第3回イベロアメリカ・プラチナ賞2016*ノミネーション発表2016年06月03日 13:11

        授賞式はウルグアイのプンタ・デル・エステ、724日開催

 

    

★「イベロアメリカ・プラチナ賞」は23カ国が参加するシネ・フェスティバルですが、ノミネーションから見えてくるのはスペイン、アルゼンチン、チリ、メキシコの作品がズラリ。申しわけ程度にペルー、コロンビア、グアテマラ、ブラジル、ポルトガル、肝心のウルグアイは何かノミネーションされていたかしら、いいえゼロです。メキシコでもアリエル賞と重なったのはガブリエル・リプスティンの"600 millas"だけのようです。映画祭の審査員も映画賞も「批評家」が選ぶわけではないので当然といえば当然かもしれない。作品賞にノミネートされた5作品のうち、グアテマラの8個はすべて『火の山のマリア』です。映画後進国グアテマラを応援する意味があるのでしょう。これは『大河の抱擁』についても言えること、アリエル賞の「イベロアメリカ映画賞」受賞作品です。

 

1986年、いわゆる「ウルグアイ・ラウンド」という通商交渉が行われたプンタ・デル・エステが開催地に選ばれた。ウルグアイは人口328万人(2011年)という南米でも2番めに小さい国、比較的治安の良い国と言われておりますが、昨今ではそうでもないということです。プンタ・デル・エステは大西洋に面したマルドナル県にある南米でも有数のリゾート地、富裕層がバカンスに訪れる。会場となる‘Centro de Convenciones de Punta del Este’は、まだ完成していないのか模型しか写真が入手できなかった。

 

   

             (お金持ちが集まる南米有数のリゾート地、プンタ・デル・エステ)

 

 

  

(会場となるプンタ・デル・エステ会議センターCentro del Convenciones の完成模型)

 

★主なカテゴリーのノミネーション(邦題『』は公開・映画祭上映作品、「」は仮題)

作品賞
"El Abrazo de la Serpiente"
 『大河の抱擁』 コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン 最多8
"El Clan"
 「ザ・クラン」 アルゼンチン、スペイン 6
"El club" 『ザ・クラブ』 チリ 6
"Ixcanul"
 『火の山のマリア』 グアテマラ 最多8
"Truman"
 「トルーマン」 スペイン、アルゼンチン 5


 『大河の抱擁』

   

          "El Clan"

    

               『ザ・クラブ』

    

      『火の山のマリア』

 

 
"Truman"

監督賞
アロンソ・ルイスパラシオス Alonso Ruizpalacios  "Güeros"『グエロス』(メキシコ)
セスク・ゲイ Cesc Gay 「トルーマン」
チロ・ゲーラ Ciro Guerra 『大河の抱擁』
パブロ・ララインPablo Larraín 『ザ・クラブ』
パブロ・トラペロ Pablo Trapero 「ザ・クラン」


         『グエロス』のアロンソ・ルイスパラシオス


男優賞
アルフレッド・カストロAlfredo Castro 『ザ・クラブ』
ダミアン・アルカサルDamián Alcázar "Magallanes"(ペルー、アルゼンチン・

  コロンビア・西) 監督:サルバドル・デル・ソラル
ギジェルモ・フランセージャGuillermo Francella 「ザ・クラン」
ハビエル・カマラJavier Cámara 「トルーマン」

リカルド・ダリンRicardo Darín  「トルーマン」


                    "Magallanes"のダミアン・アルカサル


女優賞
アントニア・セヘルスAntonia Zegers 『ザ・クラブ』
ドロレス・フォンシDolores Fonzi『パウリーナ』(アルゼンチン、ブラジル、フランス)

監督:サンティアゴ・ミトレ

エレナ・アナヤ Elena Anaya  "La memoria del agua"(チリ、アルゼンチン、西・独)

 監督:マティアス・ビゼ
インマ・クエスタInma Cuesta "La novia"(西・トルコ・独)監督:パウラ・オルティス
ペネロペ・クルスPenélope Cruz  "Ma Ma"(スペイン) 監督:フリオ・メデム



         『ザ・クラブ』のアントニア・セヘルス



『パウリーナ』のドロレス・フォンシ

 

 

              "La memoria del agua" のエレナ・アナヤ

 

              

                                                                 "La novia" のインマ・クエスタ

 

            

                            "Ma Ma" のペネロペ・クルス

 

オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス Alberto Iglesias  "Ma Ma"
フェデリコ・フシド Federico Jusid  "Magallanes"
ルカス・ビダル Lucas Vidal  "Nadie quiere la noche" 監督:イサベル・コイシェ
ナスクイ・リナレス Nascuy Linares 『大河の抱擁』
パスクアル・レイジェス Pascual Reyes『火の山のマリア』監督:ハイロ・ブスタマンテ


 "Nadie quiere la noche" ルカス・ビダル


ドキュメンタリー
"Allende mi abuelo Allende"
(チリ、メキシコ)『アジェンデ』

監督:マルシア・タンブッティ・アジェンデ
"Chicas nuevas 24 horas"
(西、アルゼンチン、パラグアイ、コロンビア、ペルー)

監督:マベル・ロサノ
"El botón de nácar" 『真珠のボタン』(チリ・仏・西) 監督:パトリシオ・グスマン
"La Once"
(チリ)監督:マイテ・アルベルディ
"The Propaganda Game"
(スペイン)監督:アルバロ・ロンゴリア
 

             マルシア・タンブッティ・アジェンデの "Allende mi abuelo Allende"

 

                  マベル・ロサノの "Chicas nuevas 24 horas"

 

        パトリシオ・グスマンの 『真珠のボタン』

 

マイテ・アルベルディの "La Once"

 

        アルバロ・ロンゴリアの "The Propaganda Game"


脚本賞
セスク・ゲイ、トマス・アラガイ Tomás Aragay 「トルーマン」
チロ・ゲーラ、ジャック・トゥーレモンド Jacques Toulemonde 『大河の抱擁』
ハイロ・ブスタマンテ Jayro Bustamante 『火の山のマリア』"
パブロ・ラライン、ギジェルモ・カルデロンGuillermo Calderón他 『ザ・クラブ』"
サルバドル・デル・ソラルSalvador Del Solar  "Magallanes"

撮影賞
アルナルド・ロドリゲス Arnaldo Rodríguez  "La memoria del agua"
ダビ・ガジェゴ David Gallego  『大河の抱擁』
ルイス・アルマンド・アルテアガ Luis Armando Arteaga 『火の山のマリア』
ミゲル・アンヘル・アモエド Miguel Ángel Amoedo  "La novia"
セルヒオ・アームストロング Sergio Armstrong  『ザ・クラブ』 

初監督作品賞
"600 millas"
(メキシコ) 監督:ガブリエル・リプスティン
"El desconocido"
(スペイン)『暴走車 ランナウェイ・カー』 監督:ダニ・デ・ラ・トーレ
"El patrón: Radiografía de un crimen"
(アルゼンチン、ベネズエラ)

監督:セバスティアン・シンデルSchindel
『火の山のマリア』 監督:ハイロ・ブスタマンテ
"Magallanes"
 監督:サルバドル・デル・ソラル


           セバスティアン・シンデルの"El patrón: Radiografía de un crimen"

 

        ガブリエル・リプステインの "600 millas"

 

 ダニ・デ・ラ・トーレの『暴走車 ランナウェイ・カー』

初出に国名を入れ、写真は多数につき1作品1枚を原則に適宜選びました。録音賞・編集賞・美術賞などは割愛。

 

★昨年の作品賞は、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』が10個ノミネーション、8個受賞とあんまりの結果にしらけました。今年はイベロアメリカ映画の将来を見据えての結果を期待したい。今回の総合司会者は、ウルグアイの女優・歌手・デザイナーのナタリア・オレイロ、お馴染みのサンティアゴ・セグラの二人。オレイロはルシア・プエンソの『ワコルダ』で少女の母親になった。

 

EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDA1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しており、現会長はスペインのエンリケ・セレソ、副会長は同アグスティン・アルモドバル。

 

マノエル・ド(デ)・オリヴェイラ逝去*現役監督106歳2015年04月07日 16:15

    「引退と死は同時だよ・・・」

★「・・撮りたい映画が頭の中に山ほどあるから」と生前語っていたように、望み通り「引退と死」は同時でしたでしょうか。去る42日の朝、ポルトの自宅で死去したことが親族からメディアに知らされました。19081211日ポルトガルの第二の港町ポルト生れだから、1世紀を優に超える実に長い人生でした。同じ年代生れの監督としては、ジャック・タチ、ロッセリーニ、オットー・プレミンジャー、ロベール・ブレッソン・・・勿論全員アチラに集合しておりますね。10歳年下の夫人マリア・イザベルさんはご健在です。杖をついた写真が多いが、実際に使用したのは最後の数ヵ月だったらしく<伊達ステッキ>でした。授賞式でもトントンと壇上に駆けあがっていました。 

