アルモドバル”Julieta”*カンヌ映画祭2016ノミネーション発表 ①2016年05月08日 15:50

                騒々しいカンヌの季節が巡ってきました!

 

           

               (カンヌ映画祭2016のポスター)

 

★第69回カンヌ映画祭は511日に開幕、結果発表が22日という長いショービジネスです。コンペティションには、スペインからはアルモドバルJulieta1作だけですが、ないよりあるだけマシでしょうか。カンヌに照準を合わせて映画製作をしている監督、まだキャストもロッシ・デ・パルマしかアナウンスされていなかったときからノミネーション確率は120パーセントだったから誰も驚かない。逆にノミネーションされなかったらサプライズだったでしょう。パルムドール5回目の挑戦です。過去には『オール・アバウト・マイ・マザー』99)で監督賞、『ボルベール〈帰郷〉』06)で脚本賞、しかし肝心のパルムドールには嫌われている。もっともスペイン人の受賞者は半世紀以上前のブニュエルだけかも。受賞作品はフランコ体制下では物議をかもしても当然だった『ビリディアナ』(1961)でした。他『抱擁のかけら』と『私が、生きる肌』はノミネーションだけ、『バッド・エデュケーション』はコンペ外でした。

 

  

                       (“Julieta”のポスター、2人のフリエタ)

 

★監督自身は兄弟の製作会社「エル・デセオ」が、例の「パナマ文書」に関係していたため大ツナミに襲われ窮地に立たされています。幸い日本ではアルモドバルの名前は報道されなかったと思う。監督は責任を認めていますが、ただしメディアの扇情的な報道の仕方には「遺憾」を表明しています。納税の義務は遅滞なく果たすと強調しておりました。そもそもの発端は、ジュネーブのモサック・フォンセカ法律事務所のPCがハッキングされて流失した機密文書、兄弟はこの法律事務所に1990年代の初めから委託していたようです。つまり他にもヴァージン諸島なども利用していたということでしょうか。 

   

                                    (最近のアルモドバル、20164月、マドリードにて)

 

★映画に戻ると、“Julieta”のテーマは、息が詰まるような性道徳観に風穴をあけたいという監督の思いというか挑戦があるように感じますが、共感するかしないかは、いずれ分かります。ヒロインは30年にわたって無理解に苦しむわけですが、母と娘の関係は難しい。今年のカンヌの顔ぶれは結構大物監督が目立ちます。アルモドバルの下馬評は悪くない位置につけているようですが、こればかりは蓋を開けてみないと分からない。

Julieta”のデータやキャスト紹介の記事は、コチラ⇒2016219

    

  

      メキシコでもなくアルゼンチンでもなく、ブラジル映画がノミネーション

 

★今年のカンヌにはメキシコは残れず、ブラジルからKleber Mendonça Filho1968年生れ、クレベール・メンドンサ・フィリオ)のAquarius(仏合作)がノミネートされています。長編は2作目ですが、1997年より多くの中短編、ドキュメンタリーなどを発表している。デビュー作O som ao redor(“Neighboring Sounds”)は、ロッテルダム映画祭2012で上映され、ヒューバート・バルシ基金を貰った。トロント映画祭を含め海外の映画祭でも上映された作品です。日本で毎年開催されるブラジル映画祭に出品されたかどうか、スペイン語映画ではないので調べておりません。オスカー賞2014のブラジル代表作品に選ばれた由。第2作はソニア・ブラガが演じる音楽評論家クララの物語、3人の子供も独立、夫にも先立たれ執筆活動はしていない。時間を自由に旅することができる身分だが、かつては上流階級用のアパートも老朽化し地上げ屋の餌食になろうとしている。こんなお話のようです。

 

 
               (ソニア・ブラガ、映画から)

 

★ブラジル映画は一時勢いがありましたが、メキシコやアルゼンチンに比較すると、3代映画祭には遅れをとっている印象でした。政治的にも不安定、オリンピックも開催できるかどうか心配なくらいです。しかしブラジルは本作以外にも短編部門にエントリーされていますから、盛り返しつつあるのかもしれません。昨年はコロンビア映画がやたら元気でしたが、今年は相対的にラテンアメリカは静かでしょうか。

