マラガ-スール賞にロッシ・デ・パルマ*マラガ映画祭2026 ⑥ ― 2026年04月07日 10:15
大賞マラガ-スール賞に比類のない才能の持ち主ロッシ・デ・パルマ

★3月7日、セルバンテス劇場で、ロッシ・デ・パルマのマラガ-スール賞のガラが祝われました。プレゼンターにマベル・ロサノ、カルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョ、そして受賞者の娘ルナ・リオネからトロフィーを受け取りました。ロサノは作家で映画監督、女優、モデルと受賞者と同じく多才、活動家でもある。女優のカルメン・マチ(2025年)とブランカ・ポルティーリョ(2023年)は、それぞれマラガ-スール賞の受賞者、当日上映されたペドロ・アギレラの「Día de Caza」の共演者でもある。簡単なミニキャリア紹介は既にアップしておりますので、今回はガラの模様と受賞者のフィルモグラフィーを中心にお届けします。
*ミニキャリア紹介は、コチラ⇒2026年03月19日

(受賞者、マベル・ロサノ、カルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョ、ルナ・リオネ)
★マベル・ロサノは会場に出席してくれたファンに歓迎の言葉を述べ、「この賞は、スクリーンに姿を見せる度に私たちに強い印象を残してきた忘れられない人々に敬意を表するため役立っています」と。「ロッシは私の姉妹、私の親友、そして共犯者です。ずっと昔から一緒に歩いてきました。これは比喩なんかじゃなく現実なんです、だって私たちは隣人でもあるからね」、「ロッシ・デ・パルマは、独創的、とても個性的で存在感があり、カリスマ的でもある。彼女の才能は世界が認めています」と、受賞者を紹介した。また、受賞者の芸術的な側面、映画を含めて舞台、モード、デザイン、その他創造力豊かな分野、社会活動などにも触れ、受賞者の功績を称えました。

(マベル・ロサノ)
★昨年の受賞者であるカルメン・マチは、「私は80年代のモビダ・マドリレーニャ運動全盛期にPeor Impossible*で彼女を見て魅せられていました。この女性とどうしたら友達になれるかと考えていました。そうこうしているうちに人生は私に贈り物をしてくれた。最終的には映画で共演することにもなったのです。ロッシは全方位的なアーティスト、映画においても人生においてもシンボリックな存在です。しかし、なかでも美しさと寛容な心の広い女性であることは、みんなが認めるところです」とスピーチした。
*モビダ・マドリレーニャ運動というのは、フランコ独裁政権後の民主化移行期にマドリードで発生した若者中心のカウンターカルチャー運動。自由、性的解放、自己表現を掲げ、音楽、映画、芸術、ファッションなどの分野で変革を求め、80年代前半が全盛期だった。Peor Impossible は、1984年に活動を開始したポップミュージックのグループ、ロッシ・デ・パルマはメンバーの一人でした。

(昨年の受賞者カルメン・マチ)
★2023年の受賞者ブランカ・ポルティーリョは、「多分わたしは、個人的にはそれほど親しくなかった。しかしロッシ・デ・パルマには脱帽、心から感心しております。時を分かち合い、仕事を共にすることで、彼女が模範となる女性であること、地面を揺るがせるエネルギーを持っていることに気づきました。美しさ、探求心、優しさ、そして圧倒的な力強さがあり、内面からにじみだす美しさに溢れ、なかでも心の広い素晴らしい仲間です」と、受賞者のエネルギッシュでありながらも、その繊細さを強調しました。

(エネルギッシュで心の広い受賞者を強調するブランカ・ポルティーリョ)
★受賞者の娘ルナ・リオネ(1999年生れ、歌手、モデル)は、彼女のもとで大きくなったことの重要性について語りました。「ロッシ・デ・パルマの娘であることをどう思うか、よく聞かれました。私はいつも同じ返事、決して私を退屈させることがないと応えました。ロッシは多面的な素晴らしい女性です」。ルナにとってロッシ・デ・パルマの娘であることは大きな幸運だと強調しました。デ・パルマにはもう一人ガブリエル(1998)というミュージシャンの息子がいる。「地獄の日々だった」という子供たちの父親から逃れるため、小さい二人を抱えて逃亡して以来、子供中心の生活を重視して、現在は独身と称している。ルナとのツーショットを当ブログでも紹介している。

(「あなたの娘であるのは幸運」と母親を称えるルナ・リオネ)
★会場の座席でプレゼンターたちのスピーチに聞き入っていた受賞者は、登壇すると「今、私は盛大な誉め言葉の数々に当惑しています。何しろ私はお世辞の嵐には馴れておりません」と挨拶して会場を沸かせた。映画祭やマラガ市との絆について「デ・パルマは、映画祭の草創期から素晴らし瞬間を共にしてきました。最も重要なことは、信じられないやり方で映画に専念するマラガの観客の皆さまです」と。「私たち全ての人々がアーティストです。ビスナガ賞受賞者も(砂浜で)魚の串焼きをする職人もアーティストです」と、お金にはちょっと不自由をしているスペインの老若男女に感謝の言葉を述べた。

