セクション・オフィシアル*サンセバスチャン映画祭2022 ②2022年08月01日 13:45

   金貝賞を競うセクション・オフィシアルにスペイン映画4作がノミネート

  

 


★現在のところノミネート発表はどの部門もスペイン映画に限られ、全体像が見えてくるのはこれからです。ベテランのハイメ・ロサーレスの「Girasoles silvestres」、中堅のフェルナンド・フランコの「La consagración de la primavera」、若手のピラール・パロメロの「La maternal」とバスクの新人ミケル・グレアの「Suro」の4作、特別上映となったイサベル・コイシェの「El sostre groc」、アウト・オブ・コンペティションは、前回アップしたアルベルト・ロドリゲスのオープニング作品「Modelo 77」とロドリゴ・ソロゴジェン以下5人の監督による「Apagón」の7作がアナウンスされました。作品に情報のばらつきがあり、入手できたデータで紹介しておきます。

 

                      70SSIFFセクション・オフィシアル

    

1Girasoles silvestres / Wild Flowles (スペイン=フランス)

監督ハイメ・ロサーレス(バルセロナ1970)は監督・脚本家・製作者。コンペティション部門のノミネーションは、2008年の「Tiro en la cabeza」以来14年ぶり、本作で国際映画批評家連盟FIPRESCI 賞を受賞している。もともとカンヌFFに焦点を合わせている監督なのでプレミアは少ない。コンペ以外ではカンヌFFと併催の「監督週間」に正式出品された後、ペルラス部門に出品された「Petra」(18)は、後に『ペトラは静かに対峙する』の邦題で公開された。メイド・イン・スペイン部門には多数エントリーされている。

 

スタッフ:脚本はロサーレス監督とバルバラ・ディエス、製作者は『マイ・ブックショップ』のマヌエル・モンソン、撮影はアメリカ映画『ロスト・ドーター』(21)やブラジル映画『見えざる人生』(19)など国際的な活躍をしているフランスのエレーヌ・ルヴァールLouvart、編集は『ペトラは静かに対峙する』のルシア・カサル、などベテラン揃いの布陣です。

 

     

   

データ:製作国スペイン=フランス、スペイン語、ドラマ、107分、2022年、製作:Fresdeva Films / A Contracorriente Films / Oberon Media  撮影地バルセロナ

キャスト:アンナ・カスティーリョ(フリア)、オリオル・プラ(オスカル)、キム・アビラ(マルコス)、リュイス・マルケス(アレックス)、マノロ・ソロ(ロベルト)、カロリナ・ジュステ(マイテ)

ストーリー:フリアはまだ22歳だが既に二人の子供がいる。オスカルを好きになり、親しい関係をもち始めている。一緒に過ごすなかで、もしオスカルが本当に自分に必要な人なら、家族の幸せのために一緒に人生を歩んでいくだろう。

 

    

    

            (フリアとオスカルと子供たち、フレームから)

 

 

2La consagración de la primavera / The Rite of spring (スペイン)

監督フェルナンド・フランコ(セビーリャ1976)の3作目、監督・脚本家。「La herida」(13)で鮮烈デビュー、審査員特別賞、主演のマリアン・アルバレスが女優(銀貝)賞を受賞している。第2作目「Morir」(17)が特別上映作品に選ばれるなど、本映画祭一筋の監督。

 

スタッフ:脚本はフランコ監督とベゴーニャ・アロステギ、製作総指揮は「Morir」やイシアル・ボリャインの「Maixabel」をプロデュースしたグアダルーペ・バラゲル・トレリェス、他ハイメ・オルティス・デ・アルテニャーノ、コルド・スアスア、撮影は『悲しみに、こんにちは』や『マリアの旅』のサンティアゴ・ラカ、編集は「Morir」、『さよならが言えなくて』、『マリアの旅』のミゲル・ドブラド、美術&プロダクションデザインを手掛けるのがカルメン・アルバセテ・ゴメス、などの布陣。

    

    

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2022年、109分、製作Lazona / Kowalski Films / Ferdydurke Films、協賛/ Canal Sur Radio y Television / Comunidad de Madrid / Movistar+、ICAAより資金提供を受けている。撮影地グラナダとマドリード、221日~3月末。

キャスト:バレリア・ソローリャ(ラウラ)、テルモ・イルレタ(ダビ)、エンマ・スアレス(ダビの母親イサベル)

ストーリー18歳になるラウラは大学で化学を学ぶためマドリードに着いたばかりである。コンプレックスと不安を抱えているが新しい生活に適応しようとしている。ある夜、偶然に脳性麻痺のダビと母親のイサベルと知り合いになる。二人との信頼関係が増すにつれ、その込み入った不安を乗り越える必要にラウラは直面する。物語は、すべてが可能になるある瞬間についての、または思いがけない出会いが私たちの人生をどのように決定づけてしまうかについての物語。

 

    

                    (ラウラとダビ、フレームから)

 

   

             (撮影中の監督と主演者3人)

 

 

3La maternal (スペイン)

監督ピラール・パロメロ(サラゴサ1980)は監督、脚本家。本作は第2作目になります。2020年のデビュー作「Las niñas」(『スクールガールズ』として2021年公開)がメイド・イン・スペイン部門で上映されている。ベルリン映画祭2020ゼネレーションKplus部門でワールド・プレミアされ、続いてマラガ映画祭セクション・オフィシアル作品に正式出品、見事金のビスナガ作品賞を受賞した。翌年のゴヤ賞2021の作品賞・新人監督賞・オリジナル脚本賞の3冠、ゴヤ賞の話題をさらった。デビュー作は11歳の少女が主人公でしたが、本作も14歳の未成年者が母親になるプロセスが語られるようです。

 

スタッフ:脚本はパロメロ監督、製作者はデビュー作を手掛けたバレリー・デルピエール、アレックス・ラフエンテ、撮影はミケル・グレアの「Suro」も手掛けたフリアン・エリサルデ、以下編集のソフィア・エスクデ、美術のモニカ・ベルヌイはデビュー作と同じ、キャスティングのイレネ・ロケはロサーレスの「Girasoles silvestres」、『エリサとマルセラ』やTVミニシリーズ『イノセント』など数多くのTVシリーズを手掛けているベテランです。

   

    

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2022年、ドラマ、100分、製作:Aragon TV / BTeam Pictures / Inicia Films 他協賛Movistar/ ICAA / RTVE / TV3など。配給BTeam Pictures、公開スペイン1118

キャスト:カルラ・キレス(カルラ)、アンヘラ・セルバンテス(母親ペネロペ)、ホルダン・アンヘル・デュメス(エフライン)、ルベン・マルティネス、ペペ・ロレンテ、ネウス・パミエス、オルガ・ウエソ、ガル・ラ・サバテ、他

ストーリー14歳になるカルラは反抗的で扱いにくい年頃の少女である。若いシングルマザーと一緒に町外れの街道沿いにある古いレストランに住んでいる。学校をサボって男友達のエフラインと時間を潰している。ソーシャルワーカーが妊娠5カ月に気づいて、未成年の母親を収容するセンター〈ラ・マテルナル〉に入所することになる。カルラと同じような境遇の娘たちと日々を過ごすことになる。母親との変わりやすい複雑な関係も含めて、準備する時間を与えられずに赤ん坊と一緒に大人になる困難、成熟、コミュニケーションの欠如、恐怖が語られる。

 

   

    

        (未成年のまま母親になる娘たち、フレームから)

 

 

4)Suro (スペイン)

監督ミケル・グレア(サンセバスティアン1985)監督、脚本家、戯曲家。本作が長編デビュー作。バルセロナのUPFを卒業後、ロンドン・フィルム・スクールで修士号を取得、彼の戯曲はロンドンやマドリードのフェルナンド・フェルナン・ゴメス劇場で初演されている。2021年、スーパー16ミリで撮った「Heltzear」(2117分)がベネチア映画祭「オリゾンティ」部門に出品され、ベネチアが歴史上初めて上映するバスク語映画でした。サバルテギ-タバカレラ部門でも上映された。タイトルのHeltzearは掴む、成長するという意味。2000年サンセバスティアンが舞台のドラマ、15歳のクライマーであるサラは不在の兄に手紙を書きながら、人生でもっとも厳しい登山に向けてトレーニングをしている。

   

    

             (短編「Heltzear」のポスター)

 

最初の短編「Primo」(0813分)、「The cats on the roof」(0918分)、イソナ・リガウと共同監督した「Rojo en el agua」(1012分)は、サンゴがなぜ赤いのかという伝説を絡ませたドラマ、どれも不思議な魅力をたたえている短編、他にロンドン・ロイヤル・バレエでバスク出身の最初のソリストとなったイツィアル・メンディサバルを追ったドキュメンタリー「Txoria / The bird」(1322分)も発表している。

 

スタッフ:脚本はグレア監督とフランシスコ・コステルリツ、製作総指揮アリアドナ・ドット、クラウディア・マルエンダ、ラウラ・ルビロラ、製作者ハビエル・ベルソサ、撮影は「La maternal」も担当したフリアン・エリサルデ、編集はアルベルト・セラとタッグを組むことの多いアリアドナ・リバス、プロダクション・デザインはイソナ・リガウ、などバルセロナ派の布陣で臨んでいる。

 

データ:製作国スペイン、カタルーニャ語、2022年、スリラー、ドラマ、90分、イクスミラ・ベリアクIkusmira Berriak 2016作品が金貝賞を競うセクション・オフィシアルにノミネートされるのは初めて。公開スペイン2022122日、

キャスト:ヴィッキー・ルエンゴ(エレナ)、ポル・ロペス(イバン)、イリヤス・エル・ウアダニIlyass El Ouahdani

ストーリー:子供を欲しいと思っているエレナとイバンは、コルク農園で新しい人生を始めようと都会を離れてコルクガシの森に移住してきた。しかし新しい土地でどのように生きていくか、夫婦として将来にどのように立ち向かうかについて、二人の思いはそれぞれ異なっていた。

 

      

             (イバンとエレナ、フレームから)

  

     

          (左から、フランコ、グレア、パロメロ、ロサーレス)

 

イサベル・コイシェのドキュメンタリー*サンセバスチャン映画祭2022 ③2022年08月03日 14:44

        イサベル・コイシェの「El techo amarillo」は特別上映

       

               

  

★セクション・オフィシアルの特別上映となったイサベル・コイシェ(バルセロナ1960)の新作「El sostre groc / El techo amarillo」は、2001年から2008年のあいだにリェイダの演劇学校で行われていた青少年への性的虐待のドキュメンタリーです。Aula de Teatro de Lleidaリェイダ演劇講堂で犯されていた性的暴力に現在でも苦しんでいる9人の元生徒たちの証言と裁判にいたるまでのプロセスが語られる。Me Too運動を反映させたドキュメンタリー。コイシェの本祭との関りはメイド・イン・スペイン部門での上映を除くと、デビュー作「Demasiado viejo para morir joven」(88108分、カタルーニャ語)が、ニューディレクターズ部門に出品されただけである。その際、批評家から酷評されたショックで立ち直るのに時間がかかったという。しかし翌春マドリードとバルセロナで公開され1990年から始まったゴヤ賞新人監督賞にノミネートされた。スペイン文化省が授与する映画国民賞の授賞式はサンセバスチャン映画祭で行われることになっており、彼女は2020年の受賞者としてホセ・マヌエル・ロドリゲス・ウリベス大臣の手から証書を受け取った。

 

     

   (映画国民賞を手にしたイサベル・コイシェ、2020920日、SSIFF2020にて)

 

 

 「El sostre groc / El techo amarillo / The Yellow Ceiling」スペイン

監督:イサベル・コイシェ、視覚効果はララ・ビラノバ。キャリア&フィルモグラフィーについては以下に紹介しています。

データ:製作国スペイン、2022年、ドキュメンタリー、94分、製作Miss Wasabi、撮影地バルセロナとリェイダ。撮影に1年半、40時間に及ぶフィルム編集が終わったのが20221月、最初は4月公開がアナウンスされていたが、本祭の特別上映枠でプレミアされることになった。

