ゴヤ賞2021授賞式の落穂ひろい ⑰ ― 2021年03月11日 15:46
ゴヤ賞2021ガラの視聴率は過去15年間で最低の15.6%でした!

★マラガでの開催は不可能と思われていた第35回ゴヤ賞授賞式、スペイン映画アカデミーの執行部や総合司会者の個人的な努力でなんとか開催できました。アントニオ・バンデラスはいささかお疲れぎみでしたが、マリア・カサドに支えられ乗り切りました。彼の奔走なくして実現できなかったかもしれませんが、お茶の間の観客2,482,000人、視聴率15,6%は、ここ15年間の最低を記録してしまいました。しかし継続は力なり、やれただけでも褒めねばなりません。今回ガラに参加できたのは栄誉賞受賞者のアンヘラ・モリーナと各カテゴリーのプレゼンター、音楽を担当したミュージシャンやダンサーだけ、ノミネートされた方々は依怙贔屓なく全てスクリーンでの参加でした。ということで座席は空っぽでした。

(全28部門でノミネートされた人々のスクリーン・パネル)
★例年のガラとは違って地味でしたが、却って落ち着いて見られたかもしれません。総合司会者が一度もお色直しをしなかったガラとしても記録されるでしょう。参加できなかった候補者たちは、1ヵ所に集合して結果を待ったグループ、例えば「Las niñas」はバルセロナ、「Ane」はブルゴスで全員で待機した。その他は自宅が多かったようです。今年はノミネートとは無関係でしたが、バンデラスの恩師アルモドバル、共にアメリカで活躍した親友ペネロペ・クルス、海外でも活躍する常に冷静沈着なアレハンドロ・アメナバル、寡黙な実力者フアン・アントニオ・バヨナ、ロス暮しも長くなったパス・ぺガが馳せつけ、それぞれプレゼンターを務めてくれた。そしてビデオ出演の世界のトップスターや監督たちから寄せられた祝辞など、彼らがもつ人脈、キャリアなくして実現できなかったでしょう。最優秀作品賞のプレゼンターに看護師のアナ・マリア・ルイスを起用するなど意表をついた企画でした。

(馳せつけたアルモドバル、ペネロペ・クルスとバンデラス)

(応援に馳せつけた左から、クルス、アルモドバル、アメナバル、バヨナ、ベガ)

(メイクアップ&ヘアーのプレゼンター、ペネロペ・クルス)

(作品賞プレゼンターを務め、コロナ禍の現状を語った看護師アナ・マリア・ルイス)
ガラを盛り上げた4人の歌姫とミュージシャンたち
★オーケストラはマラガ交響楽団、最初の歌姫はアルゼンチン出身のナティ・ペルソ、バルセロナを拠点に活躍している。1958年にルイス・セサル・アマドリが撮った「La violetera」で、往年の大女優サラ・モンティエルが歌ったクプレ(スペイン版演歌)「スミレ売り」を独自に変曲したものを歌った。


(熱唱するナティ・ペルソ)
★二番手がマラガ出身のシンガーソングライターのバネッサ・マルティン、彼女の歌う「Una nube blanca」をバックに今年鬼籍入りしたスペイン文化の担い手たちがスクリーン上に現れた。女優ルチア・ボゼー、ロサ・マリア・サルダ、監督ホセ・ルイス・クエルダ、自作の映画化に一度も満足しなかった作家のフアン・マルセ、ミュージシャンのルイス・エドゥアルド・アウテなど87人に及ぶ点鬼簿でした。アナ・ベレンの「Una nube blanca」をバラードに変曲したものを情感豊かに歌いあげた。


(バネッサ・マルティン)
★若手のホープ、アイタナ・オカ―ニャ(バルセロナ1999)は、「Happy Days Are Here Again」(幸せの日よ再び)を豊かな声量でエレガントに歌った。1962年に歌手デビューしたマルチアーティストのバーブラ・ストライサンドの持ち歌、観客を1960年代のニューヨークに連れ戻した。


(ルックスもセンスも魅力的なアイタナ)
★今年はルイス・ガルシア・ベルランガの生誕100周年ということで多くのフィエスタが企画されている。その第一弾がゴヤ賞とのコラボでした。監督を国際的に有名にした『ようこそマーシャルさん』で村長さんに扮したペペ・イスベルトにカルロス・ラトレ、美貌の歌姫カルメンに扮したロリータ・セビーリャにディアナ・ナバロが扮して息の合った「Americano, os recibimos con alegría」を歌って踊って観客を愉しませた。スクリーンには監督の代表作、『死刑執行人』『カラブッチ』「実物大」などが次々に現れ、リアルタイムで映画館に足を運んだシニア層は、特に感慨深かったにちがいない。