 

★次回は「ある視点」部門ノミネーション、アルゼンチン映画La larga noche de Francisco Sanctisという若い二人の監督のデビュー作です。

「批評家週間」もう1作はアルゼンチン*カンヌ映画祭2015 ④2015年05月21日 20:45

     『エストゥディアンテ』のサンティアゴ・ミトレの第2

 

★「正確にはカンヌじゃないが、同じ映画祭のように力があり面白い」批評家週間の続き。もう1本はアルゼンチンからLa patota、カンヌでのタイトルはPaulinaです。そう、ダニエル・ティナイレが1960年にモノクロで撮った“La patota”のリメイク版。こちらはベルリン映画祭1961に正式に出品された作品。ヒロインのパウリーナを演じたミルタ・レグランドも孫のナチョ・ビアレと一緒にカンヌ入りの予定でしたが風邪のためキャンセルになったようです。ビアレは本作のプロデューサーの一人です。

 


★さて、サンティアゴ・ミトレはラテンビート2012で長編デビュー作『エストゥディアンテ』2011El estudiante”)が上映されたおり来日しています。まだ当ブログは存在していなかったので第2作目でも初登場です。同映画祭でお馴染みのパブロ・トラペロの『檻の中』(08)や『カランチョ』(10)、『ホワイト・エレファント』(12)の共同脚本家としても活躍しています。他に公開された映画では、オムニバス映画『セブン・デイズ・イン・ハバナ』(12)の第2話「ジャム・セッション」を監督のトラペロと共同執筆している。1980年ブエノスアイレス生れ、監督、脚本家、製作者、編集者。本作のパウリーナを演じるのは、昨年ガエル・ガルシア・.ベルナルと正式に離婚したドロレス・フォンシ。新恋人というかフィアンセが監督のサンティアゴ・ミトレ、新婚旅行を兼ねて(?)カンヌ入りしている。

 

  (『エストゥディアンテ』の主人公を演じたエステバン・ラモチェ、本作にも出演)

 

      Paulina(オリジナル・タイトルLa patota

製作:Union de los Rios, La / Lita Stantic Producciones / Television Federal (Telefe) ほか

監督・脚本:サンティアゴ・ミトレ

脚本(共同):マリアノ・ジィナス 

1960年版のエドゥアルド・ボラスとダニエル・ティナイレの脚本がベース

撮影:グスタボ・ビアツィ

音楽:ニコラス・バルチャスキー

データ:アルゼンチン≂ブラジル≂仏、2015年、スペイン語・グアラニー語、スリラー、103分、撮影地アルゼンチンのミシオネス州Misiones、製作費:約1000ARS(アルゼンチンペソ)、アルゼンチン公開2015618

 

キャストドロレス・フォンシ(パウリーナ)、オスカル・マルティネス(フェルナンド)、エステバン・ラモチェ、ほか

 

プロット:弁護士としての輝かしいキャリアをもつブルジョア階級出身のパウリーナの物語。弁護士の仕事をやめ、ミシオネスの貧しい地区に暮らす若者たちを教えようと決心する。そこで起きたこと、それは徒党を組んだ若者の不良グループ「パトータ」からレイプという暴力を受けたことだ。パウリーナは思索的で強い意志をもつ女性だが、扱いにくい気難しい登場人物。極めて政治的な強いテーマをもった映画だが、社会の階級を裁くことが主眼ではない。

 

解説 パトータpatotaという単語は、アルゼンチンの一種の隠語ルンファルドで、若者の不良仲間を指す。スペイン語ではpanda pandillaにあたる。カンヌでのタイトルがヒロインの名前に変わったのには、1960年版と同題になるのを避ける意味と言葉の分かりにくさが配慮されたのかもしれない。時代が半世紀も違うからリメイクといってもかなり違った印象を受ける。前作には“Ultraje”(乱暴・侮辱)という別タイトルもある。1960年のアルゼンチンはペロン失脚後、ペロニスタと軍部が対立する混乱期だったことを考えると、よくこんな映画が撮れたものだと驚く。(写真下は、1960年版のポスター、映画はモノクロ)