出演者:アイダ・フリックス、ヌリア・フアニコ(報告書の執筆者)、マルタ・パチョン、ミリアム・フエンテス、ゴレッティ・ナルシス、アルベルト・リィモス(報告書の執筆者)、ヴァネッサ・スプリンゴラ(フランの作家・編集者・映画監督)、ビオレタ・ポルタ、他

 

解説2018年、カタルーニャ州リェイダ(スペイン語レリダ)県の演劇学校の教師アントニオ・ゴメスを性的虐待で告発した女性たちのドキュメンタリー。2020523日、ARA(カタルーニャの日刊紙)が、リェイダ演劇学校で学ぶ未成年者を含む何十人にも及ぶ生徒が、2人の教師から受けていた性的虐待の報告書を公けにした。映画は9人の元生徒の証言を元に、センターの指導官、教員、告発者の家族、現生徒、元生徒、ARA紙の記者、アルベルト・リィモスやヌリア・フアニコのような報告書の執筆者などで構成されている。作家ガブリエル・マツネフに14歳から性的虐待を受けていたというフランスの作家、出版編集者ヴァネッサ・スプリンゴラの名前もクレジットされている。2020年に刊行した回想録「Le Consentement」(「同意」)はベストセラーとなり、フランス社会のエリート著名人、政財界に激震を引き起こした。ここでは深入りしないが、彼女が何を語るかも興味のあるところです。

 

ARA紙の記事から1年後、コイシェは「虐待に苦しんだ瞬間から、それを司法に報告する決心をするまでのプロセスを反映するために、証言に声を与えるドキュメンタリーの準備をはじめた」と製作の動機を語っている。「あの記事を読んだとき、私はある特別な感動を覚えました。彼女たちの話をもっと聞かねばならない、ドキュメンタリーを通じてより多くのことを語ってもらい、そうすることで別の側面をもたらすことができると考えたのです」と付け加えた。

 

★監督は、被害者意識を遠ざけたいと思った。「みんな自分が悲劇の女王だと思っているが、涙を流すだけでは何の解決にもならない、涙にはある種の限界があるのです。虐待についてのドキュメンタリーには、常に不満をもっていたので、涙を排除した視点から撮りたいと思った。泣いてる女性を見るのは好きではない」とコイシェはインタビューに応えている。男尊女卑が幅を利かす映画界で奮闘してきた監督らしい。泣き寝入りをしない女性たちの応援歌になっているのかもしれない。

 

キャリア&フィルモグラフィーについては、以下の作品紹介でアップしています。特に『マイ・ブックショップ』17)、Netflixストリーミング配信の『エリサ&マルセラ』19)で紹介しています。海外に軸足をおいて英語で製作しているせいか、長編、短編、ドキュメンタリー、オムニバス映画などを含めると優に30作を超えます。2022年のドノスティア栄誉賞を受賞するジュリエット・ビノシュを主役にして撮ったNobody Wants the Night15は、後にEndress Nightと改題している。またイギリスのキャスト陣を主軸にしたスリラーNieva en Benidorm20)は、ゴヤ賞2021の監督賞・プロダクション賞(トニ・ノベリャ)にノミネートされている。

 

 

 コイシェ監督関連記事

Nieva en Benidorm」の紹介記事は、コチラ20210211

『エリサ&マルセラ』の紹介記事は、コチラ20190211同年0612

『マイ・ブックショップ』の紹介記事は、コチラ20180107

『しあわせへのまわり道』(14)の紹介記事は、コチラ20150829

Nobody Wants the Night」(「エンドレス・ナイト」)の記事は、コチラ20150301

Another Me」(13)の紹介記事は、コチラ20140727

 

セクション・オフィシアル追加発表*サンセバスチャン映画祭2022 ④2022年08月06日 16:34

           コンペティション部門の追加12作品を発表、全16作が出揃った

    

      

 

★去る82日、セクション・オフィシアルの追加発表があり、アルゼンチンのディエゴ・レルマン、フランスのクリストフ・オノレ、チリのセバスティアン・レリオのベテランから、デビュー作2編を含む12作、スペイン映画の4作を加えて全16作が出揃いました。うちアニメーション『バケモノの子』(15El niño y la bestia)の製作者として本祭に参加した経験のあるゲンキ・カワムラ川村元気の『百花』と、アメリカのマリアン・マティアスの「Runner」がデビュー作です。前回アップしたミケル・グレアを含めて、3人の新人が金貝賞を競う展開になりました。ラテンアメリカ諸国の監督映画4作があり、別途紹介を予定しております。3回に分けてアップします。

 

 

             ◎70回セクション・オフィシアル追加12作品

 

5)「Pornomelancolía / Pornomelancolia」アルゼンチンWIP Latam 2021作品

監督マヌエル・アブラモヴィッチ(ブエノスアイレス1987)、監督、脚本家。長編4作目、本祭との関りでは、サバルテギ-タバカレラ部門に数作選出されている。脚本は監督とフェルナンド・クラップ。製作者はヘマ・フアレス・アジェン、クラリサ・オリベリほか、編集アナ・レモン、プロダクション・マネージメントはマルセラ・アレナス。

 

データ:製作国アルゼンチン=フランス=ブラジル=メキシコ、スペイン語、ドラマ、98分、製作Gema Filmsアルゼンチン / Desvia Productionsブラジル / Dublin Films フランス / Mart Filmsメキシコ、撮影地メキシコ、201910月、20211月。サンセバスチャン映画祭のIkusmira Berriak 2018、タバカレラ現代文化国際センター、エリアス・ケレヘタ映画学校の支援を受けている。

キャスト:ラロ・サントス

 

解説31歳になるラロはメキシコ南部の山間の町オアハカに住んでいる。工場で働いており、彼の両親は彼がセックス・インフルエンサーなのも、HIVなのも知らない。自身のヌード写真を撮り、自家製のポルノビデオを、ソーシャルメディアの何千人ものフォロアーに投稿している。ラロは自身の人生を統制していたが、実際の私生活では長いあいだ鬱でふさぎ込んでいた。彼はメキシコ革命に関するポルノ映画でエミリアノ・サパタ役のオーディションに合格する。ポルノグラフィーを出発点として、ハイパーコネクテッドな世界における私的なものと公的なもの、現実と仮想との境界を考察している。

    

     

 

 

 

6)「Le Lycréen / Winter Boy」フランス

監督クリストフ・オノレChristophe Honore(カレ=プルゲール1970)は、監督、脚本家、作家。本祭の関りでは、2008年「La belle personne / The Beautiful Person」(『美しいひと』)、キアラ・マストロヤンニに主役した2009年「Non ma fille,tu n/iras pas danser / Making Plans for Lena」がセクション・オフィシアルにノミネートされている。前者は未公開だがフランス映画祭2009で上映され、DVDが発売された。今回は父親の死で危機に陥った少年についてのフィルム「Le Lycreen / Winter Boy」で戻ってきました。ドノスティア栄誉賞を受賞するジュリエット・ビノシュが共演している。

 

データ:製作国フランス、フランス語、2022年、ドラマ、122分。製作者フィリップ・マルタン、デビット・シオン、撮影レミー・シェヴラン、公開フランス20221123

キャスト:ポール・キルヒャー(ルカス)、ヴィンセント・ラコステ、ジュリエット・ビノシュ、クリストフ・オノレ、アドリアン・カッセ、パスカル・セルボ、ザビエル・ジャンノリ、ヴィルフリート・カペ―、イザベル・テヴヌー、ジャン=フィリップ・サレリオ

 

     

   (ポール・キルヒャー、フレームから)

   

    

   (主演のポール・キルヒャー、ヴィンセント・ラコステ、ジュリエット・ビノシュ)

  

解説17歳の高校生ルカスは、父親の死にあって粉々になっている。彼の人生は手なずけねばならない凶暴な獣のようだと感じている。パリに住んでいる兄と今は一人暮らしの母親のあいだで、希望と愛を征服するために闘わねばならない。

 

  

7)『百花 / A Hundred Flowers』 日本

監督ゲンキ・カワムラ 川村元気(横浜1979)は、製作者、監督、作家。デビュー作。本祭との関りは製作者として、2015年セクション・オフィシアルにノミネートの細田守のアニメーション『バケモノの子』、新海誠の『君の名は。』が2016年にコンペティション部門で特別上映されている。今回は監督としてアルツハイマーの母親をめぐる実写映画で金貝賞を競うことになった。

   

     

 

データ:製作国日本、日本語、2022年、ドラマ、104分。監督の同名小説の映画化。脚本は監督と平瀬謙太朗、音楽は網守将平、撮影は今村圭佑、製作はAOI Pro. 配給TOHO(日本)、GAGA.(海外)、日本公開は映画祭開催前の202299

キャスト:菅田将暉(葛西泉)、原田美枝子(母・葛西百合子)、長澤まさみ(妻・葛西香織)、永瀬正敏(浅葉洋平)、北村有起哉(大澤哲也)、岡山天音(永井翔太郎)、他

 

     

        (泉役の菅田将暉と母百合子役の原田美枝子、フレームから)

    

ストーリー:レコード会社に勤務する泉と、ピアノ教室を営む母親は、過去のある事件をきっかけに、互いの心の溝を埋められないまま過ごしてきた。そんななか、突然、母親が不可解な言葉を発するようになる。「半分の花火が見たい・・・」それは、母が息子を忘れていく日々の始りだった。母の記憶が消えゆくなか、息子は封印された記憶に手を伸ばす。「半分の花火」とはなにか、謎が解けたとき、息子は母の本当の愛を知ることになる。(公式サイトの抜粋から)

 

 

8)「The Wonder」チリ

監督セバスティアン・レリオ(アルゼンチン、メンドサ1974)、監督、脚本家、フィルム編集者。本祭との関りでは、2013年の『グローリアの青春』がペルラス部門、2017年の『ナチュラルウーマン』がホライズンズ・ラティノ部門、そして今回の「The Wonder」がコンペティション部門に選出された。19世紀後半のアイルランドの寒村を舞台にした、エマ・ドナヒューの同名小説に着想を得て映画化した。脚本をアリス・バーチ、原作者、監督が共同執筆している。前2作はチリを舞台にしたスペイン語映画でしたが、新作の言語は英語とアイルランド語です。


原作者エマ・ドナヒュー(ダブリン1969)は、アイルランド系カナダ人の作家、文学史家、脚本家。2010年のベストセラー Room はレニー・アブラハムソンが映画化し、作家が脚本を手掛けた。第88回アカデミー賞2016作品賞にノミネートされている。また『部屋』として翻訳書も出ている。

    

      

           (エマ・ドナヒューの原作 The Wonder の表紙)

 

データ:製作国イギリス=アイルランド、英語・アイルランド語、サイコスリラー、103分、製作 Element Pictures / Element / House Productions / Screen Ireland (プロダクション・マネージメント)LSG Productions、撮影地アイルランド、20218月クランクイン、配給 Netflix

キャスト:フローレンス・ピュー(英国人看護師エリザベス・ライト/リブ)、キラ・ロード・キャシディ(アナ・オドネル)、キアラン・ハインズ(神父)、トム・バーク(ジャーナリスト)、トビー・ジョーンズ(アナの主治医)、エレイン・キャシディ(アナの母)、ニアフ・アルガー(キティ・オドネル)、ほか

  

