第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*ノミネーション発表2018年09月30日 17:30

          ネットフリックスの存在が大きくなってきたフェニックス賞2018

 

★去る924日、5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018のノミネーション発表がメキシコシティでありました。カテゴリーと解説に齟齬があったりカテゴリーの数が違ったりと、サイトでノミネーション個数にばらつきがありますが、当たらずとも遠からずでいくと、最多ノミネーションは、コロンビアのチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano9個、アルゼンチンのルクレシア・マルテル『サマ』8個でした。作品・監督・脚本・男優女優・撮影・・・と両作とも主要カテゴリーに選ばれています。

  

★イベロアメリカとはいえ、旧宗主国のスペインとポルトガルは影が薄く、第4回までの作品賞はすべてラテンアメリカ映画が制しています(第1回メキシコの『金の鳥籠』、第2回から4回までの『ザ・クラブ』、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』、『ナチュラルウーマン』と連続でチリが受賞しています)。今年スペインとポルトガルは主要カテゴリーのノミネーションがゼロでした。

 

      

  (イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表に集まったシネアストたち)

   

★チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴのPájaros de veranoは、カンヌ映画祭2018併催の「監督週間」のオープニング作品です。チロ・ゲーラ映画の製作者クリスティナ・ガジェゴの初監督作品です。2016年には夫婦二人三脚で『彷徨える河』などの力作を撮っています。9カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・衣装・オリジナル音楽、ゴッドマザーを演じたカルミナ・マルティネスが女優賞にノミネートされた(美術がないサイトあり)。

Pájaros de verano」の作品紹介は、コチラ20180518

 

      

   (女優賞ノミネートのカルミナ・マルティネスとラウラ・モラの「Matar a Jesús」から)

 

★ルクレシア・マルテルの『サマ』は、ベネチア映画祭2017のコンペティション外上映、国際映画祭に数多く出品され、ラテンビートでも昨年上映されました。しかし批評家の高い評価にもかかわらず今もって作品賞は受賞しておりません。イベロアメリカ諸国の公開が殆ど2018年だったことで、今年のノミネーションになりました。8カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・録音とダニエル・ヒメネス・カチョが男優賞にノミネートされました。

『サマ』の主な紹介記事は、コチラ20171013

   

      

     (サマを演じ男優賞ノミネートのダニエル・ヒメネス・カチョ、映画から)

 

2作に続いて、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの第2Museo6個です。その内訳は、作品・監督・撮影・オリジナル音楽・録音、ガエル・ガルシア・ベルナルの男優賞です。ベルリン映画祭2018脚本賞受賞作品。

Museo」の作品紹介は、コチラ20180219

 

      

           (男優賞ノミネートのガエル・ガルシア・ベルナル、映画から)

 

★同じくパラグアイのマルセロ・マルティネシLas herederas6個です。その内訳は、作品・監督・脚本・撮影・美術・録音、ベルリン映画祭で女優賞を受賞したアナ・ブルンはノミネートされませんでした。ベルリン映画祭2018のアルフレッド・バウアー賞と国際映画批評家連盟賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品、ラテンビート2018上映作品です。

Las herederas」の作品紹介は、コチラ20180216

 

     

             (監督とアナ・ブルン)

 

★作品賞・監督賞のノミネーションだけアップしておきます。

作品賞7作品)

Alanis監督アナイ・ベルネリ、アルゼンチン

As boas maneirasフリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ、ブラジル

Cocoteネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、ドミニカ共和国

Las herederasマルセロ・マルティネシ、パラグアイ

Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス、メキシコ

Pájaros de veranoチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴ、コロンビア

Zamaルクレシア・マルテル、アルゼンチン

 

監督賞7人)

アナイ・ベルネリAlanis

フリオ・エルナンデス・コルドンCómparame un Revólver」メキシコ

マルセロ・マルティネシLas herederas

ラウラ・モラMatar a Jesús」コロンビア

アロンソ・ルイスパラシオスMuseo

チロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano

ルクレシア・マルテルZama

 

