cortas」

 

 

 

 オリジナル脚本賞

ホアキン・デル・パソルシー・PawlakMaquinaria Panamericana監督ホアキン・デル・パソ

 

 脚色賞

ダビ・デソラAlmacenados

 

 撮影賞

エルネスト・パルドTempestad

 

 編集賞

ミッチ・バネッサ・アレオラフランシスコ・リベラカミロ・アバディアLa 4a compañía

 

   

  (欠席したカミロ・アバディアのトロフィーも手にアレオラ、フランシスコ・リベラ)

 

 視覚効果賞

リカルド・ロブレスLa 4a compañía

 

 特殊効果賞

ルイス・エドゥアルド・アンブリスLa 4a compañía

 

 美術デザイン賞

ジェイ・エロエスティカルロス・コッシオLa 4a compañía

 

 

 音楽賞

エミリアノ・モッタEl sueño del Mara'akame

 

 衣装賞 

ベルタ・ロメロホセ・グアダルーペ・ロペスLa 4a compañía

 

 

 メイクアップ賞

カルラ・ティノコアルフレッド・ガルシアLa 4a compañía

 

 

 録音賞2作)

ハビエル・ウンピエレスイサベル・ムニョスLa 4a compañía

フェデリコ・ゴンサレス・ホルダンカルロス・コルテスTempestad

 

 短編賞(フィクション)

El ocaso de Juan監督:オマル・デネド・フアレス

 

 

 短編賞(ドキュメンタリー)

Aurelia y Pedro監督:オマル・ロブレスホセ・ペルマル

 

 

 短編アニメーション(長編は該当作なし)

Los aeronautas監督:レオン・ロドリゴ・フェルナンデス

 

    

 イベロアメリカ映画賞

『セカンド マザー』(ブラジル)監督アナ・ミュイラート

笑う故郷(アルゼンチン、スペイン)監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

Anna」(フランス、コロンビア)監督ジャック・トゥールモンド・ビダル

Sin muertos no hay carraval」(エクアドル、メキシコ、 監督セバスティアン・コルデロ

『物静かな男の復讐』(スペイン)監督ラウル・アレバロ

(ブラジルとアルゼンチンが分け合いました)

 

 ゴールデン・アリエル賞(二人)

イセラ・ベガ(女優、脚本家、製作者、シンガー・ソング・ライター)

1939年生まれ。アリエル賞では、女優賞を1984年にアルトゥーロ・リプスタインのLa viuda negra」で受賞しているが、本作は1977年製作、メキシコ公開が1983年でした。他に2000年「La ley del Herodes」でも受賞、他に助演女優賞も受賞している。サム・ペキンパーの米国メキシコ合作映画『ガルシアの首』に出演、これは1975年公開されている。

 

 

ルセロ・イサック(美術監督)

 

 

 

La 4a compañía10個、Tempestad4個、Almacenados」が3個、「El sueño del Mara'akame

La calidas2個ずつ、他は1カテゴリーという結果になりました。既に公開、映画祭上映、ネットフリックスなどで見ることのできる作品もありますが、この他どのくらい日本で見られるでしょうか。マリア・エボリが新人賞を取ったホラー・ファンタジーTenemos la carne」(エミリアノ・ロチャ・ミンター)あたりは期待できそうです。

  

アリエル賞2017*ノミネーション発表2017年06月09日 12:13

         メキシコ版アカデミー賞、作品賞候補にドキュメンタリーも

 

         

★アリエル賞2016の結果発表は5月中だったが、今年は711日ということです。昨年の授賞式は『選ばれし少女たち』の監督ダビ・パブロスが両手に花でしたが、今年も同じような結果でしょうか。ざっと見た限りですが、ノミネーションは昨年12月の「イベロアメリカ・フェニックス賞」、11月開催の「ロス・カボス映画祭」受賞作品などと、当然ですがダブっているようです。最優秀作品賞ノミネーションには、公開、映画祭上映、ネットフリックスと、既に日本語字幕入り作品も交じっています。カテゴリーの数が多く、監督賞・脚本賞などはダブるので、最優秀作品賞とイベロアメリカ映画賞だけアップしておきます。ゴチック体は当ブログで扱った作品です。

 

   

             (最優秀作品賞ノミネーションの7作品)

 

最優秀作品賞(メキシコ)

『夜を彩るショーガール』Bellas de noche)ドキュメンタリー

                        監督マリア・ホセ・クエバス

『彼方から』(ベネズエラ合作)監督ロレンソ・ビガス

『ノー・エスケープ自由への国境』(フランス合作)監督ホナス・キュアロン

Tempestad」ドキュメンタリー、監督タティアナ・ウエソ

Me estás matando, Susana監督ロベルト・スネイデル

La 4a compañía(スペイン合作)