ストーリー:舞台は1862年、アイルランドのミッドランド地方の小さな村、イギリス人の看護師リブ・ライトは、11歳の誕生日以来何ヵ月も食べていないという少女アナ・オドネルの真否を観察するために村に派遣されてくる。アナを一目見ようと巡礼者や観光客が殺到し、新聞記者もやってくる。アンナの背後にある真相を突き止めるための委員会が結成され、リブ・ライトは、一部の人が宗教上の奇跡と見なしている医学的驚異を理解するには、誰が信頼できるのかを判断しなければならない。もしかすると天の恵みで生きている聖女として村人が囲っているのではないか、あるいはもっと邪悪な動機があるのだろうか。19世紀に典型的だった断食少女の奇怪な出来事にインスパイアされたサイコスリラー。オドネル家の秘密、宗教的ヒステリー、医学的仮説(科学と信仰の衝突)、イギリスとアイルランドの対立(リブ・ライトは故国に敵対的なアイルランドの村に唯一人でいる)、何が起こっているのかではなく、なぜ起こっているのかが語られる。

 

  

   

       

      (リブ・ライト役フローレンス・ピュー、アナの主治医役トビー・ジョーンズ)

   

 

    

 (マヌエル・アブラモヴィッチ、クリストフ・オノレ、川村元気、セバスティアン・レリオ)

  

セクション・オフィシアル追加作品*サンセバスチャン映画祭2022 ⑤2022年08月09日 16:27

          70回セクション・オフィシアル追加作品

   

★セクション・オフィシアルの追加4作、2017年の『家族のように』以来、久々の登場となったアルゼンチンのディエゴ・レルマンの「El suplente / The Substitute」、カンヌ・シネフォンダシオン・レジデンスに選ばれて製作したアメリカのマリアン・マタイアスのデビュー作「Runner」、ポルトガルのマルコ・マルティンスがイギリスを舞台にポルトガル出稼ぎ労働者をテーマにした「Great Yarmouth-Provisional Figures」、コロンビアのラウラ・モラがメデジンの10代のアマチュア5人を起用して撮った第2作目「Los reyes del mundo / The Kings of the World」、以上4作のご紹介。

         

9)El suplente / The Substitute」 アルゼンチン

ヨーロッパ-ラテンアメリカ共同製作2019 

監督:ディエゴ・レルマン(ブエノスアイレス1976)は、監督、脚本家、製作者、舞台監督。新作は6作目になる。本祭との関りは、2014年、ホライズンズ・ラティノ部門に4作目「Refugiado」がノミネート、2017年、5作目となる「Una especie de Familia」がコンペティション部門に正式出品され、新作でも共同執筆者であるマリア・メイラと脚本賞を受賞した。ラテンビート2017で『家族のように』の邦題で上映されている。2010年、3作目の「La mirada invisible」が国際東京映画祭で『隠れた瞳』として上映された折り、ヒロインのフリエタ・シルベルベルクと来日している。

 

データ:製作国アルゼンチン=伊=仏=西=メキシコ、スペイン語、ドラマ、110分、脚本マリア・メイラ、レルマン監督、ルチアナ・デ・メロ、フアン・ベラ、製作Arcadiaスペイン / Bord Cadre Films / El Campo Cine アルゼンチン/ Esperanto Kinoメキシコ / Pimienta Filma / Vivo Filmイタリア、製作者ニコラス・アブル(エグゼクティブ)、ディエゴ・レルマン、他多数、撮影ヴォイテク・スタロン、編集アレハンドロ・ブロダーソンBrodersohn、美術マルコス・ペドロソ、主要スタッフは前作と同じメンバーが多い。トロント映画祭202298日~18日)でワールドプレミアム。

 

キャスト:フアン・ミヌヒン(ルシオ)、アルフレッド・カストロ(エル・チレノ)、バルバラ・レニー(マリエラ)、マリア・メルリノ(クララ)、レナータ・レルマン(ルシオの娘ソル)、リタ・コルテセ(アマリア)、他

ストーリー:ルシオは名門ブエノスアイレス大学の文学教授ですが、このアカデミックな生活に倦んでいる。自分の生れ育ったブエノスアイレスのバリオの学校で自分の知識を活用させたいと思っている。彼は復讐のため地域の麻薬組織のボスに追いまわされている学生ディランを救おうとして事件に巻き込まれていく。

別途に作品紹介を予定しています。

 

  

                  (ルシオ役のフアン・ミヌヒン、フレームから)

 

   

         (フアン・ミヌヒン、監督、バルバラ・レニー)

 

 

10)「Runner」アメリカ

監督マリアン・マタイアス Marian Mathias(シカゴ1988)監督、脚本家、デビュー作。ニューヨークのブルックリン在住。カンヌ・シネフォンダシオン・レジデンス2018に選出されたほか、トリノ・ヒューチャーラボ201950.000ユーロ)、ベネチア映画祭プロダクション・ブリッジ・プログラム2020、ニューヨーク芸術財団などの資金援助を受けて製作されている。

データ:製作国アメリカ=ドイツ=フランス、2022年、英語、ドラマ、製作 Killjoy Films ドイツ / Man Alive アメリカ / Easy Riders フランス、脚本マリアン・マタイアス、撮影ジョモ・フレイ、製作者ジョイ・ヨルゲンセン、音楽Para One、キャスティングはケイト・アントニート、衣装スージー・フォード、撮影地ミシシッピー、イリノイ。トロント映画祭ディスカバリー部門でプレミアされ、ヨーロッパは本祭がプレミアとなる。

 

     

      (製作者ジョイ・ヨルゲンセンとマタイアス監督、トリノ・ラボ2019

 

キャスト:ハンナ・シラー(ハース)、ダレン・ホーレ(ウィル)、ジーン・ジョーンズ、ジョナサン・アイズリー

ストーリー18歳になるハースは、ミズリー州の孤立した町で父親に育てられた。突然父親が亡くなり一人残された。ミシシッピー川沿いの生れ故郷に埋葬して欲しいという父親のかつての願いを叶えるため出立する。厳しい気候や不景気と闘っているコミュニティで芸術的な魂を持っているウィルと出会う。彼は家族を養うため遠く離れた土地から出稼ぎに来ていた。彼はハースに引き寄せられ、彼女はウィルに引き寄せられる。彼はハースに生きることを教え、彼女はウィルに感じることを教え、お互いを発見します。ハースの愛と喪失、ふたりの友情と別れが語られる。

   

         

              (ハースとウィル、フレームから)

 

 

11)「Great Yarmouth-Provisional Figures」ポルトガル マルティンス?

監督マルコ・マルティンス Marco Martins (リスボン1972)監督、脚本家。本祭との関りは今回が初めてだが、2005年製作の「Alice」がカンヌ映画祭「ある視点」部門の作品賞を受賞した他、ラス・パルマスFF(新人監督)、マル・デル・プラタFF(監督・FIPRESCI)、ポルトガルのゴールデン・グローブ賞などを受賞している。他ベネチアFFのオリゾンティ部門にノミネートされた「Sao Jorge」(16)では、新作でも主演しているヌノ・ロペスが男優賞を受賞、ほかに「How to Draw a Perfect Circle」(09)が代表作。

 

    

     (中央が監督、右ヌノ・ロペス、第73回ベネチア映画祭フォトコールにて)

 

データ:製作ポルトガル=フランス=イギリス、ポルトガル語・英語、2022年、ドラマ、113分。製作Damned Films / Les Films de IApres-Midi / Uma Pedra no Sapato、脚本リカルド・アドルフォと監督の共同執筆、製作者カミラ・ホドル、フィリパ・レイス、(エグゼクティブ)イアン・ハッチンソン、サスキア・トーマスほか、撮影ジョアン・リベイロ、衣装イザベル・カルモナ、撮影地イギリスのグレート・ヤーマス

 

キャスト:ベアトリス・バタルダ(タニア)、ヌノ・ロペス、クリス・ヒッチェン、ボブ・エリオット、ヴィクトル・ローレンソ、リタ・カバソ、ロメウ・ルナ、ピーター・コールドフィールド(ジョー)、ウゴ・ベンテス(カルドソ)、アキレス・Fuzier(ロマの少年)、セリア・ウィリアムズ(看護師)、ほか

 

ストーリー201910月、ブレグジットの3ヵ月前、英国ノーフォーク州グレート・ヤーマスに何百人ものポルトガル人出稼ぎ労働者が、地元の七面鳥工場での仕事を求めて押しよせてきた。タニアはこれらの養鶏場で働いていたが、現在はイギリス人のホテルの経営者と結婚している。彼女はポルトガルの労働者にとって頼りになる人だったが、今では英国の市民権も取り、夫所有の使われていないホテルを高齢者向け施設に改装して、このやりがいのない仕事を辞めたいと夢見ていた。

 

     

                (フレームから)

 

 

12)「Los reyes del mundo / The Kings of the World」 コロンビア

監督ラウラ・モラ(メデジン1981)は監督、脚本家。新作は第2作目。メルボルン・フィルムスクールRMITで映画制作と監督を専攻する。本祭との関りは、2017年ニューディレクターズ部門に出品されたデビュー作「Matar a Jesús / Killing Jesús」がクチャバンク賞スペシャル・メンション、ユース賞、Fedeora 賞、SIGNIS 賞を受賞している。2002年に殺害された父親の実体験から構想された力作。カイロ映画祭で銀のピラミッド監督賞以下、コロンビアのマコンド賞、カルタヘナFF観客賞、フェニックス賞、シカゴ、パナマ、パーム・スプリングス、各映画祭受賞歴多数。他にTVシリーズ「Pablo Escobar: El Patrón del Mal」(12120話のうち83話を監督する。これは『パブロ・エスコバル 悪魔に守られた男』の邦題でNetflix 配信されている。

新作はプロフェッショナルな女性スタッフの協力と、演技経験のないアマチュアの15歳から22歳の若者5人とのトークを重ねながらクランクインできた。モラ監督は「この映画は男らしさを反映した映画ですが、撮影、録音以外は女性が手掛けています」と。本祭プレミアが決定した折りには「遂に映画をリリースできて、とても嬉しいです。非常に長く厳しいプロセスでしたから。それにサンセバスチャンの公式コンペティションで、私たちが深く尊敬している監督たちに囲まれて初演できることを光栄に思います」と語っている。

 

    

             (新作について語るラウラ・モラ)

 

データ:製作国コロンビア=ルクセンブルク=フランス=メキシコ=ノルウェー、スペイン語、2022年、ドラマ、脚本は『夏の鳥』(18)の脚本を執筆したマリア・カミラ・アリアスと監督との共同執筆、製作 Ciudad Lunar Productions / La Selva Cine、製作者は『彷徨える河』(15)のプロデューサー、『夏の鳥』の監督兼製作者のクリスティナ・ガジェゴと、TVシリーズを数多く手掛けているミルランダ・トーレス資金提供メデジン市。撮影地メデジン、配給 Film Factory Entertainment、公開コロンビア106

キャスト:カルロス・アンドレス・カスタニェダ、ダビッドソン・アンドレス・フロレス、ブライアン・スティーブン・アセベド、クリスティアン・カミロ・ダビ・モラ

 

   

 

  (5人の王たち、フレームから)

 

ストーリー:メデジンのストリートチルドレン、ラー、クレブロ、セレ、ウィニー、ナノの5人の若者の不服従、友情、誇りについての物語。5人の王たちには王国も法律も家族もなく、本当の名前すら知らない。最年長のラーは、かつて民兵組織が祖母から押収した土地に関する政府からの手紙を受け取った。彼と仲間は約束の地を求めて旅の準備に着手する。破壊的な物語は荒々しいが深遠なグループを通して現実と妄想が交錯する。すべてが生じた無に向かっての旅が語られる。


 

       

(左からディエゴ・レルマン、マリアン・マタイアス、マルコ・マルティンス、ラウラ・モラ)

セクション・オフィシアル最終回*サンセバスチャン映画祭2022 ⑥2022年08月14日 11:28

          70回セクション・オフィシアル追加作品

 