 


パウリーナが赴任するミシオネス州はアルゼンチン北東部に位置し、ブラジルとパラグアイに国境を接している。そのせいでイタリア人、ドイツ人、スペイン人、ポトガル人の他、東欧北欧の人、アラブ人などが混在している。かつては先住民グアラニー族が住んでいた土地であり、今でもグアラニー語が話されている。

 

           (ミシオネスで撮影中のドロレス・フォンシ)

 

*トレビア*

ドロレス・フォンシDolores Fonziは、1978年アルゼンチンのアドログエ生れ。デビューは17歳、キャリアも既に20年近くなる。フィト・パエスの『ブエノスアイレスの夜』(2001)で共演したガエル・ガルシア・ベルナルと再婚して一男一女の母となるが、2014年に離婚した。現在は本作撮影中に愛が芽生えた監督サンチャゴ・ミトレと婚約中。1960年版の監督ダニエル・ティナイレとパウリーナ役のミルタ・レグランドは夫婦であったから不思議な縁を感じさせる。カンヌは2度目、最初はパブロ・アグエロの“Salamandra”(2007)で「誰もカンヌがこんなに寒いと教えてくれなかった」と。今年は晴天に恵まれているようですが雨が降ると寒い。撮影前に監督からは「撮影終了まで前作を見ないようにと助言されたので見なかったが、今は既に5回見ている」由。「アルゼンチンからの移動と映画のプロモーションでくたくただが、とても満足している」のは、海外メディアの反応がポジティブな評価をしてくれたからのようです。

 

             (恋人二人、ドロレスとサンティアゴ)

 

★ミトレ監督は、カンヌではかなりナーバスだったらしい。「受け入れには懐疑的でした。この映画は辛くて居心地のよいものではないし、複雑な問題を抱え込んでいるから。でも3回の上映とも観客の入りはよく拍手をたくさん戴けた。カンヌはこの映画が広く配給されるのに役立った。なぜならカンヌは映画のフェスティバルというだけでなく重要な商談の場所でもあるからです」とミトレ。そうですね、映画祭映画で終わることのないよう祈りたい。

 

1960年版のパウリーナことミルタ・レグランドは、1927年アルゼンチンのサンタフェ生れ。1940年子役で映画デビュー。夫ダニエル・ティナイレ(191094)が撮った“La patota”で「スター誕生」となる。2012年のTVドラ・ミニシリーズ“La Dueña”でマルティン・フィエロ賞(テレビ部門)にノミネートされている。カンヌでは赤絨毯をどんな衣装で歩くのか、暖かいのか寒いのか分からないのでロングドレスを数着もっていく、髪のセットはどこでやるのか、などに心を砕いておりましたが、風邪をこじらせて出発直前の512日に出席をキャンセルしたそうです。

 

           (カンヌには行けなかったミルタ・レグランド)


第1回イベロアメリカ・プラチナ賞*結果発表2014年04月17日 11:00

★第1回イベロアメリカ・プラチナ賞の授賞式が45日(現地時間)パナマの首都パナマのアナヤンシAnayansi劇場でおこなわれました。パナマ湾の海岸沿いに建つ約2800人収容の大劇場です。EGEDA FIPCAが主催、パナマ政府商工省の援助で華やかに開催されました。マグニチュード8.2の激震がチリ北部を襲った直後のことでしたが。ノミネーションはコチラ318日)へ。

EGEDAEntidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales

FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales

 


★本映画賞はイベロアメリカ諸国、ブラジル、スペイン、ポルトガルの22カ国、アメリカ大陸に暮らすスペイン語を母語とする人々の言わば<オスカー賞>です。結果は以下の通りですが、個人的にはいささか意外な結果でした。写真は作品賞にノミネートされていたダビ・トゥルエバのVivir es fácil con los ojos cerrados に出演したハビエル・カマラとホルヘ・サンスにエスコートされたロレト・ペラルタ。男優賞に輝いたメキシコのエウヘニオ・デルベスのNo se aceptan devoluciones でデビューした9歳の子役です。