 (<伊達ステッキ>だった頃のオリヴェイラ、ポルトの自宅にて、200912月)

 

★一族は裕福なブルジョア階級で、父親は電球製造工場などを経営する実業家だった。1919年から兄と一緒に北スペインのガリシア(ポンテベドラ)にあるイエズス会の学校で4年ほど学んでいる(マノエルは三男)。読書や幾何学が好きだったが、映画に夢中になるのに時間は掛からなかったという。最初の長編となる『アニキ≂ボボ』1942、モノクロ)は戦中のこともあり興行成績は惨敗、一部の批評家にしか受け入れられなかった。こんな映画を作れる監督は、ポルトガルでは前にも後にも現れませんでした。再評価までには10年以上待たねばならなかった。以後14年間映画界を離れて家業に就いていた。長い人生といっても本格的に長編を撮り始めたのは60歳を過ぎた1970年代から、特に『過去と現在―昔の恋、今の恋』1972)が注目を集めてからでした。

 

     (スポーツマンだった頃の監督、オート・レースに出場、28歳)

 

★国際スターを起用した最初の映画『メフィストの誘い』1995)は劇場公開されましたが、彼の代表作というわけではない。しかしポルトガルの俳優にとって、特に若いレオノール・シルヴェイラ(ピエダード)にとって、カトリーヌ・ドヌーヴ(エレーヌ)やジョン・マルコヴィッチのような大スターとの共演は大きなチャンスであったろう。エレーヌとピエダードは結局同一人物なのであるが、二人の女優が同一人物を演じるわけではない。ブニュエル的ではあるが二人の女優が一人の女性を演じた『欲望のあいまいな対象』(1977)とは異なる。オリヴェイラはかつて「私はブニュエルのようなものです。・・・カトリシズム抜きではブニュエル映画は存在しないだろう」と語っていますが、怖れ、罪、性は共通のテーマでしょうか。ルイス・ブニュエル『昼顔』1966)の後日談として撮ったゴージャスな『夜顔』2006)を捧げている。

 

   (カトリーヌ・ドヌーヴとルイス・ミゲル・シントラ、『メフィストの誘い』から)

 

★最後となった短編O Velho do Restelo2014、仮題「レステロの老人」)は、ヴェネチア映画祭で上映されました。オリヴェイラ映画には欠かせないルイス・ミゲル・シントラや孫のリカルド・トレパ(『家宝』『夜顔』など)が出演しています。ヴェネチアやカンヌなど国際映画祭で高く評価されようが、「カイエ・デュ・シネマ」のアンドレ・バザンがいくら褒めようが、ポルトガル人は彼の作品を観に映画館まで足を運ばない。謎を含んだまま不可解な結末を迎える映画は単純に楽しめないからです。1974年の「カーネーション革命」を感動的に描いたマリア・デ・メデイロスの『四月の大尉たち』(“Capitaes de abril”の直訳)は国民の8割が見たという(!?)。まあ、オリヴェイラも国民のために映画を撮っていたわけではないからおあいこですが。海の向こうの遠い日本でDVD-BOX(23枚組)が発売されていると知ったら、16世紀半ばに「日本発見」(種子島への鉄砲伝来のこと)をした国民はさぞかし驚くことでしょう()

 

       (ビュル・オジエ、監督、ミシェル・ピコリの三老人、『夜顔』の撮影)

 

★「・・・撮りたい映画が頭の中に山ほどあるが、さて、すべてを完成させるまで寿命が持つかどうかは分からない」、最期の時になれば(expiración) 悪事は消え去り、贖罪(expiación) が存在するだけだから、「息を引き取るとき結局、私のすべての悪事も終るでしょう」。

 

第1回イベロアメリカ・プラチナ賞*結果発表2014年04月17日 11:00

★第1回イベロアメリカ・プラチナ賞の授賞式が45日(現地時間)パナマの首都パナマのアナヤンシAnayansi劇場でおこなわれました。パナマ湾の海岸沿いに建つ約2800人収容の大劇場です。EGEDA FIPCAが主催、パナマ政府商工省の援助で華やかに開催されました。マグニチュード8.2の激震がチリ北部を襲った直後のことでしたが。ノミネーションはコチラ318日)へ。

EGEDAEntidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales

FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales

 


★本映画賞はイベロアメリカ諸国、ブラジル、スペイン、ポルトガルの22カ国、アメリカ大陸に暮らすスペイン語を母語とする人々の言わば<オスカー賞>です。結果は以下の通りですが、個人的にはいささか意外な結果でした。写真は作品賞にノミネートされていたダビ・トゥルエバのVivir es fácil con los ojos cerrados に出演したハビエル・カマラとホルヘ・サンスにエスコートされたロレト・ペラルタ。男優賞に輝いたメキシコのエウヘニオ・デルベスのNo se aceptan devoluciones でデビューした9歳の子役です。

 


◎最優秀作品賞:『グロリアの青春』セバスティアン・レリオ、2013、チリ=スペイン

ノミネート:スペインの3作、Vivir es fácil con los ojos cerrados ダビ・トゥルエバ、 La gran familia española ダニエル・サンチェス・アレバロ、 Las brujas de Zugarramurdi アレックス・デ・ラ・イグレシア、『ワコルダ』ルシア・プエンソ、アルゼンチン、『暗殺者と呼ばれた男』アンドレス・バイス、コロンビア、La jaura de oro ディエゴ・ケマダ・ディエス、メキシコさらに監督賞受賞のアマ・エスカランテ『エリ』を押さえての受賞でした。

写真はハビエル・マリスカルがデザインしたトロフィーを手にした監督と女優賞受賞のパウリーナ・ガルシア。トロフィーのデザインについてはコチラ220日)を。

 


◎監督賞:アマ・エスカランテ『エリ』2013メキシコ

ノミネート:『グロリアの青春』、『ワコルダ』、Vivir es fácil con los ojos cerrados

 

◎脚本賞:セバスティアン・レリオ、ゴンサロ・マサ『グロリアの青春』

ノミネート:ダニエル・サンチェス・アレバロLa gran familia española / ダビ・トゥルエバVivir es fácil con los ojos cerrados / ルシア・プエンソ『ワコルダ』

これは意外でした。「プラチナ賞」の場合、作品賞はトータルな賞であって、このなかには監督・脚本・製作も含まれている賞だと思います。賞の数が少ないのだから作品脚本賞をダブらせるのは賢明ではないのではないか。カンヌ映画祭のようにダブらさないほうが分かりやすい。カンヌは男優・女優もダブることがない。参加国22カ国を満足させることはありえないが、参加者はこれで納得したのだろうか。

 

◎男優賞:エウヘニオ・デルベスNo se aceptan devoluciones  2013メキシコ(監督が主演)

ノミネート:アントニオ・デ・ラ・トーレCaníbal マヌエル・マルティン・クエンカ監督、スペイン/ ビクトル・プラダEl limpiador アドリアン・サバ監督、ペルー/ リカルド・ダリンTesis sobre un omicidio エルナン・ゴールドフリード監督、アルゼンチン­=西 / ハビエル・カマラVivir es fácil con los ojos cerrados

下馬評通りだった。写真はコメディアン、俳優、監督、脚本家を兼ねる幸福度100%のエウヘニオ・デルベス。

 


◎女優賞:パウリーナ・ガルシア『グロリアの青春』

ノミネート:マリア・アルバレスLa herida フェルナンド・フランコ監督、スペイン/ ナタリア・オレイロ『ワコルダ』/ カレン・マルティネスLa jaura de oro / Nashia Bogaert ?Quién manda?  ロニー・カスティーリョ監督、ドミニカ共和国 / ラウラ・デ・ラ・ウスLa película de Ana 故ダニエル・ディアス・トーレス監督、キューバ

これは文句なしの受賞、成功のカギはひとえに彼女がグロリアを演じたからに他ならない。

 

◎オリジナル作曲賞:エミリオ・Kauderer  MetegolFutbolin2013、スペイン=アルゼンチン

ノミネート:カリン・Zielinski  El limpiador / ジョアン・バレントLas brujas de Zugarramurdi

 

◎アニメーション賞:MetegolFutbolin)フアン・ホセ・カンパネラ

*ゴヤ賞2014ノミネーション⑥で、監督についても既にご紹介済み、コチラ119日)へ。

(写真:フアン・ホセ・カンパネラ)