★という具合でスペイン映画は作品賞にも監督賞にも見当たりませんでした。ドキュメンタリー部門にゴヤ賞2018受賞のMuchos hijos, un mono un castillo、男優賞に「El autor」のハビエル・グティエレス、脚本賞に「Petra」のハイメ・ロサレス、美術賞に「Handia」と「La libreria」他がありました。

 

 

TVシリーズ部門ではネットフリックスの存在の大きさが際立っています。昨年も『ナルコス』などが受賞しましたが、今年もノミネーション5作品のうち3作がネットフリックスがらみです。スペインのLa casa de papel(『ペーパー・ハウス』シーズン2)、メキシコ=米のNarcos(『ナルコス』シーズン3)、アメリカ製作のLuis Miguel:La serie(シーズン1)の3作です。ルイス・ミゲルというのは一名メキシコの「太陽El Sol」と言われるほどのプエルトリコ生れのメキシコの歌手、現在活躍中の歌手のビオピック、グラミー賞5回受賞でハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星が刻まれています。しばらく活動を休むなど謎の多い歌手ですが昨年復活しました。ルイス・ミゲルをディエゴ・ボネタ、歌手だった父親をオスカル・ハエナダが演じています。シーズン113話)が20184月からメキシコ、米国、スペイン、生れ故郷プエルトリコでNetflix同時配信されました(日本は未配信のようです)。

 

    

   (『ペーパー・ハウス』から)

 

   

            (『ナルコス』シーズン3

 

   

                 (ディエゴ・ボネタ、Luis Miguel:La serie」から

 

★この映画賞の作品選考はメキシコの「シネマ23」が中心になって行なわれ、イベロアメリカ映画アカデミー連盟、メキシコ映画アカデミーが参画、第16回モレリア映画祭(102028日)で受賞結果発表があり、ガラは117、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで開催される予定。


カルメン・マウラ、ヨーロッパ映画賞「生涯貢献賞」受賞のニュース2018年08月11日 07:26

            カルロス・サウラに続いて二人目の受賞者

 

★ヨーロッパ映画賞の特別賞にはいくつかあって、なかで一番大きいのが「生涯貢献賞」、次がワールドシネマに貢献したシネアストに贈られる「世界的貢献賞」でしょうか。どちらもいわゆる名誉賞で、前者は1988年から始まり、第1回受賞者はイングマール・ベルイマン、スペイン人では2004年にカルロス・サウラが受賞しています。後者は1997年から始まり、第1回受賞者はミロシュ・フォアマン監督、スペイン人ではアントニオ・バンデラス、ビクトリア・アブリル、つい最近2013年にアルモドバルが受賞しています。カルメン・マウラマドリード、1945女優賞1988年アルモドバルの『神経衰弱ぎりぎりの女たち』、1990年サウラの『歌姫カルメーラ!』で受賞しています。他の受賞者はペネロペ・クルスが『赤いアモーレ』と『ボルベール』2回、ベレン・ルエダが『永遠のこどもたち』などです。

 

  

 

★既に150作に出演しているマウラだが、芸術家、政治家、学者などを輩出している一家で、いわゆる良家の子女、芸能界入りなどもってのほか、親戚一同から反対されたという。1960年代末期に舞台女優として出発、並行して短編映画やTVにも出演していた。タッグを組んだ監督は、フェルナンド・トゥルエバ(「Se intil y no mires con quien85)、マリオ・カムス(「Sombras en una Batalla93)、アグスティ・ビリャロンガ(「Carta a Eva12)、サンセバスチャン映画祭女優賞ゴヤ主演女優賞をもたらしたアレックス・デ・ラ・イグレシア(『13 みんなのしあわせ』00)、以後『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』、『スガラムルディの魔女』など、デ・ラ・イグレシア映画の常連となった。しかし国際舞台に彼女を押し上げたのは、1980年代最も輝いていた監督の一人、アルモドバル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』でした。

  

       

 (初のゴヤ主演女優賞を受賞した『神経衰弱ぎりぎりの女たち』から、共演のバンデラスと

 