★セクション・オフィシアル追加作品の最終回はベテラン監督編、国際映画祭では度々目にする顔ぶれが選ばれています。デンマークからは東京国際映画祭2019の東京さくらグランプリ受賞作品『わたしの叔父さん』のフラレ・ピーダセンの「Resten af livet / Forever」、本祭以外にもカンヌやベルリンなどの受賞歴を誇る韓国のホン・サンスの「Top / Walk Up」、ベルリンFF2022コンペティション部門で上映された「Limini」と、もともとは一つの映画だったというオーストリアのウルリヒ・ザイドルの「Sparta」、チェコのペトル・ヴァーツラフの「Il Boemo」は、18世紀後半チェコ出身でローマで活躍、チェコで初めて国際的な作曲家になったヨゼフ・ミスリヴェチェクの伝記映画、あの天才モーツアルトが賛辞を贈っていたという、管理人も初めて目にする作曲家の名前、だから映画は楽しい。各国とも金貝賞受賞と期待が高まっているようです。今回をもってセクション・オフィシアルは終りです。

 

 

13)「Resten af livet / Forever」 デンマーク 

監督フラレ・ピーダセンFrelle Petersen(オベンロー1980)は、「Onkel / Uncle」が『わたしの叔父さん』の邦題で東京国際映画祭2019で上映され、東京さくらグランプリを受賞、劇場公開になった。ほか「アート・オブ・クライング」(06)など。新作は南ユトランド半島を舞台に家族の喪失と再生が語られる。本国では既に公開され、「人生を肯定的に描いて勇気を与えてくれる、今年最高のデンマーク映画」と絶賛されている。『わたしの叔父さん』で好評だったイェデ・スナゴーが主演している。

データ:製作国デンマーク、デンマーク語、2022年、ドラマ、110分、公開デンマーク202277日。

   

    

 

キャスト:イェデ・スナゴー(リリー)、オレ・ソレンセン(エゴン)、メッテ・ムンク・プラム(マレン)

ストーリー:厳しい自然の力が猛威をふるう沼地と北海に近い南ユトランド半島でくり広げられる、人生を肯定する家族の物語。エゴンとマレンの老夫婦は、成人した二人の子供と石造りの戸建ての家で静かに暮らしていた。しかし息子を失うという耐えがたい悲劇が家族を襲ったとき、突然敷物の下に隠れていたものが顔を出します。残された家族の喪失と再生が語られる。監督が構想した三部作(第1部「Onkel」)の2作目ということです。

  

     

             (リリー役のイェデ・スナゴーとマレン役のムンク・プラム)

 

 

14)「Top / Walk Up」 韓国

監督ホン・サンスHong Sangsoo(ソウル1960)は、監督、脚本家、製作者。本祭との関りでは、2016年コンペティション部門の『あなた自身とあなたのこと』が銀貝(監督)賞、2017年サバルテギ-タバカレラ部門ノミネートの『それから』(17)、続く2020年には『逃げた女』でスペシャル・メンションを受賞している。前者はカンヌFF、後者はベルリンFFで銀熊(監督)賞受賞作品。最近では『夜の浜辺でひとり』(17)、『あなたの顔の前に』(21)など多数劇場公開されている。今回の新作で2回目の金貝賞を競うことになる。キャスティングはサンス映画の常連さんで固めており、主役にクォン・ヘヒョを据えている。

データ:製作国韓国、韓国語、2022年、ドラマ、97分、トロント映画祭2022上映後、サンセバスチャン映画祭、10月にはニューヨーク映画祭に選出されている。配給The Cinema GuildUSA

   

    

 

キャスト:クォン・ヘヒョ(ビョンス)、イ・ヘヨン、パク・ミソ(ジョンス)、ソン・ソンミ、チョ・ユンヒー、ほか

ストーリー:中年の映画監督ビョンスは、インテリアデザイナー志望の娘ジョンスと一緒に、何年ぶりかで、既にデザイン界では実績のある旧友の所有するビルを訪ねていく。デザイナーは二人に改装された各階を案内する。2階にはレストランと調理スタジオ、地下には彼女のオフィス、3階は住まい、3人は各階の部屋をちらっと覗いていく。映画はこんな雰囲気で始り、その後再び階下から上階に上がっていく。

 

    

                           (クォン・ヘヒョ、フレームから)

 

 

 

15)「Sparta」 オーストリア 

監督ウルリヒ・ザイドル(ウィーン1952)は、監督、脚本家、製作者。本祭との関りは、レトロスペクティブ部門やサバルテギ-タバカレラ部門で上映されているが、コンペティション部門は今回の「Sparta」が初めて。代表作は『ドッグ・デイズ』がベネチアFF2001審査員特別賞、ヒホンFFアストゥリアス・グランプリを受賞している。「パラダイス」(201213)で愛、神、希望を語った三部作は、世界三大映画祭に出品されそれぞれ高い評価を受けた。新作「Sparta」と姉妹映画の関係にある「Rimini」(22)は、ベルリナーレでプレミアされ、ディアゴナーレで最優秀長編映画賞に選ばれたほか、パリックFFFIPRESCI 賞を受賞している。これら2作は元々一つの作品として出発したが、コロナ感染の影響の遅れもあって2作に分割された姉妹映画です。

 

        

                        (ウルリヒ・ザイドル、第72回ベルリナーレ2022215

 

データ:製作国オーストリア=フランス=ドイツ、2022年、ドラマ、101分。製作Coproduction Office / Arte France Cinéma / Société Parisienne de Production / Seidi Film / Bayerischer Rundfunk TV、他、脚本は監督自身と監督夫人ヴェロニカ・フランツ、撮影ヴォルフガング・セイラー、美術アンドレアス・ドンハウザーとレナーテ・マルティン、衣装ターニャ・ハウスナー、製作者フィリップ・ボベール&監督、(エグゼクティブ)アンドレアス・ロアルドほか、撮影地オーストリア、イタリア、ルーマニア、ドイツ、期間2017年春から2018年までの85日間、公開オーストリアは2023年が予定されている。撮影中の201711月にハンス・ミヒャエル・レーベルクが鬼籍入りしている。主役は前作にも出演しているゲオルク・フリードリヒ

 

キャスト:ゲオルク・フリードリヒ(エヴァルト)、ハンス・ミヒャエル・レーベルク(父)、フロンティナ・エレナ・ポップ、マリウス・イグナット、オクタヴィアン・ニコラエ・コーシス

ストーリー:エヴァルトは数年前にルーマニアに引っ越してきた。40代を迎え新たなスタートを切りたいと、ガールフレンドとも別れて、より奥地に移動することにした。地元の少年たちと一緒に朽ち果てた校舎を要塞に変えていく。子供たちはこの新しい生活を大いに楽しんでいますが、村人のあいだで不信感が高まっていきます。それは彼が長いあいだ封印してきた真実に立ち向かわざることになるだろう。前作「Rimini」の姉妹作品であり、過去からの遁走の不可能性についての、自分自身を襲った痛みについての、ザイドル自身の結論が語られるのだろうか。

 

     

                                   (フレームから)

 

 

16)Il Boemo」 チェコ 

監督ペトル・ヴァーツラフPetr Václav(プラハ1967)は、監督・脚本家、2003年からパリ在住、二重国籍を持っている。本祭との関りは、第2作「Parallel Worlds」(01)がニュー・ディレクターズ部門に出品されている。新作「Il Boemo」は、チェコ生れだがイタリアに渡って1770年代のイタリアオペラで活躍した作曲家ヨゼフ・ミスリヴェチェク(173787ローマで死去)の伝記映画。

データ:製作国チェコ=イタリア=スロバキア、2022年、イタリア語、伝記映画、141分、脚本ペトル・ヴァーツラフ、撮影ディエゴ・ロメロ、編集パオロ・コッティニョーラほか、メイク部門テレサ・バシリほか、製作Mimesis Film / Dugong Films / Sentimentalfilm / Czech Film Fund、チェコTVほか。公開チェコ1020

   

     

 

キャスト:ヴォイチェフ・ダイク(ヨゼフ・ミスリヴェチェク)、エレナ・ラドニッチ、バルバラ・ロンキ(カテリナ)、ラナ・ブラディ、カレル・ローデン、フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)、シモーナ・シャトゥロヴァー(ソプラノ)、リノ・ムゼッラ、フィリップ・アマデウス・ハーン(青年モーツアルト)

 

      

   

 

ストーリー1764年、ヨゼフは1年以上もベネチアで不安定な生活を送っていた。オペラの作曲家を目指していたが、才能のある作家たちで町は溢れており、彼を受け入れる門は閉ざされているようだった。しかし彼がバイオリニストの仕事を探しているとき、ある裕福な若い女性との出会いで軌道に乗ります。彼女のお蔭でサロンで演奏するチャンスを得ることができます。しかし彼の本当の幸運は、彼がある放縦な侯爵夫人の愛人になったときに訪れます。彼女は洗練されたマナーを教え、彼に宗教的不寛容から解放された快楽主義的な生活を紹介します。ヨゼフはヨーロッパ最大の劇場であるサン・カルロのためにオペラを書くという信じられない依頼を受けます。

    

       

         (左から、ヴォイチェフ・ダイク、ヤン・マコラ、監督)

 

 トレビア記事

ヴァーツラフ監督談「ヨゼフは優れた作曲家というだけでなく、何よりも優れた心理学者、ドラマトゥルギーであった。登場人物の葛藤を強調し、感性やジレンマを伝える術を知っていた。若いモーツアルトが魅了されたのは、まさにこの劇的な才能への称賛でした」と主人公の魅力を語っている。

また製作者のヤン・マコラは「前例のない準備期間、撮影から完成まで10年がかりでした。歴史的推敲、独自性の強調、全員が取り組んだ現代性への努力が実った」と語っている。

主役を演じたヴォイチェフ・ダイクは歌手でもあり、母語のほかドイツ語、イタリア語が堪能で、全編イタリア語で撮ったが支障がなかった。プロフェッショナルなオペラ歌手、フランスのカウンターテナーのフィリップ・ジャルスキー、ソプラノのシモーナ・シャトゥロヴァーも出演、オーケストラはプラハ・バロック交響楽団、指揮者はヴァーツラフ・ルクスでした。

 

 

   

(左から、フラレ・ピーダセン、ホン・サンス、ウルリヒ・ザイドル、ペトル・ヴァーツラフ)

 

ホライズンズ・ラティノ部門12作*サンセバスチャン映画祭2022 ⑦2022年08月18日 10:58

           ラテンアメリカ諸国から選ばれた12作が発表になりました

    

       

 

811日、ホライズンズ・ラティノ部門12作(2021年は10作)が例年より遅れて発表になりました。オープニング作品はチリのドキュメンタリー作家パトリシオ・グスマンの「Mi país imaginario」、クロージングはエクアドルのアナ・クリスティナ・バラガンの「La piel pulpo」となりました。スペイン語、ポルトガル語に特化したセクションです。新人の登龍門的役割もあり、今回も多くは1980年代生れの監督で占められています。作品名、監督名、本祭との関りをアップしておきます。あまり選出されることのないエクアドル、コスタリカ、久しぶりにキューバの2作がノミネートされています。3分割して紹介、時間の許す限りですが、賞に絡みそうな作品紹介を別個予定しています。


   

            ホライズンズ・ラティノ部門

 

1)La piel pulpo / Octopus Skin」エクアドル=ギリシャ=メキシコ=独=仏

クロージング作品WIP Latam 2021作品、2022年、スペイン語、ドラマ、94分、脚本アナ・クリスティナ・バラガン。撮影地プンタ・ブランカ

監督アナ・クリスティナ・バラガン(エクアドル、キト1987)、2021年、エリアス・ケレヘタ・シネ・エスコラの大学院課程で学ぶ。本祭との関りは、2016年のデビュー作「Alba」がホライズンズ審査員スペシャル・メンションを受賞しています。最新の「La hiedra」は、Ikusmira Berriakイクスミラ・ベリアク・レジデンス2022に選出されている。

Alba」の紹介記事は、コチラ⇒2016年09月09日

  

    

 

キャスト:イサドラ・チャベス(イリス)、フアン・フランシスコ・ビヌエサ(アリエル)、Hazel Powell、クリスティナ・マルチャン(母親)、アンドレス・クレスポ、マカレナ・アリアス、カルロス・キント