                  監督アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラ

El sueño del Mara'akame監督フェデリコ・Cecchetti

印はデビュー作

 

マリア・ホセ・クエバスの『夜を彩るショーガール』は、カンヌ映画祭で物議をかもしたネットフリックスで放映されている作品、ディスコ全盛期の1970年代から80年代にかけて活躍した5人のショーガールvedette(リン・メイ、ワンダ・セウス、プリンセサ・ジャマル、ロッシー・メンドサ、オルガ・ブレースキン)の数奇な人生を語るドキュメンタリー。ショー場面が続く前半よりオール60歳代になった後半が胸を打つ。彼女たちの栄光と転落がホンネで語られるからです。vedette というのはフランス語起源のバラエティーショーのセックス・シンボル的な女性スター、踊れて歌えて演技もできるアーティスト。モレリア映画祭2016メキシコ・ドキュメンタリー賞、ロス・カボス映画祭、パナマ映画祭などで受賞している。本作はドキュメンタリー部門でもノミネートされている。

 

 

アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラの「La 4a compañía」は、最多の20カテゴリーでノミネートされている。本作についてはミシェル・フランコの「Las hijas de Abril」に出演していたエルナン・メンドサの紹介記事で少しだけ触れています。両監督のデビュー作。

 

 

タティアナ・ウエソの「Tempestad」は8部門ノミネーション、分類はドキュメンタリーだがドラマでもある。監督はこの二つのジャンルは区別できないと語っている。暴力が処罰されることのないメキシコ、二人の犠牲者の物語。ミリアムは人身売買の濡れ衣を着せられて収監中、アデラは移動サーカスで働いている。闇が支配する世界への旅は同時に自由への旅でもある。一種のロードムービー。ベルリン映画祭2016フォーラム部門上映で高い評価を受け、12月開催の「フェニックス賞」ではドキュメンタリー賞やエルネスト・パルドの素晴らしい映像が撮影賞などを受賞している。『夜を彩るショーガール』同様、本作もドキュメンタリー部門でノミネートされている。審査員の評価は高いと思います。

 

 

★「El sueño del Mara'akame」はフェデリコ・Cecchettiの長編第1作、タイトルのMara'akameはウイチョル族のシャーマンを指すようです。オースティン映画祭観客賞とスペシャル・メンション、モレリア映画祭第1回・2回作品賞受賞、シカゴ映画祭他で上映されている。今年のアリエル賞は新人監督が目立つ印象です。4作とも第1回監督賞にノミネートされている。

 

 

 

『彼方から』の紹介記事は、コチラ2016930

『ノー・エスケープ自由への国境』は、コチラ2017年4月23

Me estás matando, Susana」は、コチラ2016322

La 4a companía」は、コチラ201758

 

イベロアメリカ映画賞

Anna」(フランス、コロンビア)監督ジャック・トゥールモンド・ビダル

Sin muertos no hay carraval」(エクアドル、メキシコ、ドイツ)

                 監督セバスティアン・コルデロ

『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

 追記:公開邦題『笑う故郷』として岩波ホールで9月16日から

『物静かな男の復讐』(スペイン)監督ラウル・アレバロ

『セカンド マザー』(ブラジル)監督アナ・ミュイラート

 

★「Anna」は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画賞ノミネート、これから発表になる第4回イベロアメリカ・プラチナ賞には主演のフアナ・アコスタが候補者となっている。映画賞、映画祭で目にするが受賞にまで至らない。「Sin muertos no hay carnaval」は、セバスティアン・コルデロが生れ故郷エクアドルで撮った話題作、いつかご紹介したいと思っている映画の一つ。

 

 

 

アナ・ミュイラートの長編第4作目『セカンドマザー』(Que Horas Ela Volta?)は、英題「The Second Mother」の片仮名起こし、東海地方で展開しているコロナシネマワールドでのみ上映される「メ~シネマ」作品として今年1月公開された。ミュイラート監督は1964年サンパウロ生れの53歳、サンパウロ大学で映画を学ぶ。脚本家としてキャリアを出発させた。主にテレビ界での活躍が目立っていたが、短編中編を手掛けた後、2002年「Durval Discos」で長編デビューを果たす。日本ではカオ・アンブルゲールの『1970、忘れられない夏』(2006シネフィル・イマジカ放映、当時ハンバーガーと表記された)や『シングー』(2011ラテンビート2012)の脚本家の一人として紹介されているが、もっと注目されていい監督の一人。またベテラン女優のヘジーナ・カゼRegina Caseが母親役を演じているのも見逃せない。レジーナ・ケースという英語読みがあり、ポルトガル語はスペイン語以上に人名表記が定まっていない。古い話だが、アンドルッシャ・ワッディントンの佳作『エゥ・トゥ・エリス』(東京国際映画祭2000上映)で日本初登場、これは『私の小さな楽園』の邦題で公開された。