★アルモドバルのデビュー作『ペピ、ルシ、ボン、その他大勢の娘たち』(80)以後、『バチ当たり修道院の最期』(83)、『グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人』(84)、『マタドール』(86)、『欲望の法則』(87)、そして『神経衰弱ぎりぎりの女たち』と立て続けに出演した。しかしこれを最後に喧嘩別れしてしまい、再びタッグを組んだのが『ボルベール<帰郷>06)、カンヌ映画祭で女性出演者6名全員が異例の女優賞を受賞し、ゴヤ賞では助演女優賞を受賞した。その後これといった諍いがあったわけではないが、「もう決してアルモドバル映画には出ない」と発言し、仲直りしたように見えたのは表面だけで、結局溝が埋まらなかったことが分かった。まあ、映画を見れば理由は想像できます。一時は「アルモドバルのミューズ」とまで言われた仲でしたが、現在では「喧嘩別れした元仲良しカップル」が特集されると、ナンバーワンに登場します。

 

     

    (アラスカとカルメン・マウラ、『ペピ、ルシ、ボン、その他大勢の娘たち』から)

    

       

 (辛口批評家からも合格点を貰った『グロリアの憂鬱~』から、共演のベロニカ・フォルケと)

 

★邦題が原題とあまりにかけ離れていて辿りつけない映画の一つが、パートに追いまくられている主婦が、気障なぐうたら亭主を殺害してしまうが誰からも疑われないというブラック・コメディ『グロリアの憂鬱~』(「¿ Qué he hecho yo para merecer esto?」)、アレックス・デ・ラ・イグレシアの『13 みんなのしあわせ』(La comunidad)が挙げられる。後者でゴヤ賞主演女優賞を受賞した。サウラの『歌姫カルメーラ!』を含めてゴヤ賞は合計4個になります。そのほか、貢献賞というか名誉賞は、スペイン映画国民賞(98)、サンセバスチャン映画祭ドノスティア賞(13)、マラガ映画祭とロカルノ映画祭(07)バジャドリード映画祭(08)、スペイン映画アカデミーの「金のメダル」(09)と、貰えるものはすべて貰っている。

 

        

      (サンセバスチャン映画祭ドノスティア賞のトロフィーを手に、2013年)

 

       

    (3個目のゴヤ賞主演女優賞を受賞した『13 みんなのしあわせ』から)

 

★現在フランス在住のマウラ、フランス語、ポルトガル語にも堪能で、自国以外の監督からもオファーを受けている。エティエンヌ・シャティリエの『しあわせはどこに』(95)、リスボンを舞台にした5人の女性たちの生き方を描いた、ルイス・ガルヴァン・テレシュの『エル』(97)、アンドレ・テシネの『溺れゆく女』(98)、セザール賞助演女優賞を受賞したフィリップ・ル・ゲイのコメディ『屋根裏部屋のマリアたち』(10)、フランシス・フォード・コッポラの『テトロ 過去を殺した男』(09)ほか、公開作品を中心に列挙したが、何しろ出演本数は150作、これから来年にかけて公開される映画も数本あるから、今後の活躍も楽しみである。

 

    

     (フランス映画『屋根裏部屋のマリアたち』に出演したスペインの女優たち)

 

★ヨーロッパ映画賞のガラ開催は参加国持ち回りで毎年変わり、今年はセビーリャで開催されることになっています。ベルリン開催が最多でスペインではバルセロナで開催されたことがあります。第31回ヨーロッパ映画賞2018授賞式は1215日です。

 

『スガラムルディの魔女』の紹介記事は、コチラ20141012同年1018

『屋根裏部屋のマリアたち』の紹介記事は、コチラ20131208同年1213


第60回アリエル賞2018*結果発表2018年06月15日 18:34

   「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とアマ・エスカランテ

 

    

★第60回を迎えたアリエル賞2018(メキシコ映画アカデミーAMACC)の標語はNo somxs tres, somos todxs(我々は3人ではない、みんな一緒です)、これは去る319日に行方不明になったメディオス・オーディオビジュアルス大学の3人の学生の追悼というか連帯を込めたスローガンです。マフィアと警察と政治家が三位一体のようなメキシコでは、一般人が日常的に暴力や生命の危険に晒されている現状がうかがい知れます。3人だけでなく過去に起きた全ての誘拐拉致被害者を追悼しているようです。2018年の監督賞を受賞したアマ・エスカランテは「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とスピーチしました。