ストーリー:双子のイリスとアリエルは17歳、母親と姉のリアと一緒に、軟体動物や小鳥、爬虫類が棲息する島のビーチに住んでいます。10代の姉弟たちは大陸から孤立して育ち、普通の親密さの限界を超えた関係のなかで、自然との結びつきは超越的です。海のはるか向こうにかすかに見えるものを求めて、イリスは島を出て町に行こうと決心します。町のショッピングセンター、騒音、不在の父親探し、弟との別れ、母親の不在は、姉弟への愛と自然の中でのアイデンティティの重要性を明らかにしていく。

    
  

                   (イサドラ・チャベス、フレームから)

 

 

2)Sublime」アルゼンチン

データ:ベルリン映画祭2022ジェネレーション14プラスのプレミア作品、製作国アルゼンチン、2022年、スペイン語、ドラマ、100分、音楽エミリオ・チェルヴィーニ、製作Tarea Fina / Verdadera Imagen、撮影地ブエノスアイレス

監督マリアノ・ビアシン(ブエノスアイレス1980)のデビュー作、脚本、製作を手掛けている。本作は第10Sebastiane Latino 受賞ほかが決定しており、別途に作品紹介を予定しています。

   

    

 

キャスト:マルティン・ミラー(マヌエル)、テオ・イナマ・チアブランド(フェリペ)、アスル・マッゼオ(アスル)、ホアキン・アラナ(フラン)、ファクンド・トロトンダ(マウロ)、ハビエル・ドロラス(マヌエルの父)、カロリナ・テヘダ(マヌエルの母)、ほか多数

ストーリー:マヌエルは16歳、海岸沿いの小さな町に住んでいる。彼は親友たちとバンドを組み、ベースギターを弾いている。特にフェリペとは小さい頃からの固い友情で結びついている。マヌエルがフェリペとの友情以外の何かを感じ始めたとき、二人の関係はどうなりますか、友情を危険に晒さず別の局面を手に入れられますか。二人は他者との絆が失われる可能性や他者からの拒絶に直面したときの怖れを共有しています。思春期をむかえた若者たちの揺れる心を繊細に描いた秀作。

   

     

 

 

3)「Ruido / Noise」メキシコ

データ:製作国メキシコ=アルゼンチン、スペイン語、2022年、ドラマ、105分、脚本ナタリア・ベリスタイン&ディエゴ・エンリケ・オソルノ、製作Woo Films

監督ナタリア・ベリスタイン(メキシコシティ1981)、長編3作目、デビュー作「No quiero dormir sola」は、ベネチア映画祭2012「批評家週間」に正式出品され、同年モレリア映画祭のベスト・ヒューチャーフィルム賞を受賞、アリエル賞2014のオペラプリマ他にノミネート、俳優の父アルトゥーロ・ベリスタインが出演している。2作目は「Los adioses」は、マラガ映画祭2017に正式出品されている。他TVミニシリーズ、短編多数。新作は行方不明の娘を探し続ける母親の視点を通して、現代メキシコの負の連鎖を断ち切れない暴力を描いている。母親を演じるフリエタ・エグロラは実母、アルトゥーロ・リプスタインの『深紅の愛』に出演している。

   

   

              (ナタリア・ベリスタイン監督)

 

キャスト:フリエタ・エグロラ(フリア)、テレサ・ルイス(アブリル・エスコベド)、エリック・イスラエル・コンスエロ(検事アシスタント)

ストーリー:フリアは母親である、いやむしろ、女性たちとの闘いをくり広げている、この国では珍しくもない暴力によって人生をずたずたに引き裂かれた多くの母親たち、姉妹たち、娘たち、女友達の一人と言ったほうがよい。フリアは娘のヘルを探している。彼女は捜索のなかで知り合った他の女性たちの物語と闘いを語ることになるだろう。

  

      

          (フリア役のフリエタ・エグロラ、フレームから)

 

 

4)「El caso Padilla / The Padilla Affair」キューバ

データ:製作国スペイン=キューバ、スペイン語、フランス語、英語、ノンフィクション、モノクロ、78分、脚本監督、製作Ventu Productions、(エグゼクティブプロデューサー)アレハンドロ・エルナンデス

   


      

監督パベル・ジルー Giroud (ハバナ1973)は、サンセバスチャン映画祭2008「バスク映画の日」に「Omertá」が上映された。同じく「El acompañante」がヨーロッパ=ラテンアメリカ共同製作フォーラム賞を受賞した他、マラガFF、マイアミFF 2016で観客賞、ハバナFF(ニューヨーク)でスター賞を受賞している。新作は1971年春、キューバで起きたエベルト・パディーリャ事件を扱ったノンフィクション。

    

    

                (エベルト・パディーリャ)

     

解説1971年の春ハバナ、詩人のエベルト・パディーリャが、ある条件付きで釈放された。彼は約束を果たすためキューバ作家芸術家連盟のホールに現れ、彼自身の言葉で「心からの自己批判」を吐きだした。彼は反革命分子であったことを認め、彼の詩人の妻ベルキス・クサ=マレを含む、会場に参集した同僚の多くを名指しで共犯者であると非難した。1ヵ月ほど前、パディーリャはキューバ国家の安全を脅かしたとして告発され妻と一緒に逮捕された。これは全世界の革命に賛同していたインテリゲンチャを驚かせた。革命の指導者フィデル・カストロへの最初の書簡で、パディーリャの自由を要求した。彼の唯一の罪は、詩的な作品を通して異議を唱えたことでした。作家の過失の録画が初めて一般に公開される。ガブリエル・ガルシア・マルケス、フリオ・コルタサル、マリオ・バルガス=リョサ、ジャン=ポール・サルトル、ホルヘ・エドワーズ、そしてフィデル・カストロの証言があらわれる。表現の自由の欠如や入手のための文化集団の闘争は、現在に反響する。キューバの過去を探求する驚くべきドキュメンタリー。

 

「パディーリャ事件」の紹介記事は既にアップしておりますので割愛します。

 コチラ20170720

  

   


 (アナ・C.・バラガン、マリアノ・ビアシン、ナタリア・ベリスタイン、パベル・ジルー)

   

追加情報:ナタリア・ベリスタイン監督のRuido / Noiseが、2023年1月11日より邦題『ざわめき』でNetflix配信が開始されました。

 

ホライズンズ・ラティノ部門②*サンセバスチャン映画祭2022 ⑧2022年08月22日 13:43

                         ホライズンズ・ラティノ部門

 

5)Un varón」コロンビア

WIP Latam 2021作品

データ:製作国コロンビア=フランス=オランダ=ドイツ、2022年、スペイン語、ドラマ、81分、製作Medio de Contención Producciones コロンビア/ Black Forest Filmsドイツ / Fortuna Filmsオランダ / In Vivo Films フランス/ RTVC Play 他、脚本ファビアン・エルナンデス、撮影ソフィア・オッジョーニ、音響イサベル・トレス他、音楽マイク&ファビアン・クルツァー、編集エステバン・ムニョス、プロダクション・デザイン、フアン・ダビ・ベルナル、製作者マヌエル・ルイス・モンテアレグレ、クレア・シャルル=ジェルヴェ、他。撮影地ボゴタ。カンヌ映画祭2022「監督週間」(英題「A Male」)でプレミア、グアダラハラ映画祭インターナショナル部門出品、

 

監督ファビアン・エルナンデス(ボゴタ1985)監督、脚本家、公立学校で映画の教鞭をとる。本作は長編デビュー作。2015年、制作会社Niquel Films 設立、自身の短編「Mala maña15)、「Tras la montña」(16)、「Golpe y censura」(18)、「Las ánimas」(20)を撮る。監督「わたしの作品は、コロンビアの他の映画とはアプローチの仕方が異なり、より深いです。人々や地域を尊重しています」と語っている。

 

     

          (カンヌで使用された英題「A Male」のポスター)

 

キャスト:ディラン・フェリペ・ラミレス(カルロス)

ストーリー:カルロスはボゴタの中心街にある青少年の保護施設に住んでいる。クリスマスには家族と一緒に過ごしたいと切望している。休暇に向けて施設を出ると、カルロスは最強のアルファ・マッチョの法則が支配するバリオの暴力に向き合うことになります。また彼は、自分がそういう人物になれることを証明しなければなりません。彼の内面はこれらの男らしさと矛盾していますが、ここで生き延びるためには決心しなければなりません。カルロスの心はこの狭間でぶつかり合っています。自分の感受性、脆弱性を認め、本当の男らしさとは何かを求めている。

 

      

     

        

      

       (路上で銃の取り扱い方を伝授されるカルロス、フレームから)

 

 

6)Dos estaciones」メキシコ

Foro de Coproducción Europa-América Laten 2019  WIP Latam 2021作品 

データ:製作国メキシコ=フランス=アメリカ、2022年、スペイン語、ドラマ、99分、脚本フアン・パブロ・ゴンサレス、アナ・イサベル・フェルナンデス、イラナ・コールマン、音楽カルミナ・エスコバル、撮影ヘラルド・ゲーラ、編集フアン・パブロ・ゴンサレス、リビア・セルパ、製作者イラナ・コールマン、ブルナ・ハダッド、ジェイミー・ゴンサルベス他、製作In Vivo Filmsフランス / Sin Sitio Cine、配給Luxboxサンダンス映画祭ワールド・シネマ部門でプレミア、主役テレサ・サンチェスが審査員特別賞を受賞、その他、ボストン・インディペンデントFF審査員大賞、ロスアンゼルス・アウトフェス審査員大賞、サンディエゴ・ラティノ、ヒューストン・ラティノ、シカゴ・ラティノなど映画祭出品多数。テレサ・サンチェスは、有望な若手監督ニコラス・ペレダの「Minotauro」(15)、「Fauna」(20)などの常連です。

     

      

 

監督フアン・パブロ・ゴンサレス(ハリスコ1984)監督、脚本家、本作は長編デビュー作、短編デビュー作「The Solitude of Memory」(14)はモレリア映画祭でプレミアされた。「Las nubes」(17)、瞑想的なスタイルを確立したと評価されたドキュメンタリー「Caballerango」(18)他。デビュー作のフィクションの感性とノンフィクションの要素の融合は、前作のドキュメンタリーの手法を受け継いでいるようです。

 

キャスト:テレサ・サンチェス(マリア・ガルシア)、ラファエラ・フエンテス(ラファエラ)、マヌエル・ガルシア・ルルフォ、タティン・ベラ(トランスジェンダーの美容師タティン)

ストーリー:ロス・アルトス・デ・ハリスコにある伝統的なテキーラ工場の相続人であるセニョーラ・マリアは、外国企業の進出が強まる市場で受け継いだ工場の存続に努力しています。彼女は新しい管理者にラファエラを雇い、危機を乗り越えようと情熱を傾けている。しかし、長びく大災害と予期せぬ洪水がプランテーションに取り返しのつかない損害を与えたとき、マリアは地域コミュニティの富と誇りを救うため、彼女が手にしているすべてをかけて対応せざるを得なくなる。マッチョ文化が長いあいだ支配されてきた場所にも、社会的な変化のいくつかが語られる。

 

       

      

         (断髪したセニョーラ・マリアの目、フレームから)

 

 

7)「Mi país imaginario / My Imaginary Country」チリ

オープニング作品

データ:製作国チリ、2022年、スペイン語、ドキュメンタリー、83分、撮影サミュエル・ラフ、編集ローレンス・マンハイマー、音楽Miranda & Tobal、製作者レナーテ・ザクセアレクサンドラ・ガルビス、製作Arte France Cinéma / Atacama Productions、配給Market Chile、販売 Pyramide International。カンヌ映画祭2022コンペティション部門セッション・スペシャル特別上映、エルサレム映画祭(ベスト・ドキュメンタリー賞)を経て、サンセバスチャン映画祭上映となった。フランスでは8月にリミテッド上映だがチケット売れ切れの盛況だったが、チリのサンティアゴでのプレミア上映は、観客全員がマスクを着用、十数人を超えることはなかったという。

