第28回ホセ・マリア・フォルケ賞2023*受賞結果2022年12月26日 10:38

        『ザ・ビ-スト』と「Cinco lobitos」が賞を分け合ったフォルケ賞

   

     

★去る1217日、昨年から12月開催と前倒しに変更された28回ホセ・マリア・フォルケ賞2023の授賞式が、1800人収容できるマドリードのパラシオ・ムニシパル IFEMA MADRID で開催されました。ゴヤ賞の前哨戦という立ち位置ですが、こちらは20211月開催だった第26回からTVシリーズも対象になりました。フォルケ賞に監督賞はなく、縁の下の力持ちである製作者に与えられる賞です。各賞に副賞として賞金が授与されます(俳優賞は各3,000ユーロ)。コロナは収束しておりませんがマスク着用が解除されました。ノミネーションはアップしませんでしたが、だいたいゴヤ賞と重なっています。優れた製作者に贈られるEGEDA金のメダルは、ホセ・ルイス・ベルムデス・デ・カストロが受賞しました。総合司会者は、俳優、ダンサー、歌手のアドリアン・ラストラとメキシコの女優エスメラルダ・ピメンテルが担いました。

  

     

                   (アドリアン・ラストラとエスメラルダ・ピメンテル)

 

 

          28回ホセ・マリア・フォルケ賞2023受賞結果

    

作品賞(フィクション&アニメーション)副賞30,000ユーロ

As bestas」『ザ・ビースト』(2022;ロドリゴ・ソロゴジェン監督、Arcadia Motion Pictures / Caballo Films / Cronos Entertainment ALE / Le pacte / RTVE / Movistar+)

ノミネート作品は、カルラ・シモンの「Alcarras」、アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Cinco lobitos」、アルベルト・ロドリゲスの「Modelo 77」、ゴヤ賞と同じでした。

   

        

 

                    (スピーチするロドリゴ・ソロゴジェン)

   


 

 

長編ドキュメンタリー賞 副賞6,000ユーロ

Labordeta, un homble sin más」(2022、パウラ・ラボルデタ&ガイスカ・ウレスティ監督;Urresti PC SL / Un hombre sin más AIE / Aragón TV

   

  

 

  

女優賞

ライア・コスタ Cinco lobitos

ノミネート候補者は、「Cinco lobitos」のスシ・サンチェス、「Cerdita」のラウラ・ガラン、「Girasoles silvestres」のアンナ・カスティーリョの3名でした。、

  

     

        (ゴヤ賞主演女優賞にもノミネートされているライア・コスタ)

 

男優賞

ドゥニ・メノーシェ (「As bestas」)

ノミネート候補者は、「En los márgenes」のルイス・トサール、「Modelo 77」のミゲル・エラン、「Manticora」のナチョ・サンチェスの3名でした。

   

 

  

                       (マドリード入りしていたメノーシェ)

 

TVシリーズ賞(フィクション)6,000ユーロ

Apagón」(2022、フラン・アラウホ監督; Movistar/ Buendia Studios

 

     

     

              (5部構成のTVシリーズ)

 

TVシリーズ女優賞

モニカ・ロペス (「Rapa 2022、ホルヘ・コイラ&ペペ・コイラ;Movistar/ Portocabo

  

   

          (モニカ・ロペスは舞台出演で欠席、ホルヘ・コイラ監督が代理で受け取った)

 

  

 (主演のモニカ・ロペスとハビエル・カマラを配したポスター)

 

TVシリーズ男優賞

ヘスス・カロサ (「Apagón」)

 

      

   

短編賞 副賞3,000ユーロ

Cuerdas」(2022、エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン;Sirimiri Films SL / Gariza Produkzioak SL / Kaiz Estudio SL / EITB

   

 

 

  

ラテンアメリカ映画賞 副賞6,000ユーロ

Argentina, 1985」『アルゼンチン 1985』(サンティアゴ・ミトレ監督;La Union de los Rios / Kenya Films / Amazon Studios / Infinity Hill Prime Video

ノミネートされた作品は、アレハンドロ・ロアイサ・グリシの「Utama」(ボリビア)、アルトゥーロ・モンテネグロのサスペンス「Cumpleaños」(パナマ)、マティアス・ビセの「El castigo」(チリ)、ゴヤ賞と重なったのは受賞作と「Utama」だけでした。

     

   

    (スペインのアマゾンプライムビデオの責任者リカルド・カルボネロが受け取った)

 


 

   

Cine y Educación en Valores

Cinco lobitos」(2022、アラウダ・ルイス・デ・アスア監督;Sayaca Producciones SL / Encanta FilmsSLU / Buena Pinta Media SLU / RTVE / ETB Orange TV

ノミネートされた作品は、カルラ・シモンの「Alcarras」、フアン・ディエゴ・ボットの「En los márgenes」、フェルナンド・フランコの「La consagración de la primavera」、カルラ・シモンは無冠に終わりました。

  

    

        (アラウダ・ルイス・デ・アスア監督と製作者たち)

     


   

EGEDA金のメダル

ホセ・ルイス・ベルムデス・デ・カストロ

★受賞者は、1943年マドリード生れの製作者。主に6070年代にスペイン映画およそ50作くらいを製作したプロデューサー。セルジオ・レオーネ、マリアノ・オソレス、フェルナンド・フェルナン=ゴメス、ハビエル・アギーレ、エロイ・デ・ラ・イグレシア、などの監督と仕事をした。俳優では現在でも現役のコンチャ・ベラスコ、カルメン・マウラ、アンヘラ・モリーナ、ホセ・サクリスタン、アントニオ・オソレスなど。最初に手掛けた映画はラモン・フェルナンデスの「Matrimonio al desnudo」、撮影費用が格安にできたためスペインで撮影された『ソロモンとシバの女王』(58)などハリウッド映画も手掛けている。

     

     

          (受賞スピーチをするベルムデス・デ・カストロ)

 

★会場が感動の渦になったのは、作品賞受賞でもなく El Consorcio  のグループが熱唱したメドレーでもなく、昨年1213日、第27回フォルケ賞ガラの翌々日に突然鬼籍入りしたホセ・マリア・フォルケの愛娘ベロニカ・フォルケへのオマージュでした。共演が多かったアントニオ・レシネスの、私はベロニカの「夫、恋人、兄、上司、そして親友でした」という愛情込めたオマージュに会場もしんみり、つづくシルビア・アバスカルにも皆うるうるで、未だに愛され続けている在りし日のベロニカの映像に、スタンディングオベーションが何度も繰り返されました。

 

      

                (ベロニカ・フォルケの映像)

 

   

         (アントニオ・レシネスとシルビア・アバスカル)