(結果発表、メキシコ6月5日)

 

       

     (「No somxs tres, somos todxs」のスローガンが掲げられた授賞式会場)

 

★授賞式のハイライト最高賞の作品賞は、エルネスト・コントレラス1969、ベラクルス)のSueños en otro idiomaが受賞、他オリジナル脚本賞、オリジナル音楽賞、撮影賞などトータル6冠に輝きました。彼はアリエル賞を主催するAMACC会長201711月就任したばかりです(任期は2年、201910月まで)。

 

          

          (AMACC会長エルネスト・コントレラス、授賞式にて)

 

★監督賞以下、編集賞、助演女優賞、特殊効果賞など5冠がアマ・エスカランテLa región salvaje『触手』の邦題で、短期間(20183月)ながら公開された作品。本邦では『サングレ』『よそ者』『エリ』と、カンヌやベネチアで評価されたこともあって比較的認知度のある監督でしょうか。当ブログ紹介作品は、イベロアメリカ映画賞を受賞したセバスティアン・レリオ『ナチュラルウーマン』、アナ・バレリアが新人女優賞を受賞したミシェル・フランコ『母という名の女』、ドキュメンタリー賞を受賞したエベラルド・ゴンサレス「La libertad del diablo」の4作品です。

 

『よそ者』の紹介記事は、コチラ20131010

『エリ』の紹介記事は、コチラ20131008

La región salvaje」(『触手』)の紹介記事は、コチラ20160804

『ナチュラルウーマン』の紹介記事は、コチラ20180316

『母という名の女』の紹介記事は、コチラ20170508

 

 主な受賞結果

◎作品賞

 Sueños en otro idioma」 エルネスト・コントレラス

 

   

◎監督賞

 アマ・エスカランテ La región salvaje『触手』) 

 

    

◎男優賞

 エリヒオ・メレンデス(「Sueños en otro idioma」)

 

 

◎女優賞

 カリナ・ヒディGidi (Los adioses

   


  

◎長編ドキュメンタリー賞

 La libertad del diablo」 (監督エベラルド・ゴンサレス

 

   

◎新人男優賞

 フアン・ラモン・ロペス (Vuelven

 

  

◎新人女優賞

 アナ・バレリア・べセリル (Las hijas de Abril」 邦題『母という名の女』) 

 

   

◎イベロアメリカ映画賞

 『ナチュラルウーマン』 (監督セバスティアン・レリオ)

  

 

  (製作者フアン・デ・ディオス・ララインと主演のダニエラ・ベガ)

 

◎撮影賞

 トナティウ・マルティネス (「Sueños en otro idioma」)

 


   

◎オペラ・プリマ(初監督作品)賞

 El vigilante (監督ディエゴ・ロス

 

 

◎編集賞

 フェルナンダ・デ・ラ・ペサJacob Secher Schulsingaer (「La región salvaje」)

 

  

 フェルナンダ・デ・ラ・ペサ

  

◎特殊効果賞

 ホセ・マヌエル・マルティネス (「La región salvaje」)

 

   

◎視覚効果賞

 Peter Hjorth (「La región salvaje」)

 

◎オリジナル脚本賞

 カルロス・コントレラス (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎美術デザイン賞

 アントニオ・モニョイエロ (El elegido

 カルロス・ハケス (La habitación

 

◎メイクアップ賞

 アダム・ソリェル (「Vuelven」)

 

    

◎衣装賞

 マリエステラ・フェルナンデスガブリエラ・ディアケ (「La habitación」)

 

 

     マリエステラ・フェルナンデス

     

◎助演男優賞

 アンドレス・アルメイダ (Tiempo compartido

 

     

◎助演女優賞

 ベルナルダ・トゥルエバ (「La región salvaje」)

 

     

◎短編アニメーション賞

 Cerulia (監督ソフィア・カリージョ

 

    

◎短編映画賞

 Oasis (監督アレハンドロ・スノ

 

  

◎短編ドキュメンタリー賞

 La muñeca tetona (監督ディエゴ・エンリケ・オソルノアレハンドロ・アルドレテ) 

 

   

◎録音賞

 エンリケ・グレイネルパブロ・タメスライムンド・バジェステロス 

(「Sueños en otro idioma」)

   

   

◎オリジナル音楽賞

 アンドレス・サンチェス・マエル (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎脇役男優賞(coactuación

 ミゲル・ロダルテ (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎脇役女優賞(coactuación

 ベロニカ・トゥサンToussaint (Oso Polar

 

      

「金のアリエル」(栄誉賞)

 Queta Lavat (メキシコの女優)

 

      

 Toni Khun (スウェーデン出身メキシコの撮影監督)

 

 

    

★フォトは入手できたものです。

 

第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表2018年05月03日 09:33

        大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!