 


◎ドキュメンタリー賞:Con la pata quebrada  ディエゴ・ガラン、2013、スペイン

サンセバスチャン映画祭2013、トゥルーズ映画祭(スペイン映画)2013などで上映。ゴヤ賞2014でエンリケ・セレソ・プロダクションとエル・デセオ(アグスティン・アルモドバル)がノミネートされた。スペインでただ一人トロフィーを受け取りに登壇できたディエゴ・ガラン。テーマは女性の権利を獲得するために闘っている女性たちのドキュメンタリー。「闘い続ける女性たちに捧げたい」と。(写真はディエゴ・ガラン)

 


◎合作賞:『ワコルダ』(スペイン、アルゼンチン、フランス、ノルウェー)

*ノミネート:La jaura de oro (メキシコ、スペイン)/Esclavo de Diosウルグアイ、ベネズエラ、アルゼンチン、アメリカ)他

 

◎栄誉賞:ソニア・ブラガ Sonia Braga 1950年ブラジルのパラナ州マリンガ生れ、女優)

ブラジル、ポルトガルの両国は1作もノミネートがなかった。その埋め合わせではないでしょうが、第1回の栄誉賞はアメリカでも活躍して知名度抜群のソニア・ブラガに与えられました。1970年代から主にブラジルのテレビ・ドラマに出演、1985年にエクトル・バベンコのブラジル=アメリカ合作『蜘蛛女のキス』出演が転機となって活躍の場が広がった。マヌエル・プイグの同名小説の映画化ですね。他に公開作品では、ルイス・マンドーキ『エンジェル・アイズ』(2001)、メキシコのフアレス市で現実に起きている女性連続殺人事件をテーマにしたグレゴリー・ナヴァ『ボーダータウン 報道されない殺人者』(2006)など。未公開だと思うがカルロス・ヂエギスのTieta de Agreste1996)では主役を演じました。カルロス・ヂエギスは『オルフェ』(1999)の監督、カエターノ・ヴェローゾが音楽を担当したこともあって、かなり話題になりました。

 


2500人の聴衆を前にして、「私だけがカメラに囲まれておりますが、映画は一人でやれる芸術ではなく、仲間と一緒でないと作れない。同じ道を歩いてきたすべての仲間と、この賞を分かち合いたい」と平凡だが謙虚な挨拶をして満場の拍手を受けました。とても還暦過ぎとは思えない美しさです。

 

チリとメキシコが目立った授賞式でしたが、もっと言えば『グロリア』がグロリアした<グロリアの夕べ>でした。終わってみれば、合作賞を除く8賞のうち、チリ3、メキシコ2、アルゼンチン2、スペイン1でした。そもそもノミネーション自体に問題があったのかもしれない。個人的には今後もこれでいいのかな、と思っています。ラテン音楽のミュージシャン、カルロス・ビーベス、ファニー・ルー、シャイラ・ドゥルカル(ロシオ・ドゥルカルの娘)、ディエゴ・トーレスなどの出演がアナウンスされておりましたが、ガラは盛り上がったようですね。プレゼンターにはメキシコの女優アレサンドラ・ロサルド、コロンビアのジャーナリストで映画評論家のフアン・カルロス・アルシニエガスが登場、ロサルドは男優賞受賞のデルベスと2012年に結婚している。
(写真はロサルドとデルベス、ガラ前日のツーショット)

 


★バラバラな印象のイベロアメリカの映画界がこうして1ヵ所に集って刺激し合うことができたのは収穫でした。そこで語られたことの一つが、「映画祭で上映され評価されても一般公開に結びつかない」という嘆きでした。議論の焦点は今やハリウッドの大作にしか興味を示さない配給元に集中したらしい。作品賞受賞のセバスティアン・レリオ「何時どこに行っても見ることができるのがハリウッド映画。最近トゥルーズ映画祭の審査員をしたのだが、ここでは今まで見たことがない多くのラテンアメリカ映画を見ることができた」と語っている。

 

★かなりハリウッド映画を意識している監督が多く、No se aceptan devoluciones のデルベス監督も、「タイトルにNoを付けたのは海賊行為はノーだから。アメリカのPiratas del Caribe(シリーズ『パイレーツ・オブ・カリビアン』邦題)のような海賊もノーだよ。私たちが必要な資金をハリウッドのプロダクションが提供してくれることはない」と語っている。ナイナイ尽くしで映画を作っているが、才能だけではハリウッドに負けない。これがイベロアメリカ・プラチナ賞関係者の一致した意見です。

