メイド・イン・スペイン部門21作発表*サンセバスチャン映画祭2024 ⑲2024年09月09日 17:28

            オープニングはジョアン・ロペス=リョレトのドキュメンタリー

   

      

 

メイド・イン・スペイン部門は賞に関係なく、合作を含むスペイン映画から選ばれます。プレミア作品を含む、既にマラガ、ヒホン、マジョルカ他、海外の先行映画祭の受賞作、公開された話題作など、見残したものが短期間に纏めて観ることができるセクションです。今回はマラガFFの受賞作が顔を揃え一挙に鑑賞できます。オープニング(ジョアン・ロペス=リョレトの「Tiempo de silencio y destrucción」)もクロージング(アルバ・ソトラの「Mucha mierda / Break a Leg」)も珍しいことにドキュメンタリー、今まで隠されてきた真実が明かされ、スペイン人には見逃せない政治色の強い作品、個人的にも興味深く、別途紹介を予定しています。

 


(ジョアン・ロペス=リョレトの「Tiempo de silencio y destrucción」から)

    

   

    (アルバ・ソトラの「Mucha mierda / Break a Leg」出演のアナ・ベレン)

 

アントニオ・チャバリアス(バルセロナ県ルスピタレート・ダ・リュブラガート1956)の「La abadesa / Holy Mother」の舞台は9世紀、ダニエラ・ブラウン扮する若き修道院長エマは、モーロ人と対立する国境地帯に再入植してキリスト教化する使命を与えられる。実話に基づいている。マラガFFコンペティション部門出品。SSIFF 2006セクション・オフィシアルに「Las vidas de Celia」がノミネートされている。製作者としてのキャリアも長く、アグスティ・ビリャロンガ、クラウディア・リョサ、ハイメ・ロサーレス、ベレン・フネス、シルビア・ムントなどの作品を手掛けている。

 

   

  

    

シモン・カサル(ア・コルーニャ1984)の「Artificial Justice」(ポルトガルとの合作)は、フィルム・ノアール調のSF政治スリラー、ベロニカ・エチェギ、タマル・ノバス、アルバ・ガローチャ、アルベルト・アンマンが出演する。スペイン政府は近い将来、すべての裁判官を人工知能に置き換えることを目指しており、司法制度を自動化し、非政治化すると発表しました。ベロニカ・エチェギ扮する裁判官が、この新システムを評価するため招聘されるが、次第に自分の命が危険に晒されていることに気づきます。ガリシアとリスボンで撮影された。

 

  


     


(ジョアン・ロペス=リョレト、アルバ・ソトラ、アントニオ・チャバリアス、シモン・カサル)

 

★マラガ映画祭の金のビスナガ賞(作品賞)、監督賞、編集賞(ハビ・フルトス)の3冠を制したイサキ・ラクエスタ(ジローナ1975)とポル・ロドリゴス(バルセロナ1977)の「Segundo premio / Saturn Return」は、グラナダのロックグループ「ロス・プラネタス」を描いた「no-película非映画」です。

作品紹介、授賞式の記事は、コチラ20240314

    

      

       

ソニア・メンデス(ビゴ1980)の長編デビュー作「As Neves」は、マラガFFセクション・オフィシアル出品作品。アス・ネベスはお互いがすべて知り合いというガリシアの山村、カーニバルの夜、ティーンエイジャーたちはパーティを開き、初めてドラッグで盛り上がった。翌朝パウラが失踪したことを知る。短編数編、ドキュメンタリー「A Poeta analfabeta」(20)を撮っている。

   

    

  

         

アレックス・モントーヤ(バレンシア1973)のコメディドラマ「La casa」は、パコ・ロカの同名コミックを原作としている。マラガFFの脚本賞(監督とジョアナ・オルトゥエタ)と音楽賞(フェルナンド・ベラスケス)、観客賞まで受賞した。父親が亡くなってことで、3兄妹が子供時代に夏を過ごした家に家族を連れて集まってくる。この残された質素な家をどうするか、売却するにも期待通りには進まない。長い間埋もれていた記憶や秘密が浮かび上がってくる。シンプルでピュア、泣いて笑って幸せになる映画、そして家はどうなるのでしょうか。原作者のパコ・ロカがカメオ出演しているそうです。

マラガ映画祭の授賞式の記事は、コチラ20240314

   

         


    

    

  (イサキ・ラクエスタ、ポル・ロドリゲス、ソニア・メンデス、アレックス・モントーヤ)

 

 

ダビ・トゥルエバ(マドリード1969)の「El hombre bueno」は、ホルヘ・サンス、マカレナ・サンス、ビト・サンスと同じ苗字ながら血縁関係のないスリー・サンスが演じる。旧友の「善き人」に離婚の仲介を依頼するカップルの物語。マラガFFコンペティション部門出品作品。

作品紹介は、コチラ20240308

   

    

          (左から、ビト・サンス、ホルヘ・サンス)

   


           (ダビ・トゥルエバ、マラガ映画祭2024)

  

ホナス・トゥルエバ(マドリード1981)の新作「Volveréis / The Other Way Around」は、カンヌ映画祭併催の「監督週間」で、ヨーロッパ映画賞ヨーロッパ・シネマズ・ラベル賞受賞している。15年間の結婚生活を解消するための「お別れパーティ」を開き、円満に別れることを希望しているカップルの物語。

作品紹介は、コチラ20240527

   

  

      (円満に離婚したい夫婦、ビト・サンスとイチャソ・アラナ)

  

   

   

           (ホナス・トゥルエバ、カンヌ映画祭2024)

 

★賞に絡むわけではありませんが、続けて上映作品の紹介をします。