 

     

429日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がスペイン、偶数回がラテンアメリカ諸国と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。

TVシリーズは割愛、当ブログ紹介作品)

ノミネーション発表は、コチラ20180320

 

        

         (メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)

 

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

    

      

    

   (中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)

 

 

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

(セバスティアン・レリオ)

   

             

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

                                                           

男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

     

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

     

(ダニエラ・ベガ)

              

              

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガトダビ・アロンソ、スペイン)

 

                                                        

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)

 

                                                

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)

 

                                       

編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

    

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

    

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。

 

        

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

 

   

(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、

 バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)

 

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia (監督アイトル・アレギジョン・ガラーニョ)スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

   

    

イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞

アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』99、続いて『バベル』06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。

 

     

     (『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)

 

★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。

 

      

        (栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、429日)


第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*ノミネーション発表2018年03月20日 14:23

             『ナチュラルウーマン』最多の9部門ノミネーション

 

★第5イベロアメリカ・プラチナ賞のガラが、昨年の7月から4月に前倒しになったせいか、ノミネーション発表も2月下旬と早まりました。目下、ガラはラテンアメリカ諸国とスペインとで交互に開催されています。パナマ、スペインのマルベージャ、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、マドリード、今回はメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤ(グラン・ティラッコ劇場Teatro Gran Tlachco de Xcaret 1800人収容)で429日です。総合進行役はメキシコの俳優・監督・製作者・脚本家と多才なエウヘニオ・デルベス、彼は第1回プラチナ賞男優賞の受賞者です。

1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式の記事は、コチラ2014417

 

★映画賞は過去の作品に贈られる賞だから受賞結果だけでもと思いつつ、まだ5回目という歴史の浅い映画賞、イベロアメリカ諸国以外では話題にならないことも考慮して、やはりアップしておくことにしました。開催時期が3月から4月になった21回マラガ映画祭413日~22日)の各賞発表が五月雨式にアップされています。ギレルモ・デル・トロマラガ賞受賞を手始めに、そろそろ紹介していく予定です。71回カンヌ映画祭58日~19日)も未だ発表になっておりません。今回の審査委員長は女性と予想しておりましたが、ケイト・ブランシェットに決定したようです。スペイン語映画がノミネートされるようでしたら記事にしたい。

 

★主なカテゴリー

 (製作国はイベロアメリカ諸国限定。「」は公開または映画祭上映時の邦題 当ブログ紹介)

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

 

「サマ」

     

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

イサベル・コイシェ

     

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「ナチュラルウーマン」

      

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

「サミット」

                                                             

 男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

ハビエル・グティエレス

       

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

 

アントニア・セヘルス

                                                   

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(スペイン)

  

                                                            

             「Lino-Uma aventura de sete vidas

 

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(スペイン)

 

                                               

           「Muchos hijos, un mono y un castillo

 

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(スペイン)

 

 「El techo

                                     

 編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

La mujer del animal

       

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラ Saiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

Handia

      

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

 

 「夏、1993

    

 

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「エクリプス」

        

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica 「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン

    

(ブラジル)

    

テレビ・シリーズのノミネーションは割愛、受賞作品はアップします。

掲載写真は各国から適当に選んだものです。

 

★ざっと眺めただけで単独合作含めてスペインのノミネーションが多い。作品・監督・脚本賞のいずれにも顔を出している。ドキュメンタリーやアニメーションを合計すると20作ぐらいになるか。メキシコが開催国だがいささか寂しい印象です。メキシコ、ブラジル、チリなど除くと、ラテンアメリカ諸国は1国だけで製作するのは難しいことが分かります。少しはマシなスペインの資金提供となる。

 

★今回の参加国は23ヵ国だそうですが(ノミネーションを受けた国は11ヵ国)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞にノミネートさえされなかったフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」が、7カテゴリーでノミネートされている。悪くはなかったが、個人的には少し奇異な印象をもちました。


セザール名誉賞のトロフィーを手に感涙のペネロペ・クルス2018年03月08日 14:11

         ギレルモ・デル・トロ、盆と正月が一緒にやってきた! 