 


◎最優秀作品賞:『グロリアの青春』セバスティアン・レリオ、2013、チリ=スペイン

ノミネート:スペインの3作、Vivir es fácil con los ojos cerrados ダビ・トゥルエバ、 La gran familia española ダニエル・サンチェス・アレバロ、 Las brujas de Zugarramurdi アレックス・デ・ラ・イグレシア、『ワコルダ』ルシア・プエンソ、アルゼンチン、『暗殺者と呼ばれた男』アンドレス・バイス、コロンビア、La jaura de oro ディエゴ・ケマダ・ディエス、メキシコさらに監督賞受賞のアマ・エスカランテ『エリ』を押さえての受賞でした。

写真はハビエル・マリスカルがデザインしたトロフィーを手にした監督と女優賞受賞のパウリーナ・ガルシア。トロフィーのデザインについてはコチラ220日)を。

 


◎監督賞:アマ・エスカランテ『エリ』2013メキシコ

ノミネート:『グロリアの青春』、『ワコルダ』、Vivir es fácil con los ojos cerrados

 

◎脚本賞:セバスティアン・レリオ、ゴンサロ・マサ『グロリアの青春』

ノミネート:ダニエル・サンチェス・アレバロLa gran familia española / ダビ・トゥルエバVivir es fácil con los ojos cerrados / ルシア・プエンソ『ワコルダ』

これは意外でした。「プラチナ賞」の場合、作品賞はトータルな賞であって、このなかには監督・脚本・製作も含まれている賞だと思います。賞の数が少ないのだから作品脚本賞をダブらせるのは賢明ではないのではないか。カンヌ映画祭のようにダブらさないほうが分かりやすい。カンヌは男優・女優もダブることがない。参加国22カ国を満足させることはありえないが、参加者はこれで納得したのだろうか。

 

◎男優賞:エウヘニオ・デルベスNo se aceptan devoluciones  2013メキシコ(監督が主演)

ノミネート:アントニオ・デ・ラ・トーレCaníbal マヌエル・マルティン・クエンカ監督、スペイン/ ビクトル・プラダEl limpiador アドリアン・サバ監督、ペルー/ リカルド・ダリンTesis sobre un omicidio エルナン・ゴールドフリード監督、アルゼンチン­=西 / ハビエル・カマラVivir es fácil con los ojos cerrados

下馬評通りだった。写真はコメディアン、俳優、監督、脚本家を兼ねる幸福度100%のエウヘニオ・デルベス。

 


◎女優賞:パウリーナ・ガルシア『グロリアの青春』

ノミネート:マリア・アルバレスLa herida フェルナンド・フランコ監督、スペイン/ ナタリア・オレイロ『ワコルダ』/ カレン・マルティネスLa jaura de oro / Nashia Bogaert ?Quién manda?  ロニー・カスティーリョ監督、ドミニカ共和国 / ラウラ・デ・ラ・ウスLa película de Ana 故ダニエル・ディアス・トーレス監督、キューバ

これは文句なしの受賞、成功のカギはひとえに彼女がグロリアを演じたからに他ならない。

 

◎オリジナル作曲賞:エミリオ・Kauderer  MetegolFutbolin2013、スペイン=アルゼンチン

ノミネート:カリン・Zielinski  El limpiador / ジョアン・バレントLas brujas de Zugarramurdi

 

◎アニメーション賞:MetegolFutbolin)フアン・ホセ・カンパネラ

*ゴヤ賞2014ノミネーション⑥で、監督についても既にご紹介済み、コチラ119日)へ。

(写真:フアン・ホセ・カンパネラ)

 


◎ドキュメンタリー賞:Con la pata quebrada  ディエゴ・ガラン、2013、スペイン

サンセバスチャン映画祭2013、トゥルーズ映画祭(スペイン映画)2013などで上映。ゴヤ賞2014でエンリケ・セレソ・プロダクションとエル・デセオ(アグスティン・アルモドバル)がノミネートされた。スペインでただ一人トロフィーを受け取りに登壇できたディエゴ・ガラン。テーマは女性の権利を獲得するために闘っている女性たちのドキュメンタリー。「闘い続ける女性たちに捧げたい」と。(写真はディエゴ・ガラン)

