ソロゴジェンの作品賞受賞は確定か*ゴヤ賞2023 ③2022年12月13日 16:38

        『ザ・ビースト』最多ノミネーションの17は予想外とソロゴジェン監督

 

★第37回を迎えるゴヤ賞2023は、アンダルシアのセビーリャで211日に授賞式が開催されます。28カテゴリーは前回アップした通りですが、今年の東京国際映画祭の東京グランプリ、監督賞、男優賞を受賞した『ザ・ビースト』17個、カテゴリー的には助演男優賞が2人とダブっているので16部門です。最大ノミネート19部門のうち、新人女優・男優、歌曲の3部門がノミネートされなかった。過去には最多ノミネート無冠ということもありましたが今回はどうでしょうか。主演のドゥニ・メノーシェ、マリーナ・フォイス、助演女優賞のマリー・コロンはフランス人、誰が受賞しても外国人初受賞となります。

 

★最多ノミネーションは冗談でなく予想していなかったというロドリゴ・ソロゴジェンは、国際舞台で認められた「Stockholm」(13)以来「同じチームで続けられていることを光栄に思い感謝している・・・フランス人を含む俳優5人がまさかノミネートされるとは思ってもいなかった。マリーは喜びの叫びを挙げました」と。娘を演じたマリー・コロンは、今年の「SKIP シティ国際DシネマFF」に正式出品された『マグネティック・ビート』に主演しており、監督のヴァンサン・マエル・カルドナが監督賞を受賞した。マリーはフランスでは若手女優として主演映画も多く、TVシリーズにも出演している。選ばれた理由として監督は「ポスト・パンデミックや都会の疲れが関係している」とも語り、ライバルにカルラ・シモンを匂わせている。

作品紹介は、コチラ20220610

    

        

 

16個ノミネートのアルベルト・ロドリゲスModelo 77は、作品・監督・脚本・作曲・主演男優2人・助演男優2人、ほか技術部門は漏れなくノミネートされている。主演男優賞にダブルノミネートは過去にあったかどうか。主演はマヌエルを演じた若いミゲル・エランと思うが、ハビエル・グティエレスが助演かというと少し違うかな。監督は「4人の俳優がノミネートされたのが最も嬉しかった」とコメントしているが、個人的には主演は1作品1人を基本にしてほしい。監督も「ミゲル・エランが映画の重みを担っており、ダブルで選ばれるとは思わなかった」ことを認めたようです。脚本は長年の盟友ラファエル・コボスと共同執筆した。第70回サンセバスチャン映画祭2022のオープニング作品。

作品紹介は、コチラ20220726

       

              

 

★つづく11個のカルラ・シモン2作目Alcarrasは、作品・監督・脚本・新人女優・新人男優2人・撮影・編集・録音・美術・プロダクションと技術面も押さえている。監督は初めてカメラの前に立った新人3人がノミネートされたことを感謝した。本作はプロの俳優は一人も登場しません。また1年かけて探し続けてくれたキャスティングのミレイア・フアレス、製作者のマリア・サモラに感謝した。本作は来年のアカデミー2023のスペイン代表作品、サモラによると「この映画は今でも映画館で上映されており、よく持ちこたえています。また3週間後にはアメリカで公開され、オスカー・レースに参加しています。ヨーロッパの多くの国でも公開されています」とコメントした。第72回ベルリン映画祭2022金熊賞受賞作品。

作品紹介は、コチラ20220127

   

        

 

★同じく11個ノミネートのアラウダ・ルイス・デ・アスアCinco lobitosは、作品・新人監督・主演女優・脚本・助演女優&男優、新人男優・撮影・編集・録音・プロダクション賞の11カテゴリー。今年の候補作165本のうち50本がデビュー作、本作も監督第1作です。ライア・コスタ演じるヒロインの造形は、監督の自伝的な要素を多く含んでいる作品です。「家父長制の相乗効果が壊れ、平等が自然で有機的な方法で確立されるかどうか確かめる必要があると思います」と監督。第25回マラガ映画祭2022金のビスナガ受賞作品、ライア・コスタとスシ・サンチェスが二人で銀のビスナガ女優賞を受賞した。

作品紹介は、コチラ20220514

   

      

 

ピラール・パロメロの第2作目La maternal」は、作品・監督・助演女優賞の3カテゴリーと少ないですが、パロメロらしい繊細さで評価は高い。未成年のまま望まぬ妊娠をしてしまった少女たちの避難所を舞台に、アマチュアの少女を起用して紛れこませることで、現実と虚構の境界を曖昧にしている。デビュー作『スクールガールズ』(21年公開)で、ゴヤ賞2021の作品・新人監督・脚本賞を攫った。14歳に設定された主役を演じるカルラ・キレスはノミネートされませんでしたが、母親役のアンヘラ・セルバンテスが助演女優賞にノミネートされた。第70回サンセバスチャン映画祭2022に正式出品された。

作品紹介は、コチラ20220801

   

      

 

★以上が作品賞にノミネートされた5作品です。