        

★テレビもネットも米国アカデミー賞一色、フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞の授賞式が32日夜、一足先に開催されていましたが片隅に追いやれてしまいました。ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞を受賞。監督は日本大好き人間、何度も来日してファン・サービスを忘れない。今回も宣伝を兼ねて来日していました。作品・監督・美術・作曲の4冠受賞が興行成績を押し上げるといいですね。これでメキシコ出身の「おじさん三羽ガラス」と言われる、アルフォンソ・キュアロン(『ゼロ・グラビティ』)、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥ(『バードマン』『レヴェナント』)に続いて、一人取り残されていたデル・トロ監督も仲間入りできました。

 

            

       (両手に花のギレルモ・デル・トロ、作品賞と監督賞のオスカー像)

 

★授賞式に出席していたガエル・ガルシア・ベルナルと抱き合って喜びを分かち合っていました。G.G.ベルナルは、長編アニメーション・歌曲賞の2冠を達成した『リメンバー・ミー』の死者の国に住むヘクターのボイスを担当、死者の日に迷い込んできたミゲル少年と一緒に旅をする。音楽は言うまでもないが、メキシコ人の死生観が分かるようです。此の世の人が死者を忘れてしまうと消えてしまうのです。彼の世でも永遠には生き続けられないようです。

 

 

    

      

   (第43回セザール賞ポスターと作品賞他6冠の『BPMビート・パー・ミニット』から) 

 

     トロフィーはアルモドバルとフランス女優マリオン・コティヤールの手から

 

★前置きが長くなりましたが本題、第43回セザール賞のガラが32日の夜開催されました。ロバン・カンピオの『BPMビート・パー・ミニット』が作品賞以下6冠を受賞、劇場公開は324日から3館上映です。セザール賞は当ブログでは対象外ですが、今回はペネロペ・クルス名誉賞を受賞しましたのでアップいたします。スペインのシネアストとしては、ペドロ・アルモドバル1999)に続いて二人目です。授賞式には夫君ハビエル・バルデム、母親、弟、そして育ての親の一人アルモドバル監督も駆けつけてくれました。下の写真は監督がマリオン・コティヤールと一緒にプレゼンターとしてステージに登壇したときのもの。ペネロペ・クルスは登壇したときから既に涙があふれていました。ヴェルサーチのプリンセス・カットのドレスをエレガントに着こなし、インディゴブルーのドレス右胸には「性的暴力反対」の白いリボンをつけている。監督も背広の左襟に付けている。

          

         

          (感涙のペネロペ・クルス、アルモドバル、マリオン・コティヤール)

 

★受賞スピーチは、「今宵は心から感謝を申し上げたい。ここパリで、フランス映画アカデミーのセザール名誉賞を頂けるなど、大それた夢は持っておりませんでした。自分にその価値があるかどうかについては問わないことにして、今はただ心から嬉しく、何人かの重要な人々を思い起こしています」と、学校で8年間学んだというフランス語で謝辞を述べました(クルスは母語・英語・伊語・仏語が堪能)。続いてフランスが常に自分に寛大で、幸せにしてくれること、文化に対して情熱を注ぐ特別な国であること、フランスの影響をうけた作品やアーチストたちは、歴史的にも私たちの人生においても、類いまれな位置を占めていること、文化や自由への想いはフランスの人々の刺激を受けたものだ、と語ったようです。

   