    

      

 (製作者レナーテ・ザクセ、監督、製作者アレクサンドラ・ガルビス、カンヌFF2022にて)

 

監督パトリシオ・グスマン(サンティアゴ1941)は、監督、脚本家、フィルム編集、撮影監督、ドキュメンタリー作家、現在はパリ在住。キャリア&フィルモグラフィー紹介、特に「チリ三部作」は以下にアップしています。本祭との関りは、2015年ホライズンズ・ラティノ部門に『真珠のボタン』、2019年に『夢のアンデス』(「La cordillera de los Suños」)が正式出品されています。

『光のノスタルジア』(10)の紹介記事は、コチラ20151111

『真珠のボタン』(15)の紹介記事は、コチラ20150226同年1116

『夢のアンデス』(19)の紹介記事は、コチラ20190515

   

      

 

主な女性出演者:女優で劇作家ノナ・フェルナンデス、撮影監督ニコル・クラムジャーナリストのモニカ・ゴンサレス、政治学者クラウディア・ハイス、チェス競技者ダマリス・アバルカ、元憲法制定会議議長エリサ・ロンコンほか多数

解説:「201910月、予想外の革命、社会的激動、150万人の民衆がサンティアゴの街頭で、もっとデモクラシーな社会、誇りのもてるより良い生活、より良い教育と医療制度、そして新しい憲法を要求してデモ行進をしました。チリはかつての記憶を取り戻したのです。1973年の学生闘争以来、私が待ち望んでいた出来事が遂に実現したのです」と語ったグスマンは、抗議行動を記録するために、在住しているフランスからチリに撮影クルーを組織しました。1年後、監督はインタビューを実施し、新憲法のための国民投票を撮影するため故国に戻ってきました。半世紀の間の時代の変化を体験した監督は、新作では著名な女性作家、ジャーナリスト、シネアストなどの視点を多く取り入れました。海外での評価は高かったが、故国では厳しかったようです。内からと外からの視点は違うということでしょうか。

賞には絡まないと思いますが、いずれ詳しい紹介記事を予定しています。

    

     

        (闘いを決心した目出し帽着用の20代の女性、フレームから)

    

     

      (「20191018日バンザイ」のステッカーを掲げるデモ参加者)

 

 

8)「Vicenta B.」キューバ

WIP Latam 2021  EGEDAプラチナ賞受賞作品

データ:製作国キューバ=フランス=米国=コロンビア=ノルウェー、2022年、スペイン語、ドラマ、75分、脚本カルロス・レチュガ、ファビアン・スアレス、撮影デニセ・ゲーラ、編集ジョアンナ・モンテロ、音楽サンティアゴ・バルボサ、ハイディ・ミラネス、音響ベリア・ディアス、製作・製作者Cacha Films(キューバ)クラウディア・カルビーニョ、ROMEO(コロンビア)コンスエロ・カスティーリョ、Promenades Films(フランス)サミュエル・ショーヴァン、Dag Hoel Filmproduksjon(ノルウェー)ダグ・ホエル、販売Habanero(ブラジル)。トロント映画祭2022正式出品。

    

     

 

監督カルロス・レチュガ(ハバナ1983)監督、脚本家、本作は長編3作目、WIP Latam 2021 EGEDA(視聴覚著作権管理協会)プラチア賞受賞作品。また第2作目「Santa y Andrés」は2016年のホライズンズ・ラティノ部門に選出されている。本作は第38回ハバナ映画祭で上映するよう選出されていたにも拘らず、ICAIC のお気に召さず拒否された。当ブログで作品紹介記事をアップしています。

Santa y Andrés」の作品、監督キャリア紹介は、コチラ20160827

 

      

    WIP Latam 2021 EGEDAプラチア賞、サンセバスティアンFF2021授賞式にて)


監督によると「ビセンタは、孤独な母親が多い国の物語です。現在キューバには考え方が違うという理由だけで多くの若者が投獄されています」と、昨年711日に同時多発的に起きた大規模な抗議デモで拘束された人々の脱出劇について言及した。またハバネロ・フィルム・セールスのパートナーであるパトリシア・マルティンは、本作のように「政治について明確に語っていない場合でも、根本的に政治的です」と述べている。

 

キャスト:リネット・エルナンデス・バルデス(ビセンタ・ブラボ)、ミレヤ・チャップマン、Aimee Despaigne、アナ・フラビア・ラモス、ペドロ・マルティネス

ストーリー:ビセンタ・ブラボは、人の運勢をカードで占ったり将来を洞察できる特殊な才能をもっているサンテラである。毎日、悩みを抱えた人々が解決を求めてやってくる憩いの場になっている。ビセンタは一人息子とは上手くやっていたが、それもこれも彼がキューバを出たいと決心するまでのことでした。これがすべての崩壊の始りだった。自分のまわりで何が起きているのか、解決の糸口が見つからないまま危機に陥ってしまう。天賦の贈り物を失ったビセンタは、誰もが信仰を失ったように思われる国の内面への旅に出発するだろう。黒人や貧しい女性の実存が脅かされるとどうなるか、魂の探求、信仰の危機、家族の孤立に光が当てられている。

     

   

 

                (フレームから)

 

 

   

(左から、ファビアン・エルナンデス、フアン・パブロ・ゴンサレス、パトリシオ・グスマン、カルロス・レチュガ)


ホライズンズ・ラティノ部門 ③*サンセバスチャン映画祭2022 ⑨2022年08月25日 17:28

           ホライズンズ・ラティノ部門

 

 9)「Carvao / Charcoal (Carbón) 」ブラジル

データ:製作国ブラジル=アルゼンチン、2022年、ポルトガル語・スペイン語、スリラードラマ、107分、脚本カロリナ・マルコヴィッチ、撮影ペペ・メンデス、編集ラウタロ・コラセ、音楽アレハンドロ・Kauderer、製作 & 製作者Cinematografica Superfilmes(ブラジル)Zita Carvalhosaジータ・カルバルホサ / Bionica Films(同)カレン・カスターニョ / Ajimolido Films(アルゼンチン)アレハンドロ・イスラエル。カルロヴィ・ヴァリ映画祭2022正式出品され、トロント映画祭上映後サンセバスチャンFFにやってくる。

トレビア:主任プロデューサーのカルバルホサは、マルコヴィッチの長編2作目「Toll」を手掛けている。また主人公イレネに扮したメイヴ・ジンキングスは、クレベール・メンドンサ・フィリオの『アクエリアス』(16)でソニア・ブラガ扮するクララの娘を演じた女優。

 

     

 

監督カロリナ・マルコヴィッチ(サンパウロ1982)監督、脚本家。短編アニメーション「Edifício Tatuapé Mahal」(1410分)は、サンパウロ短編FFで観客賞、パウリニアFFでゴールデン・ガール・トロフィーを受賞、2018年の実話にインスパイアされた「O Órfao」(16分)は、カンヌFFクィア・パルマ、シネマ・ブラジル大賞、サンパウロFF観客賞他3冠、ハバナFFスペシャル・メンション、ほかビアリッツ、マイアミ、ヒューストン、クィア・リスボア、リオデジャネイロ、SXSWなどの国際映画祭巡りをした。サンセバスチャンは今回が初めてである。宗教、生と死、義務とは何かを風刺的に描いている。

        

                  

               (カロリナ・マルコヴィッチ)

 

キャスト:メイヴ・ジンキングス(女家長イレネ)、セザール・ボルドン(麻薬王ミゲル)、ジャン・コスタ(息子ジャン)、カミラ・マルディラ(ルシアナ)、ロムロ・ブラガ(夫ジャイロ)、ペドロ・ワグネル、ほか

ストーリー2022年ブラジル、サンパウロから遠く離れた田舎町で、木炭工場の傍に住んでいる家族が、謎めいた外国人を受け入れるという提案を承諾する。宿泊客を自称していたが実は麻薬を欲しがっているマフィアだということが分かって、家はたちまち隠れ家に変わってしまった。母親、夫と息子は、農民としてのルーチンは変えないように振舞いながら、この見知らぬ客人と一つ屋根の下の生活を共有することを学ぶことになります。多額の現金と引き換えに単調さから抜け出す方法を提案されたら、人はどうするか。社会風刺を得意とする監督は、木炭産業で生計を立て、結果早死にする人々の厳しい現実を描きながらも、大胆な独創性、鋭いユーモアを込めてスリラードラマを完成させた。

 

     

           (木炭にする木材を運ぶ子供たち、フレームから)

 

 

10)1976」チリ

Ventana Sur Proyecta 2018Cine en Construccion 2022

データ:製作国チリ=アルゼンチン=カタール、スペイン語、2022年、スリラードラマ、95分、脚本マヌエラ・マルテッリ、アレハンドラ・モファット、撮影ソレダード・ロドリゲス、美術フランシスカ・コレア、編集カミラ・メルカダル、音楽マリア・ポルトゥガル、キャスティング、マヌエラ・マルテッリ、セバスティアン・ビデラ、衣装ピラール・カルデロン、製作 & 製作者オマール・ズニィガ / Cinestaciónドミンガ・ソトマヨール / アレハンドロ・ガルシア / Wood Producciones アンドレス・ウッド / Magma Cine フアン・パブロ・グリオッタ / ナタリア・ビデラ・ペーニャ、他、販売Luxbox。カンヌ映画祭2022「監督週間」正式出品、ゴールデンカメラ賞ノミネート、エルサレム映画祭インターナショナル・シネマ賞受賞(デビュー作に与えられる賞)

   

      

 

監督マヌエラ・マルテッリ(サンティアゴ1983)女優、監督、脚本家、監督歴は数本の短編のあと本作で長編デビュー。女優としてスタート、2003年ゴンサロ・フスティニアーノの「B-Happy」でデビュー、ハバナ映画祭で女優賞を受賞するなど好発進、出演本数はTVを含めると30本を超える。2作目アンドレス・ウッドの『マチュカ-僕らと革命-』(04)でチリのアルタソル賞を受賞、アリネ・クッペンハイムと共演している。同監督の「La buena vida」(08)は『サンティアゴの光』の邦題で、ラテンビート2009で上映されている。当ブログでは、アリシア・シェルソンがボラーニョの小説を映画化した「Il futuro」(13、『ネイキッド・ボディ』DVD)で主役を演じた記事をアップしています(コチラ20130823)。

別途詳しい作品紹介、キャリア&フィルモグラフィーを予定しています。

作品紹介は、コチラ⇒2022年09月13日

 

キャスト:アリネ・クッペンハイム(カルメン)、ニコラス・セプルベダ(エリアス)、ウーゴ・メディナ(サンチェス司祭)、アレハンドロ・ゴイック(カルメンの夫ミゲル)、カルメン・グロリア・マルティネス(エステラ)、アントニア・セヘルス(ラケル)、アマリア・カッサイ(カルメンの娘レオノール)、他多数

ストーリー:チリ、1976年。カルメンはビーチハウスの改装を管理するため海岸沿いの町にやってくる。冬の休暇には夫、息子、孫たちが行き来する。ファミリーの司祭が秘密裏に匿っている青年エリアスの世話を頼んだとき、カルメンは彼女が慣れ親しんでいた静かな生活から離れ、自身がかつて足を踏み入れたことのない危険な領域に放り込まれていることに気づきます。ピノチェト政権下3年目、女性蔑視と抑圧に苦しむ一人の女性の心の軌跡を辿ります。

        

     

     (カルメン役のアリネ・クッペンハイムとエリアス役のニコラス・セプルベダ)

   

   

        (パールのネックレスが象徴する裕福な中流階級に属するカルメン)

 

 