 


◎合作賞:『ワコルダ』(スペイン、アルゼンチン、フランス、ノルウェー)

*ノミネート:La jaura de oro (メキシコ、スペイン)/Esclavo de Diosウルグアイ、ベネズエラ、アルゼンチン、アメリカ)他

 

◎栄誉賞:ソニア・ブラガ Sonia Braga 1950年ブラジルのパラナ州マリンガ生れ、女優)

ブラジル、ポルトガルの両国は1作もノミネートがなかった。その埋め合わせではないでしょうが、第1回の栄誉賞はアメリカでも活躍して知名度抜群のソニア・ブラガに与えられました。1970年代から主にブラジルのテレビ・ドラマに出演、1985年にエクトル・バベンコのブラジル=アメリカ合作『蜘蛛女のキス』出演が転機となって活躍の場が広がった。マヌエル・プイグの同名小説の映画化ですね。他に公開作品では、ルイス・マンドーキ『エンジェル・アイズ』(2001)、メキシコのフアレス市で現実に起きている女性連続殺人事件をテーマにしたグレゴリー・ナヴァ『ボーダータウン 報道されない殺人者』(2006)など。未公開だと思うがカルロス・ヂエギスのTieta de Agreste1996)では主役を演じました。カルロス・ヂエギスは『オルフェ』(1999)の監督、カエターノ・ヴェローゾが音楽を担当したこともあって、かなり話題になりました。

 


2500人の聴衆を前にして、「私だけがカメラに囲まれておりますが、映画は一人でやれる芸術ではなく、仲間と一緒でないと作れない。同じ道を歩いてきたすべての仲間と、この賞を分かち合いたい」と平凡だが謙虚な挨拶をして満場の拍手を受けました。とても還暦過ぎとは思えない美しさです。

 

チリとメキシコが目立った授賞式でしたが、もっと言えば『グロリア』がグロリアした<グロリアの夕べ>でした。終わってみれば、合作賞を除く8賞のうち、チリ3、メキシコ2、アルゼンチン2、スペイン1でした。そもそもノミネーション自体に問題があったのかもしれない。個人的には今後もこれでいいのかな、と思っています。ラテン音楽のミュージシャン、カルロス・ビーベス、ファニー・ルー、シャイラ・ドゥルカル(ロシオ・ドゥルカルの娘)、ディエゴ・トーレスなどの出演がアナウンスされておりましたが、ガラは盛り上がったようですね。プレゼンターにはメキシコの女優アレサンドラ・ロサルド、コロンビアのジャーナリストで映画評論家のフアン・カルロス・アルシニエガスが登場、ロサルドは男優賞受賞のデルベスと2012年に結婚している。
(写真はロサルドとデルベス、ガラ前日のツーショット)

 


★バラバラな印象のイベロアメリカの映画界がこうして1ヵ所に集って刺激し合うことができたのは収穫でした。そこで語られたことの一つが、「映画祭で上映され評価されても一般公開に結びつかない」という嘆きでした。議論の焦点は今やハリウッドの大作にしか興味を示さない配給元に集中したらしい。作品賞受賞のセバスティアン・レリオ「何時どこに行っても見ることができるのがハリウッド映画。最近トゥルーズ映画祭の審査員をしたのだが、ここでは今まで見たことがない多くのラテンアメリカ映画を見ることができた」と語っている。

 

★かなりハリウッド映画を意識している監督が多く、No se aceptan devoluciones のデルベス監督も、「タイトルにNoを付けたのは海賊行為はノーだから。アメリカのPiratas del Caribe(シリーズ『パイレーツ・オブ・カリビアン』邦題)のような海賊もノーだよ。私たちが必要な資金をハリウッドのプロダクションが提供してくれることはない」と語っている。ナイナイ尽くしで映画を作っているが、才能だけではハリウッドに負けない。これがイベロアメリカ・プラチナ賞関係者の一致した意見です。