★「セザール名誉賞」の知らせを受けて以来、「もう驚いているだけ」と語っていたクルス、赤絨毯でも「こんな名誉ある賞をどうして戴けるのか理解できないの。ただただびっくり仰天です。どうしてこんな大きな賞を私が貰えるの?」とインタビューに応えていたクルスの気持ちが伝わってくるようなスピーチでした。アルモドバルに対しても「あなたの映画は女性に敬意をはらってくれ、そういう映画に出演できたことを感謝しています」と。会場にいた母親には「私が女優になりたいと言ったとき、なんて馬鹿げたことをと反対しなかった」と語りかけた。さらに今は亡き父親の思い出、弟妹と二人の子供たち、最後に「私の夫であり素晴らしい仕事仲間、いつも傍にいて広い心で私を支えてくれる」ハビエルにグラシアスでした。未成年でデビューした娘を守るためにステージ・パパ役だった父親がこの場にいなかったことは残念だったでしょう。

 

   

(隠れて見えないがリボンを付けたフランス映画アカデミー会長アラン・テルジアン、

 ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、アルモドバル監督)

 

★アルモドバルも初めて起用した『ライブ・フレッシュ』(97)での娼婦役について語った。「脚本ではもう少し年長の娼婦に設定していた。1970年代の古着を纏った田舎出の妊婦役にしては、彼女の中にはどこか魅力的な何かがあって無理があった」と。夜間バスの中で出産した男の子が主役の映画、クルスは冒頭部分で消えてしまう小さな役でした。スペインの国境を越えて活躍したが、幸いにヨーロッパを忘れずにいた。このヨーロッパ文化が彼女の原点だ、とも語った。アルモドバルの「ミューズ」になるには長い年月があったというわけです。マリオン・コティヤールも「あなたの素晴らしさと優しさで、今やみんなのイコンとなり、男性も女性も虜にしている」と、その魅力を讃えた。クルスにとっては忘れられない一夜となったでしょう。

最近のペネロペ・クルスの紹介記事はコチラ201823

  

ゴヤ賞ガラ直前のあれやこれや*ゴヤ賞2018 ⑧2018年02月03日 21:05

            ペネロペ・クルスに「セザール賞栄誉賞」とは!

 

★ゴヤ賞ガラに出席するため戻っていたマドリードの自宅の電話で知らされたという。前もってバルデム=クルス夫妻の不参加が伝えられていたのですが変更したようです。今回で10回目のノミネーション、受賞の可能性はゼロではないが下馬評の点数は低い。今年3度目の風邪をひいていたということですが、「セザール賞栄誉賞」のビッグ・ニュースで吹き飛んだことでしょう。23日のガラには予定通り出席ということです。フェルナンド・レオン・デ・アラノアLoving Pablo(西・ブルガリア)で夫婦揃って主演男優・女優にノミネートされています。久しぶりのスペイン人監督と母語で、コロンビアの麻薬王ペドロ・エスコバルのビオピックを撮るという触れ込みでしたが、出来上がってみれば英語なのでした。どうしてなのか理由は想像できますが、スペイン人の賛同は得られない。

 

        

       (ベネチア映画祭2017に出席したときのペネロペ・クルス、96日)

 

★フランスの「セザール賞」については説明不要と思いますが、この「栄誉または名誉賞」は「ゴヤ賞栄誉賞」と異なってインターナショナルな人選です。一応フランス映画に寄与したシネアストが対象でしたが現在はなし崩しになっています。初期こそフランス人が目立ちましたが、最近では外国勢、特にハリウッドで活躍するシネアストに与えられる傾向があります。フランス人の現役俳優では男優賞・女優賞にノミネートされるから栄誉賞は後回しにしているのかもしれない。受賞者によっては「なんだ、もう引退しろということか」とすねる人もいるらしい。

 

★女優に限るとダニエル・ダリュー、アヌーク・エーメ、ジャンヌ・モロー(2回)などは晩年になってから受賞しています。銀幕で活躍中のカトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・アジャーニ、イザベル・ユペール、ジュリエット・ビノシュは、まだ手にしていません。それに対して海外勢は、シャーロット・ランプリング、メリル・ストリープ、若いところではケイト・ウィンスレット、2014年の受賞者にいたっては30歳にもなっていないスカーレット・ヨハンソン(1984)だった。

 