 

第1回イベロアメリカ・プラチナ賞2014年02月20日 20:19

★ゴヤ賞が終わったらベルリン映画祭、オスカー賞、マラガ映画祭、カンヌが恒例行事でしたが、今年から新たに「イベロアメリカ・プラチナ賞」が創設され順番が変わりました。ブラジルを含めたラテンアメリカ諸国にポルトガル、スペインを含めて合計22カ国が一堂に会しての映画賞です。参加国の映画アカデミーが団結して全世界に向けてイベロアメリカ映画を発信しよう。映画産業では弱小国が多いラテンアメリカ諸国でも束になれば・・・「三本の矢」ということらしい。

 

★第1回授賞式は45日パナマにて開催されます。まずトロフィーのご紹介、デザインはハビエル・マリスカルF・トゥルエバ監督とのコラボで『チコとリタ』(2010)を撮ったスペインのアーチスト。1992年のバルセロナ・オリンピックのマスコット≪コビー≫ちゃんの生みの親です。写真でお分かりのように、両手を高く差し上げて地球を支えているちょっとセクシーな女性像です。先週の金曜日にマドリードの「カサ・デ・アメリカ」にてご披露されました。国境を越えての映画賞ですから、見通しとしては困難が予想されますね。

 


★作品賞、監督賞、脚本賞、オリジナル作曲賞、男優・女優賞、アニメーション賞、ドキュメンタリー賞の8部門栄誉賞です。ノミネーションは作品賞と男優・女優が5作品、残りは3作品です。第1回は101作品の中から選ばれ、ノミネーション発表は313です。栄誉賞は昨年3月に鬼籍入りしたキューバの名プロデューサー、カミロ・ビベスと既にアナウンスされています。『ルシア』『苺とチョコレート』『グアンタナメラ』『永遠のハバナ』、スペインとの合作『ハバナ・ブルース』など数えきれない名画を製作しましたから個人的にも嬉しい。

(写真はプラチナ賞の宣伝ポスター)

 

    スペイン代表作品

○“Vivir es fácil con los ojos cerrados ダビ・トゥルエバが作品賞・監督&脚本賞

ハビエル・カマラが男優賞

○“Las brujas de Zugarramurdiアレックス・デ・ラ・イグレシアが作品賞

                ジョアン・バレントがオリジナル作曲賞

○“La gran familia española”ダニエル・サンチェス・アレバロが作品賞・監督&脚本賞、

○“Caníbal”(マヌエル・マルティン・クエンカ)アントニオ・デ・ラ・トーレが男優賞

○“La herida”(フェルナンド・フランコ)マリアン・アルバレスが女優賞

○“3 bodas de más”(ハビエル・ルイス・カルデラ) インマ・クエスタが女優賞

○『アイム・ソー・エキサイテッド』(アルモドバル)アルベルト・イグレシアスがオリジナル作曲賞

○“Con la pata quebrandaディエゴ・ガランがドキュメンタリー賞

○“Las maestras de la República ピラール・ペレス・ソラノがドキュメンタリー賞

青ゴチック体がゴヤ賞ノミネート無し。ゴヤ賞総括でデ・ラ・イグレシア丸の船長を評価しなかったことにイチャモンつけたが、今度は選んだことを評価しよう。アルモドバルのお気に入り作曲家イグレシアスはゴヤ胸像のコレクター、もう8個も持っているからゴヤ賞は充分です。後進に道を譲りましょう。国際的にも実績あり、最初に選ばれるべき人ですね。がゴヤ賞受賞者。

 

    審査員&プレゼンター他

○現在審査員として決定しているのは、イバン・トルヒーリョ(グアダラハラ映画祭ディレクター)、パス・ラサロ(ベルリン映画祭のプログラム編成者・ヨーロッパ映画アカデミー助言者)の二人だけ、他にラテンアメリカの監督や作家が予定されているが、まだ決定に至っていない。

○プレゼンターはメキシコの女優アレサンドラ・ロサルド、アメリカ在住のコロンビア人ジャーナリスト、フアン・カルロス・アルシニエガ。

○プラチナ賞のディレクター、ミゲル・アンヘル・ベンサルによると、授賞式の模様は各国でテレビ中継され、だいたい100分の予定。