11)「Tengo sueños eléctricos」コスタリカ

Ventana Sur Proyecta 2020

データ:製作国ベルギー=フランス=コスタリカ、スペイン語、2022年、ドラマ、102分、Proyecta 2021のタイトルは「Jardín en llamas」。脚本バレンティナ・モーレル。カンヌ映画祭と併催の第61回「批評家週間」正式出品、第75回ロカルノ映画祭に出品され、国際コンペティション部門の監督賞、主演女優賞(ダニエラ・マリン・ナバロ)、主演男優賞(レイナルド・アミアン)の3賞を得た。

 

    

         (トロフィを手にした3人、右端が監督、ロカルノFFにて)

 

監督バレンティナ・モーレル(サンホセ1988)、監督、脚本家。パリに留学後、ベルギーのブリュッセルのINSASで映画制作を学んだ。コスタリカとフランスの二重国籍をもっている。短編「Paul est la」は2017年のカンヌ・シネフォンダシオンの第1席を受賞した。第2作「Lucía en el limbo」(1920分)はコスタリカに戻って、スペイン語で撮った。体と心の変化に悩む10代の少女の物語、カンヌ映画祭と併催の第58回「批評家週間」に出品されたほか、トロント、メルボルンなど国際短編映画祭に出品されている。長編デビュー作「Tengo sueños eléctricos」は、第61回「批評家週間」や、ロカルノ映画祭に出品されている。監督はCineuropaのインタビューに「私は父娘関係を探求する映画をそれほど多く見たことがなかったので、それを描こうと思いました」と製作動機を語っている。「これは少女が大人になる軌跡を描いたものではなく、自分の周囲に大人がいないことに気づいた少女の軌跡です」と。また麻薬関連の物語や魔術的リアリズムをテーマにした異国情緒を避けたかったとも語っている。芸術家であった両親の生き方からインスピレーションを得たようです。

    

    

           (バレンティナ・モーレル、ロカルノFFにて)

 

キャスト:レイナルド・アミアン・グティエレス(エバの父親)、ダニエラ・マリン・ナバロ(エバ)、ビビアン・ロドリゲス、アドリアナ・カストロ・ガルシア

ストーリー:エバは16歳、母親と妹と猫と一緒に暮らしている。しかし引き離された父親のところへ引っ越したいと思っている。母親が離婚以来混乱して、家を改装したがったり、猫を邪険にしたりすることにエバは我慢できない。ここを出て、猫のように混乱して第二の青春時代を生きている父親と暮らしたい。アーティストになりたい、愛を見つけたいという望みをもって再び接触しようとする。しかし、泳ぎを知らない人が大洋を横断するように、エバもまた何も知らずに父親の暴力を受け継ぎ苦しむことになるだろう。彼にしがみつき、十代の生活の優しさと繊細さのバランスをとろうとしています。思春期が必ずしも黄金時代ではないことに気づいた少女の肖像画。

 

       

                      (エバ役のダニエラ・マリン・ナバロ)

 

     

      (ダニエラ・マリン・ナバロとレイナルド・アミアン・グティエレス)

 

 

12)「La jauría」コロンビア

データ:製作国フランス=コロンビア、スペイン語、2022年、ドラマ、86分、脚本アンドレス・ラミレス・プリド、音楽ピエール・デブラ、撮影バルタサル・ラボ、編集Julie Duclaux、ジュリエッタ・ケンプ、プロダクション・デザイン、ジョハナ・アグデロ・スサ、美術ダニエル・リンコン、ジョハナ・アグデロ・スサ、製作 Alta Rocca Filmsフランス / Valiente Graciaコロンビア / Micro Climat Studios フランス、 製作者ジャン=エティエンヌ・ブラット、ルー・シコトー、アンドレス・ラミレス・プリド。配給Pyramide International

カンヌ映画祭2022「批評家週間」グランプリとSACD賞受賞、エルサレム映画祭2022特別賞受賞、ニューホライズンズ映画祭(ポーランド)、トロント映画祭出品

   

     

 

監督アンドレス・ラミレス・プリド(ボゴタ1989)監督、脚本家、製作者。本作はトゥールーズのCine en Construccionに選ばれた長編デビュー作。ティーンエイジャーの少年少女をテーマにした短編「Mirar hacia el sol」(1317分)、ベルリン映画祭2016ジェネレーション14 plusにノミネートされ、ビアリッツ・ラテンアメリカFF、釜山FF、カイロFFなどで短編作品賞を受賞した「El Edén」(1619分)、カンヌ映画祭2017短編部門にノミネートされた「Damiana」(1715分)を撮っている。

 

キャスト:ジョジャン・エステバン・ヒメネス(エリウ)、マイコル・アンドレス・ヒメネス(エル・モノ)、ミゲル・ビエラ(セラピストのアルバロ)、ディエゴ・リンコン(看守ゴドイ)、カルロス・スティーブン・ブランコ、リカルド・アルベルト・パラ、マルレイダ・ソト、ほか

ストーリー:エリウは、コロンビアの密林の奥深くにある未成年者リハビリセンターに収監され、親友エル・モノと犯した殺人の罪を贖っている。ある日、エル・モノが同じセンターに移送されてくる。若者たちは彼らの犯罪を復元し、遠ざかりたい過去と直面しなければならないだろう。セラピーや強制労働の最中、エリウは人間性の暗闇に対峙し、あまりに遅すぎるが以前の生活に戻りたいと努めるだろう。暴力の渦に酔いしれ閉じ込められている、コロンビアの農村出の7人の青年群像。

 

    

(エリウ役のジョジャン・エステバン・ヒメネス)

    

  

    (センターの本拠地である遺棄された邸宅に監禁されている青年たち)

 

 

★以上12作がホライズンズ・ラティノ部門にノミネートされた作品です。セクション・オフィシアルは16作中、女性監督が2人とアンバランスでしたが、こちらは半分の6監督、賞に絡めば映画祭上映もありかと期待しています。

  

 

(カロリナ・マルコヴィッチ、マヌエラ・マルテッリ、バレンティナ・モーレル、

 アンドレス・ラミレス・プリド)


*追加情報:第35回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門(ラテンビートFF共催)でアンドレス・ラミレス・プリドのデビュー作が『ラ・ハウリア』として上映決定。

 

ニューディレクターズ部門13作*サンセバスチャン映画祭2022 ⑩2022年08月29日 15:59

         日本の若手監督も含めて一挙に発表になった13

   

     

 

★去る728日、ニューディレクターズ部門13作が出揃いました。昨年ノミネートされなかった日本からは2作が選ばれました。古川原壮志の『なぎさ』21)、第34回東京国際映画祭ワールド・プレミア作品です。もう1作の『宮松と山下』は、佐藤雅彦、関友太郎、平瀬謙太郎の監督集団〈5月ごがつ〉のデビュー作、現在窮地に陥っている香川照之が主演しており、1118日の公開に先駆けて、本祭でワールドプレミアとなった。

 

★昨年のWIP Latam 2021WIP Europa 2021 の受賞作が揃ってノミネートされています。このセクションはデビュー作か2作までが対象、後援者のクチャバンクによるクチャバンク・ニューディレクター賞(作品賞)には副賞として50,000ユーロとスペイン国内での公開が約束されています。他にユースTCM賞があり、18歳から25歳までの学生150人が審査員です。スペイン語映画は、オール女性監督のスペイン2作と当ブログ初登場のニカラグア1作、他はフランス、モルドバ共、デンマーク、スイス、クロアチア、ロシア、韓国、インド、日本の2作です。スペイン語映画3作だけアップしておきます。

 

             ニューディレクターズ部門13

 

1)「La hija de todas las rabias / Daughter of Rage」ニカラグア

VIII Foro de Coproduccion Europa-America Latina 2019 

WIP Latam 2021  WIP Latam Industria 2021

データ:製作国ニカラグア=メキシコ=オランダ=独=仏=ノルウェー=西、2022年、スペイン語、ドラマ、87分、脚本ラウラ・バうマイスター、撮影テレサ・クンKuhn、編集ラウル・バレラス、フリアン・サルミエント、プロダクション・マネージメント、ハビエル・ベラスケス・ドランテス、録音ガリレオ・ガラス、美術ノエミ・ゴンサレス、製作Felipa Films、製作者ロッサナ・バウマイスター、ブルナ・Haddad、マルタ・オロスコ。サンセバスチャン映画祭の援助を受けて製作され、上記のWIP Latam 2021以下を受賞している。

   

     

 

監督ラウラ・バウマイスターBaumeisterニカラグアの首都マナグア1983)、監督、脚本家。デビュー作、本作はゴミ捨て場で一人で生き延びようとする11歳の少女の物語。

 

      

      (受賞スピーチをする監督、サンセバスチャン映画祭2021の授賞式)

 

キャスト:アラ・アレハンドラ・メダル(マリア)、ビルヒニア・セビーリャ・ガルシア(母親リリベス)、カルロス・グティエレス(タデオ)、ノエ・エルナンデス(ラウル)、ディアナ・セダノ(ロサ)

ストーリー:現在のニカラグア、11歳のマリアは母親リリベスと一緒にマナグアの大きなゴミ捨て場で暮らしている。マリアにとってここは、見つけたものは自分のものになるアミューズメントパークのようなものでした。彼女の将来は、母親が販売するために育てている血統書付きの子犬にかかっていた。子犬に毒を盛るというアクシデントが起こり、リサイクル工場で見習いで働いていたマリアをおいて、母親は町を出ることになる。数日すぎても母親は戻ってこなかった。マリアは捨てられたと思いたくないが、混乱して腹を立てていた。ある夜のこと彼女はタデオと知り合った。上品で夢見がちな少年は、母親と共にマリアを助けようと決心する。「多くのラテンアメリカの人々が自身の国の厳しい現実のなかでも前進しようとする回復力についての映画」と監督。

   

         

       

                       (マリア役アラ・アレハンドラ・メダル

 

 

2)Secaderos / Tobacco Barns」スペイン

データ:製作国スペイン=米国、2022年、スペイン語、ドラマ、98分、脚本アナ・アリステギ、美術ロレナ・フェルナンデス、ヌリア・ディアス・イバニェス、メラニア・バン、造形マリア・ルイサ、キャスティングはマリチュ・サンス、録音ホアキン・パチョン、メイク&ヘアーはネレア・エレーロ、製作 & 製作者Fourminds Films / La Claqueta PC(オルモ・フィゲレド・ゴンサレス=ケベド)/ La Cruda Realidad/ Un Capricho de Producciones /(米)Amplitud INC / DDT Efectos Especiales、、パオラ・サインス・デ・バランダ、撮影202189月の6週間、撮影地グラナダ県のベガ、ラス・ガビアス、フエンテ・バケロス、ラ・パスほか十数ヵ所。

 

      

 

監督ロシオ・メサ(グラナダ県ラス・ガビアス1983)、監督、製作者、長編第2作目。セビーリャ大学コミュニケーション学部ジャーナリズム科卒、その後2010年アンダルシア政府から奨学金を授与され、ニューヨーク・フィルム・アカデミーのドキュメンタリー監督の修士号を取得、デビュー作「Orensanz」(13)は、現代アーティストのアンヘル・オレンサンスのビオピック、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭プレミアされた。製作者としてはドキュメンタリーを専門とする制作会社 My Deer Films を設立、アルバロ・ゲレアの「Alma anciana」(21)はベルリン映画祭フォーラム部門で上映された。2014年ロサンゼルスに拠点を置く LA OLA を仲間と設立し代表を務めている。ロス以外のニューヨーク、メキシコシティなどの都市でスペインの前衛映画の普及に推進している。カリフォルニア在住、第2作を撮るため帰郷した。

 

   

                  (「Secaderos」撮影中のロシオ・メサ、20219月)

  

