チリのジェームズ・ボンド、ハリウッドへ*米アカデミー賞2021 ― 2021年04月23日 20:17
ドン・セルヒオ、重装備で初めての海外旅行
(第93回オスカー賞ドキュメンタリー部門ノミネートの『老人スパイ』のポスター)
★チリのジェームズ・ボンドことセルヒオ・チャミーが、第93回アカデミー賞授賞式(4月25日)出席のため監督マイテ・アルベルディ監督、代表プロデューサーのマルセラ・サンティバネスなど「老人スパイ」の御一行と一緒に現地入りできたようです。コロナ・ワクチンの2回接種(チリは南米の優等生で30%の接種率、ただし最近感染者が急増している)、何回も受けたPCR検査を合格して、写真のようなマスク&フェイスシールドの重装備で搭乗、これが初の海外旅行とか。2017年撮影時には御年83歳でしたが既に87歳、人生死ぬまで何があるか分かりません。
*アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネートの記事は、コチラ⇒2021年03月21日
*『老人スパイ』の紹介記事は、コチラ⇒2020年10月22日/11月22日
(少し緊張気味のドン・セルヒオ)
(アルベルディ監督とドン・セルヒオ)
★本作の製作国は、チリのほか米国=ドイツ=オランダ=スペインと大所帯、スペインはマリア・デル・プイ・アルバラド(エグゼクティブ、サンセバスティアン生れ42歳)とマリサ・フェルナンデス・アルメンテロス(共同製作者、サンタンデール生れ45歳)の二人、前者はロドリゴ・ソロゴジェンの短編「Madre」を手掛けている。これは第91回アカデミー賞短編部門のノミネート作品です。
(左マリア・デル・プイ・アルバラドとマリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、マドリード)
★「1年前は公開できるかどうかさえ分からず、袋小路に入っていました。しかしサンセバスチャン映画祭で息を吹き返しました」とフェルナンデス・アルメンテロス。1月にサンダンスでプレミアされ、9月にサンセバスチャン、観客の反応はとても違っていた。オランダだけリリースされたが、それも「10日後にはロックダウン」で市民は自宅監禁されたわけです。だからオスカー賞ノミネートのニュースには「涙が止まらなかったし、部屋の中を走り回りました」とも語っている。「チリのアルベルディに会いに行くことはできませんから、地球の反対側から朝の9時だというのにシャンペンで祝いました」と。「20パーセントの確率はあるわけだから、ガラは我が家かマリアの家かどちらかで見守ることになる」とフェルナンデス。
★アルバラドは「ダイヤローグはそのままで手を加えずに自然さを捉えるようにした。もっとも重要な質問は個人的なものでした。つまり、私たちの老後はどうなるの?老人ホームで暮らすようになるの?私たちは老人に何をしたらいいの?」と語っている。老人問題ではなく自分自身の問題だったのでしょう。「セルヒオは自分にあるルールを課した。重要なのはスパイすることや盗聴することではなく、相手の話を聞くことだと気づいたのです」とフェルナンデスは当時を思い出して語っている。アルベルディ監督も「老人たちは私たちがなりたい老人について決して尋ねません」と。
★コロナ禍の最中に開催されるオスカー賞、87歳という高齢を考えて授賞式が行われるドルビー・シアター近くのホテルが準備された由、ガラではトム・クルーズやマット・デイモンのクルーの近くの席とか、チリ政府もアメリカ側も気づかっているようです。人生終盤近くにこんな夢にも見なかっただろう晴れ舞台が準備されていたとは、ドン・セルヒオも想像していなかったでしょう。日本では26日月曜日午前中、WOWOWの独占生中継です。
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