43歳の受賞者ペネロペ・クルス1974、マドリード近郊アルコベンダス)は、スペイン人の受賞者としてはペドロ・アルモドバル1999年受賞)に次いで2人目です。ハリウッドでの成功と活躍が長かったせいか、妬み深い同胞からは「PPってスペイン人だったのね?」と嫌味を言われたりしたが、正真正銘のスペイン人なのでした(笑)。「とても驚いていますが、やはり嬉しいです。少し心配なのは受賞スピーチを書かなければならないこと。楽しんでもらえるよう準備したい。予想もしないことでしたが、自身にとっても家族にとっても、大いに夢がかなったということです。・・・15歳のときにこの世界に入り多くの経験を積み重ねながら、どうやって生きてきたか。これからも学びながら夢を追い続けます」と、エル・パイス紙のインタビューに答えていました。43歳とは言え、既に30年近いキャリアの持ち主なのでした。長編映画デビューは今は亡きビガス・ルナの『ハモンハモン』(92)でした。

 

★小さい子供が2人いるから25歳とか30歳のときのように仕事はできない。撮影、撮影の連続でセット暮らしが多い。家族と過ごせるように配慮してもらいながらバランスをとって仕事をしている。ブレーキをかけて、からだの声を聞きながらです。イランのアスガー・ファルハーディ監督の新作Todos lo saben(「Everybody Knows」西語・英語、2018年スペイン公開の予定)では撮影に4ヵ月かかりましたが、家族とは離れずにすみました。いつも仲間とは一緒で、自身もコマーシャルに出演しているランコムの化粧品も手放さないとか。自分にとって母親としての役割はとても重要だときっぱり。

 

(リカルド・ダリン、監督、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、「Todos lo saben」から)

 

★ゴヤ賞の候補に選ばれたことはとても幸運だったこと、つまりどれが選ばれるかは宝くじみたいなものだから。勿論受賞したら嬉しいが、一緒に仕事をした仲間の努力が反映されたと思って、今回は泣きました。しかしスペインでは「Loving Pablo」は未公開、DVDも届かず、投票のためのネット配信もできてない。アカデミー会員の方々には是非観てほしいと思っています。主演女優賞の予測を訊かれて「みんな望んでいるわよ。でも今回は無理かなと思っている。全員貰っていい仕事をしたわけで、具体的に名前を挙げるのは差し控えたい」と。インタビュー者は「ナタリエ・ポサはどう?」と訊いていたが、いくらエル・パイス紙のベテラン批評家でも失礼な質問だよ。

 

     

   (パブロ役のハビエル・バルデム、愛人役のペネロペ・クルス、「Loving Pablo」から)

 

★社会現象になっているセクハラ糾弾運動「Time's Up」については、賛同して寄付したと答えていた。現在のところ世界で1700万ドルが集まったという。ちょっと行きすぎかなと思われる告発も気になるが、今まで沈黙していたことが異常だったわけです。

 

★次回作も決まっていて、資金は準備できており、今年の夏にはクランクインするようです。新しい映画は、トッド・ソロンズLove Child(米、英語)、ブロードウェイのスターに憧れる自分勝手な男ナチョは父親を殺すことを画策している。彼を溺愛している母親と関係がある。ナチョにエドガー・ラミレス、クルスは母親を演ずる。ソロンズの過去の作品同様タブー視されるテーマを扱っているようだ。IMDbではコメディ・ドラマとあり、目下捉えどころがない。

 

 

★ノミネートされた作品の興行成績のトップは、新人監督賞候補者セルヒオ・G・サンチェスの「El secreto de Marrowbone」、2位パコ・プラサ『エクリプス』、3位ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ『ホーリー・キャンプ!』、イサベル・コイシェ「La libreria」、カルラ・シモン『夏、1993』、マヌエル・マルティン=クエンカ「El autor」、最多ノミネーションの「Handia」と続きます・・・。

 

       

      (「El secreto de Marrowbone」撮影中のセルヒオ・G・サンチェス監督)

 

★授賞式は現地時間32200スタートですが、RTVEでは1900から、出席者の赤絨毯登場は2025から見られます。日本との時差は8時間、こちらは寝ている時間帯です。

   

    

    (巨大ゴヤ胸像を挟んで司会者のホアキン・レイェスとエルネスト・セビーリャ)