★第2作は、製作チームの90パーセントがアンダルシア人、スタッフは勿論のこと、約2000人がオーディションに集まり、150人に絞り込むまで1ヵ月を要したという。根気よくキャスティングに臨んでくれたマリチェ・サンスに感謝している。地元のアマチュアを起用したことで、物語がよりリアルになっている。スタッフ以外にもフリーランスのマリエタ・バウティスタ、アルバ・サビオなどの協力を得た。また映画を作る別の方法があることを教えてくれた映像作家として、『顔たち、ところどころ』を89歳で撮り、カンヌ以降、映画祭の受賞行脚をしたアニエス・ヴァルダ、ルクレシア・マルテル(『サマ』)、イタリアのアリーチェ・ロルヴァケル(『夏をゆく人々』『幸福なラザロ』)、メルセデス・アルバレスなどのドキュメンタリー作家、フィクションとノンフィクションの垣根を越えて製作している女性監督をあげている。

 

     

                (主役の2人と中央が監督) 

        

キャスト:ベラ・センテネラ(少女)、アダ・マル・ルピアニェス(思春期の娘)、タマラ・アリアス、クリスティナ・エウヘニア・セグラ・モリーナ、ホセ・サエス・コネヘロ、ジェニファー・イバニェス、ほか地元住民のエキストラ多数

ストーリー:田園の小さな村は、都会に住んでいる少女には天国であり、農村で暮らす思春期にある娘には鳥籠である。二人の視点を通して、農村の内部に入り込む。魔術的リアリズムのニュアンスを帯びた夏のタバコの乾燥工場を舞台に、二つのストーリーがパラレルに描かれる。ベガ・デ・グラナダの人々への個人的な敬意と風景に捧げられた人間関係についての群像劇。最初はドキュメンタリーとして構想されたが最終的にはドラマになった。ただし監督は、フィクションとノンフィクションを区別していない。すべては創造であるからです。

   

       

              

   

                             (フレームから)

 

 

A los libros y a las mujeres canto / To Books And Women I Sing」スペイン

データ:製作国スペイン、2022年、スペイン語・イタリア語、ドキュメンタリー、72分、脚本・撮影・編集・録音マリア・エロルサ & サンティ・サルバドール、製作 & 製作者 Txintxua Films コルド・アルマンドス、マリアン・フェルナンデス、撮影地ギプスコア県、ユースTCM 賞対象作品、マラガ映画祭、ビルバオ・ドキュメンタリー & 短編FFに出品、Zinebi 63 の産業セクションのネットワーキング賞を受賞。

 

     

 

監督マリア・エロルサ(ビトリア-ガステイス1988)監督、脚本家。長編デビュー作。短編デビュー作はイマノル・ウリベ以下、バスクの監督オール参加15人からなる短編集「Kalebegiak」(16)、エロルサはマイデル・フェルナンデス・イリアルテと共同で「Las chicas de Pasaik」を撮った。他に短編ドキュメンタリー「Our Walls」(16)をマイデル・フェルナンデス・イリアルテと「Ancora Lucciole」(19)、コルド・アルマンドスと共同でドラマ「Breaches」(20)などを監督している。


★長編デビュー作は失われた珍しい、または忘れられた本を守っている年配の女性たちの物語。監督によると、この風変わりなタイトル〈私が謳う本と女性たち〉は紀元前1世紀のローマの詩人ウェルギリウス最後の未完の叙事詩『アエネーイス』の冒頭の1節「私が謳う武器と人間」から採られたそうです。ドキュメンタリーとしては珍しく愛らしいユーモラスな視点で描き、アーカイブ資料と女性たちの証言を組み合わせたユニークな構成。文学、映画、またイメージが私たちの生活にどのように役立つか、私たちをより自由にするかを語り、日常生活における想像力の重要性をエリート主義でない方法で伝えるには、どうしたらよいかを自問している。

監督キャリア&フィルモグラフィー紹介記事は、コチラ⇒2016年08月19日

 

        

   

        (タバコを吸っているタバコ労働者の壁画の前のエロルサ)        

 

キャスト:アントニア・デイアス(トニーナ)、ロレト・カサド(ロレト)、ヴィキ・クララムント(ヴィキ)、ヴァルトラウト・キルステ(ヴァル)、アン(ネ)・エロルサ(アンネ/アン)

ストーリー:ある女性はほとんど小型飛行機という名で知られています。別の女性は車の後部座席を書庫にしています。更に別の女性は書店の手に負えない書棚で指を骨折してしまいます。ハマキ工場で働く女性たちは物語を聞きながら作業しています。アイロン職人はアイロンをかけながら詩を思い出しています。彼女たち全員に、私は謳います。火、水、蛾、埃り、無知、熱狂に立ち向かい、匿名の女性軍団が本の保存を守っています。それは叙事詩も革命も武器もない、内に秘めたレジスタンスです。書籍保存に尽力する平凡で非暴力の女性たちへのオマージュ。アーカイブ資料と女性たちの証言で構成されている。

 

      

  

                 (指を骨折したと小指を見せる女性、フレームから)

 

★セクション・オフィシアルとは反対に奇しくもオール女性監督になったが、昨今のイベロアメリカ諸国の女性の台頭は目ざましい。発想の斬新さ、女性同士の団結力は見倣うべきものがある。ドノスティア栄誉賞受賞者、ジュリエット・ビノシュ、ダヴィッド・クローネンバーグの紹介、ペルラス部門ノミネートのサンティアゴ・ミトレの「Argentina1985」、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「Bardo, Falsa, crónica de unas cuantas verdades」、その他ロドリゴ・ソロゴジェン、イサキ・ラクエスタ、今回が監督デビューのフアン・ディエゴ・ボット(ペネロペ・クルス主演)、オリオル・パウロなどの新作紹介が残っています。

 

ペルラス部門17作*サンセバスチャン映画祭2022 ⑪2022年08月31日 21:14

    ペルラス部門は各映画祭で高評価ながらスペイン未公開作品が対象

   

 

   

★ペルラス部門は、この1年間に国際映画祭で高評価を受けながらもスペイン未公開の長編映画が対象です。アルマーニ・ビューティArmani Beautyが後援しています。サンセバスティアン市よりドノスティア(サンセバスティアン)観客賞には副賞として、50,000ユーロとスペイン国内での公開、ヨーロッパ映画賞には20,000ユーロが授与される。今年はアウト・オブ・コンペティションを含めて17作が選出されました。オープニングはフランソワ・オゾンの「Peter Von Kant」(ベルリンFF出品)、クロージングはアメリカのブレット・モーゲンのデヴィッド・ボウイのドキュメンタリー「Moonage Daydream」(カンヌFFアウト・オブ・コンペティション出品)です。他にクリスティアン・ムンジュウ、リューベン・オストルンド(パルムドール受賞作品)、ダルデンヌ兄弟(第75回カンヌFF記念賞受賞作)など三大映画祭の常連さんの新作がアナウンスされました。韓国映画ですが、2018年にアジアで初めてドノスティア栄誉賞を受賞した是枝裕和の『Broker ベイビー・ブローカー』も選出されています。

   

    

        (フランソワ・オゾンの「Peter Von Kant」のポスター)

      

   

       (ブレット・モーゲンの「Moonage Daydream」のポスター)

   

    

           (是枝裕和の「Broker」のポスター)

 

★スペイン関連映画は、ベネチア映画祭コンペティション正式出品のサンティアゴ・ミトレの「Argentina, 1985」以下、同じくベネチアFFのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「Bardo, Falsa, cronica de unas cuantas verdades」、なかでカンヌ映画祭に出品されたロドリゴ・ソロゴジェンの「As Bestas」やベルリンFFのイサキ・ラクエスタの「One Year, One Night」のように既に作品紹介をしている作品もあります。ベネチアFFに出品されるフアン・ディエゴ・ボットの監督デビュー作「On the Fringe」、アウト・オブ・コンペティションですが、特別上映のオリオル・パウロの「Los renglones torcidos de Dios」です。スペイン語映画の6作は以下の通り。

 

             ペルラス部門のスペイン語映画6

 

1)Argentina, 1985」アルゼンチン=米国、2022、140分、ベネチアFFコンペティション出品

監督サンティアゴ・ミトレ(ブエノスアイレス1980)、別途作品紹介を予定しています。

キャスト:リカルド・ダリン、ピーター・ランサニ、アレハンドラ・フレッチェネル、ノルマン・ブリスキ

作品紹介は、コチラ⇒2022年09月06日

 

      

 

 

 2)Bardo, Falsa, crónica de unas cuantas verdades / Bardo, False Chronicle of a Handful of Truths」 メキシコ、2022180

監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(メキシコシティ1963)、別途作品紹介を予定しています。

キャスト:ダニエル・ヒメネス・カチョ、グリセルダ・シチリアーニ、ヒメナ・ラマドリド、イケル・サンチェス

作品紹介は、コチラ⇒2022年09月08日 

 

   

 

 

3)As Bestas / The Beasts」スペイン=フランス、2022138分、フランスとの合作、カンヌ映画祭2022プレミア部門上映、11月スペイン公開予定

監督ロドリゴ・ソロゴジェン(マドリード1981)、2018年の「El reino」でゴヤ賞監督賞・オリジナル脚本賞を受賞、2019年の『おもかげ』と2016年の『ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件』が公開された。

キャスト:ドゥニ・メノーシュ、マリナ・フォイス、ルイス・サエラ、ディエゴ・アニド

監督キャリア&フィルモグラフィーの主な紹介記事は、コチラ20180326

新作紹介は、コチラ20220610

 

  


      

 

4)「Un año, una noche / One Year, One Night」スペイン=フランス、2022130分、言語フランス語、ベルリン映画祭2022コンペティション部門出品

監督イサキ・ラクエスタ(ジローナ1975

キャスト:ナウエル・ぺレス・ビスカヤート、ノエミ・メルラン、キム・グティエレス、ナタリア・デ・モリーナ

解説2015年に起きたパリ同時多発テロの実話にインスパイアされた作品。1113日の夜、パリ11区にある伝説的なコンサートホール「バラクラン劇場」にISLLジハーディスト4人のテロリストが武器をもって襲撃した事件の生存者のその後が描かれる。

作品紹介と監督フィルモグラフィーの紹介記事は、コチラ20220131

   

    


        

 

5)En los márgenes / On the Fringe」スペイン=ベルギー、2022,スリラードラマ、105分、107日公開

監督フアン・ディエゴ・ボット(ブエノスアイレス1975)は、アルゼンチンとスペインの二重国籍をもっている。長く俳優として活躍しているが、今回本作で監督デビューした。

キャスト:ペネロペ・クルス、フアン・ディエゴ・ボット、ルイス・トサール、他

解説:家族、愛、孤独をめぐる、3人による三つの物語が絡みあって語られる。初監督作品、別途作品紹介を予定しています。

作品紹介は、コチラ⇒2022年09月03日

    

    


   

 

 

6)Los renglones torcidos de Dios / Gods Crooked Lines」スペイン、2022,ミステリー、155

 特別上映、アウト・オブ・コンペティション

監督オリオル・パウロ(バルセロナ1975)監督、脚本家。犯罪スリラー『ロスト・ボディ』(12)で長編デビュー、第2作『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(16)は大ヒット、ミステリー『嵐の中で』(18)はNetflixストリーミングで配信された。マリオ・カサス、ホセ・コロナド、バルバラ・レニーなどが主演した『インビジブル・ゲスト悪魔の証明』の作品紹介で、監督キャリア&フィルモグラフィーを紹介しています。新作はトルクアト・ルカ・デ・テナが1979年に上梓した小説の映画化。

   

      

 

キャストバルバラ・レニー(アリス)、エドゥアルド・フェルナンデス(サムエル・アルバル)、パブロ・デルキ、アデルファ・カルボ、ロレト・マウレオン、ハビエル・ベルトラン、他

『インビジブル・ゲスト悪魔の証明』の記事は、コチラ20170217 

 

     

          (エドゥアルド・フェルナンデス、バルバラ・レニー)

     

      

           (オリオル・パウロ監督とバルバラ・レニー)


   


 (ロドリゴ・ソロゴジェン、イサキ・ラクエスタ、フアン・ディエゴ・ボット、オリオル・パウロ)