 

  

               (母と娘、ブラジル版ポスター)

 

『名誉市民』の主な紹介記事は、コチラ20161013

『物静かな男の復讐』の主な紹介記事は、コチラ2017年1月9日

  

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*ノミネーション発表2017年06月05日 14:31

 「オスカーに匹敵する」賞とケイト・デル・カスティージョがノミネーション発表

 

 

★先月31日(水)、ハリウッド映画の中心地ロスアンゼルス(ビバリーヒルトン・ホテル)でイベロアメリカ・プラチナ賞2017のノミネーション発表がありました。ビバリーヒルトンは、例年オスカー賞候補者の昼食会やゴールデン・グローブ賞のガラが開催されるホテル、それでケイト・デル・カスティージョの開会の辞が「オスカーに匹敵する」云々になったようです。デル・カスティージョ(女優1969メキシコ・シティ、現ロス在住)、その他、エドワード・ジェームズ・オルモス(俳優1947ロス)、アンジー・セペダ(女優1974カルタヘナ、現マドリード在住)、ミゲル・アンヘル・シルベストレ(俳優1982カステジョン)の4人(写真中央はCNNの司会者フアン・カルロス・アルシニエガス)が各カテゴリーのノミネーション発表を行った。今年の授賞式会場は、722日(土)、マドリードの屋内競技場カハ・マヒカCaja Mágicaで開催される。ここは2020年のオリンピック誘致ではテニス会場になるはずだった。スポーツだけでなく音楽祭なども開催されている。

 

 

 (左から、エドワード・ジェームズ・オルモス、ケイト・デル・カスティージョ、一人置いて

       アンジー・セペダ、ミゲル・アンヘル・シルベストレ)

 

★最多ノミネーションは、フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』の7(監督・美術・録音・撮影・編集・オリジナル音楽・価値ある映画と教育)、ただしメインの作品賞には、オリジナル版が英語作品だったため、「言語はスペイン語・ポルトガル語」という条件を満たせず該当外となった。続くパブロ・ラライン「ネルーダ」5個(2017秋公開が予定されているが、邦題は未定)、ロレンソ・ビガス『彼方から』ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』アルモドバル『ジュリエッタ』アルベルト・ロドリゲス『スモーク・アンド・ミラーズ』セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla4個でした。当ブログではセルソ・ガルシア作品以外は既にアップ済み。なお写真掲載は1カテゴリー1個に絞った。

 

   

           (最多ノミネーション7個の『怪物はささやく』)

 

  主要カテゴリーのノミネーション

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius」(ブラジル)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)アルベルト・ロドリゲス監督

『ジュリエッタ』(スペイン)ペドロ・アルモドバル監督

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)パブロ・ラライン監督

 

『スモーク・アンド・ミラーズ』

  

           

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

   

          

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」(キューバ、ベネズエラ、

  コロンビア)

 

 (「El acompañante」)

  

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャック・トゥールモンド・ビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

                   ロレナ・ムニョス監督

ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

  

(アンジー・セペダ)

  

             

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

  

(ダミアン・カサレス)

  

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

   

 

             (ペパ・サン・マルティンの「Rara」)

 

 

★女優賞ノミネートのナタリア・オレイロは、ウルグアイで開催された第3回目の総合司会者、ウルグアイ出身ですが主にアルゼンチンで活躍している(『ワコルダ』)。「Gilda, no me arrepiento de este amor」は1996年交通事故死したアルゼンチンの歌姫ヒルダのビオピック。ソニア・ブラガは第1回プラチナ賞2014の栄誉賞受賞者、「Aquarius」はカンヌ映画祭2016正式出品を皮切りに世界各地の映画祭巡りをした。アンジー・セペダは、今回ノミネーション発表をしたコロンビア出身の女優だが、本拠地をマドリードに移している。ノミネーション発表をした先輩ケイト・デル・カスティージョとは親友同士だそうです。フアナ・アコスタが出演した「Anna」(西語・仏語)は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画部門にノミネートされた。2015年製作とやや古い。フアナ・アコスタはエルネスト・アルテリオと結婚、スペイン映画出演も多く、当ブログ登場も多いほうか。エンマ・スアレス他、男優賞ノミネートの紹介は不要ですね。

 

(「Anna」のフアナ・アコスタ)

 

 

★その他のカテゴリーとして、オリジナル音楽、撮影、美術、録音、ドキュメンタリー、アニメーション、シリーズのテレビドラマその他がありますが割愛、受賞結果はアップいたします。

 

EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDA1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しております。