(ディアナ・ナバロとカルロス・ラトレの息の合った演技)
★後半1時間50分ごろに始まったゴヤ栄誉賞では、黒の衣装に朱の扇子をもったダンサーがグループでフラメンコを披露、最後に舞台中央の入り口からアンヘラ・モリーナが軽やかに踊りでた。ゴヤの授賞式の中継を1995年あたりから見ているが、これもサプライズでした。初期の受賞者に比べて若くなったこともありますが、とくに女性の元気力は際立ちます。スピーチの内容はプレス会見で述べていたこととダブりますが、印象に残ったのは俳優でコプラやフラメンコの歌手であった父親アントニオの死の痛みについてでした。芸術家一家としてスペインでは有名、母親オリビアは女優、弟妹や娘も俳優やミュージシャンとして活躍、両親の血を受け継いでいる。

(フラメンコを踊りながら登場した受賞者)
★愛について語り「映画は私の人生、私の地平線、私が進む道しるべ、私たちはそれを共有する必要があり、それを必要と感じることが大切」と語った。ハイメ・チャバリの手から受け取ったゴヤの胸像にキスをするアンヘラでした。映画アカデミー会長のマリアノ・バロッソも「映画の癒しの力」について語ったが、受賞者の多くが口にしたのも、映画に対する愛でした。拍手は舞台前面に控える楽団員のみでしたが、個人的には忘れられない授賞式でした。

(プレゼンターのハイメ・チャバリ監督とアンヘラ・モリーナ)
★祝辞を寄せた各国のシネアストたち(順不同)、アメリカサイドではロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ニコール・キッドマン、ローラ・ダーン、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、メル・ギブソン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ、グレン・クローズ、シャーリーズ・セロン、シルヴェスター・スタローン、メラニー・グリフィス、マハーシャラ・アリ、(イギリス)エマ・トンプソン、ヘレン・ミレン、(フランス)イザベル・ユペール、ティエリー・フレモー、(メキシコ)ギレルモ・デル・トロ、ガエル・ガルシア・ベルナル、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、サルマ・ハエック、(アルゼンチン)リカルド・ダリン、オスカル・マルティネス、イタリアからモニカ・ベルッチ、まだほかに漏れがありそうです。
◎一応レッド・カーペットに現れたプレゼンター、自宅で待機していたノミネートされたベストドレッサーたちのフォトを以下に列挙しておきます。今年は若手イケメンも多いので男性陣も登場させました。(順不同)

(スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ)

(総合司会者アントニオ・バンデラスとマリア・カサド)

(マリサ・パレデス)

(エンマ・スアレス)

(グラシア・ケレヘタ監督)

(チュス・グティエレス監督)

(ベストドレッサーに選ばれたパス・ベガ)

(ベロニカ・フォルケ)

(エレナ・イルレタ)

(モニカ・ランダル)

(マルタ・ニエト)

(マリア・バランコ)

(ナイワ・ニムリ)

(ベレン・クエスタ)

(マルタ・エトゥラ)

(ナタリア・ベルベケ)

(マギー・シバントス)

(Hiba Abouk)

(ダニエラ・サンティアゴ)

(歌手ナティ・ペルソ)

(シンガーソングライターのバネッサ・マルティン)

(歌手アイタナ・オカ―ニャ)

(歌手女優ディアナ・ナバロ)

(自宅待機のカンデラ・ペーニャ、主演女優賞候補)

(同、ベストドレッサーのナタリア・デ・モリーナ、助演女優賞候補)

(同、パウラ・ウセロ、新人女優賞候補)

(同、ミレナ・スミット、新人女優賞候補)

(フアン・アントニオ・バヨナ)

(アレハンドロ・アメナバル)

(ホセ・コロナド)

(アントニオ・デ・ラ・トーレ)

(ペドロ・カサブランク)

(カルロス・アレセス)

(レオナルド・スバラグリア)

(トリスタン・ウジョア)

(カルロス・ラトレ)

(フリアン・ロペス)

(アドリアン・ラストラ)

(ロベルト・アラモ)

(ジョン・コルタハレナ)

(アントニオ・ベラスケス)
★以上がレッドカーペットに現れたプレゼンターですが、漏れがあるかもしれない。
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