(会場の座席でプレゼンターのスピーチに聞き入る受賞者)
★最近鬼籍入りした両親のこと、モビダ・マドリレーニャ運動、Peor Impossible、アルモドバル、ジャン=ポール・ゴルチエ、ロバート・アルトマン、マイク・フィギス(英)、テリー・ギリアム、アレキサンダー・マックイーン(英)、サン・ローランなど、フランス、米国、イギリスのシネアストやデザイナーについて語りました。

★当日、バンデラス遊歩道に建立された記念碑の除幕式が、マラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレ以下、歴史的文化遺産担当議員マリアナ・ピネダ、生れ故郷バレアーレス自治体の文化担当書記官ペドロ・ビダル、スール紙の編集長アルベルト・ゴメス・アルメンドレス、本祭ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルなど大勢が参加して行われました。更に授与式の後、ペドロ・アギレラの「Día de Caza」(「狩の日」25)が上映されました。カルロス・サウラが初めてエリアス・ケレヘタとタッグを組んだ長編3作目「La caza」を女性主演で再構築したものです。ベルリン映画祭1966で監督賞を受賞、サウラの力量を国際的に認めさせることになった作品。本邦でも「スペイン映画祭1984」で『狩り』の邦題で上映されました。人里離れた狩猟場でウサギ狩りをする4人の男たちの朝から夕方までの1日を描いたもので、最後には狩り以上に凄惨な結末を迎える。今回プレゼンターを務めたカルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョが共演する。


(除幕式の参加者に囲まれて)


(上映された「Día de Caza」とサウラの『狩り』)
★受賞者紹介:ロッシ・デ・パルマ(本名ロサ・エレナ・ガルシア・エチャベ、パルマ・デ・マジョルカ1964)、少女時代は両親の出身地であるカステリョン(バレンシア)やアビレス(アストゥリアス)で育った。フィルモグラフィーは、1986年デビューだが脇役が多いせいか3桁を超す。受賞歴のある話題作、DVD発売やネットで配信中の作品に絞ってアップします。
1987『欲望の法則』 監督ペドロ・アルモドバル
1988『神経衰弱ぎりぎりの女たち』 監督同上 ACE賞1989助演女優賞ノミネート
1989『アタメ』 監督同上
1992『サム・サフィ』(フランス) 監督ヴィルジニー・テヴェネ(ヴァージニー・テヴネ)
1993『ハイルミュタンテ!電撃XX作戦』 監督アレックス・デ・ラ・イグレシア
1993『キカ』 監督P・アルモドバル ゴヤ賞1994助演女優賞ノミネート
スペイン俳優組合助演女優賞ノミネート、ACE賞1995助演女優賞受賞
1994『プレタポルテ』(米国) 監督ロバート・アルトマン
米ナショナル・ボード・オブ・レビュー1994アンサンブル演技賞受賞
1995『私の秘密の花』 監督 P・アルモドバル、ゴヤ賞1996助演女優賞ノミネート、
スペイン俳優組合助演女優賞ノミネート
1998『踊るのよ、フランチェスカ!』(米国) 監督ケリー・セイン
1998「Hors Jeu」(フランス) 監督カリム・ドリディ、ロカルノ映画祭特別賞受賞
1998『セクシュアル・イノセンス』(イギリス) 監督マイク・フィギス
2002『ル・ブレ』(仏・英) 監督アラン・ベルベリアン、フレデリック・フォレスティエ
2004『ピープル』(仏・西、フランス語) 監督ファビアン・オンテニエンテ
2004『ダブルオー・ゼロ』(仏・英、仏語・英語) 監督ジェラール・ピレス
2005『20センチ!』(東京国際映画祭) 監督ラモン・サラサール
2009『抱擁のかけら』 監督 P・アルモドバル
2016『ジュリエッタ』 監督 P・アルモドバル フェロス賞2017助演女優賞ノミネート
2017『マダムのおかしな晩餐会』(フランス、仏語・西語・英語) 監督アマンダ・スターズ
ガスパリラ映画祭国際演技賞受賞
2018『テリーギリアムのドン・キホーテ』(米・西・仏・ベルギー・英他、英語・西語)
2019『弟は僕のヒーロー』(伊・西、イタリア語) 監督ステファノ・チパーニ
2019「Los Rodríguez y el más allá」(メキシコ・西) 監督パコ・アランゴ
2020『マーメイド・イン・パリ』(フランス) 監督マチアス・マルジウ
2021『パラレル・マザーズ』 監督 P・アルモドバル シネフォリア2022助演女優賞ノミネート
2022『レインボー』 監督パコ・レオン
2022『ラ・メゾン 小説家と娼婦』(仏・ベルギー) 監督アニッサ・ボンヌフォン
2025『ママンと?!ハネムーン』(フランス) 監督ニコラ・キッシュ
2025「Día de Caza」 監督ペドロ・アギレラ
2026「Amarga Navidad」 監督ペドロ・アルモドバル
★その他、ヤン・レノルのドキュメンタリー「Jean Paul Gaultier:Freak and Chic」(2018、ジャン=ポール・ゴルチエの自伝的ミュージカル)に出演している。またマラガ-スール賞以外にも、1994年ラファス・デル・ピ映画祭生涯功労賞、2019年フィルミング・イタリア・ベネチア国際功績賞、2022年イタリア・サルデーニャ・フェスティバル「ウィメンパワー」賞、2025年トゥールーズ・シネスパーニャ「バイオレット・ドヌール」賞などを受賞している。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2026/04/07/9846782/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。