第35回ゴヤ賞2021の授賞式*結果発表 ⑯ ― 2021年03月08日 11:24
フェロス賞に続いて「Las niñas」が栄冠を独占!


(ハイメ・チャバリ監督から栄誉賞のトロフィーを受け取るアンヘラ・モリーナ)
★3月6日、第35回ゴヤ賞の授賞式がマラガ市のソーホ・カイシャバンク劇場で開催されました。「Las niñas」が大賞の作品・新人監督・オリジナル脚本・撮影賞4部門を制しました。先日のフェロス賞に続いての新人監督ピラール・パロメロが勝利を手にしたことになります。第35回のゴヤ栄誉賞は女優のアンヘラ・モリーナ、プレゼンターはハイメ・チャバリ監督、彼女を『ベアルン』で開花させた監督です。来マラガした受賞者は栄誉賞のアンヘラ・モリーナだけ、スクリーンでのスピーチという異例の授賞式となりました。総指揮はスペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ、総合司会者はマラガの名誉市民でもあるアントニオ・バンデラスと、バルセロナから転居して準備を整えていたジャーナリストのマリア・カサドです。

(スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ)

(アントニオ・バンデラスとマリア・カサド)
*第35回ゴヤ賞2021結果発表*
◎作品賞
Adú (受賞4個)
Ane (受賞3個)
La boda de Rosa (受賞2個)
Sentimental (受賞1個)
Las niñas (受賞4個) 製作Las Niñas Majicas / Inicia Films
/ Bteam Producciones

(感謝のスピーチをする、製作者バレリー・デルピエールとアレックス・ラフエンテ)
★プレゼンターは異例の看護師アナ・マリア・ルイスさん、パンデミアのなかの授賞式を印象づけました。困難な道のりであった受賞者は「ビバ・シネ!」とスクリーンで挨拶しました。
◎監督賞
フアンマ・バホ・ウジョア (Baby)
イシアル・ボリャイン (La boda de Rosa)
イサベル・コイシェ (Nieve en Benidorm)
サルバドール・カルボ (Adú)

(よき助言者ペドロ・コスタと「Adú」の仲間に感謝を捧げたサルバドール・カルボ)
★監督賞もスクリーンからの挨拶、プレゼンターは先輩監督黒のドレスのチュス・グティエレスと白のドレスのグラシア・ケレヘタでした。
◎新人監督賞
ダビ・ペレス・サニュド (Ane)
ベルナベ・リコ (El inconveniente)
ヌリア・ヒメネス (My Mexican Bretzel)『メキシカン・プレッツェル』なら国際映画祭
ピラール・パロメロ (Las niñas)

(ピラール・パロメロ)
★プレゼンターは、左からベレン・クエスタ、アントニオ・デ・ラ・トーレ、マリア・バランコ、新人監督賞はマリア・バランコが受賞者の名前を読み上げました。
◎オリジナル脚本賞
アレハンドロ・エルナンデス (Adú)
クラロ・ガルシア&ハビエル・フェセル (Historias lamentables)監督ハビエル・フェセル
アリシア・ルナ&イシアル・ボリャイン (La boda de Rosa)
ピラール・パロメロ (Las niñas)

(左から、アレックス・ラフエンテ、ピラール・パロメロ、バレリー・デルピエール)
◎脚色賞
セスク・ゲイ (Sentimental)
ベルナルド・サンチェス&マルタ・リベルタ・カスティーリョ (Los europeos)
監督ビクトル・ガルシア・レオン
ダビ・ガラン・ガリンド&フェルナンド・ナバロ(Origenes secretos)
監督ダビ・ガラン・ガリンド、『秘密の起源』Netflix
ダビ・ペレス・サニュド&マリナ・パレス (Ane)

(ダビ・ペレス・サニュドとマリナ・パレス)
★オリジナル脚本賞と脚色賞のプレゼンターは同じ、ナタリア・ベルベケとトリスタン・ウジョアでした。
◎オリジナル作曲賞
ロケ・バニョス (Adú)
Bingen Mendizabal &コルド・ウリアルテ (Baby)
フェデリコ・フシド (El verano que vivimos) 監督カリオス・セデス
アランサス・カジェハ&マイテ・アロイタハウレギ(Akelarre)(受賞5個)
監督パブロ・アグエロ

(アランサス・カジェハ右とマイテ・アロイタハウレギ)
◎オリジナル歌曲賞
ロケ・バニョス& Cherif Badua (Adú)
アレハンドロ・サンス&アルフォンソ・ぺレス・アリアス (El verano que vivimos)
カルロス・ナヤ (Las niñas)
マリア・ロサレン (La boda de Rosa)

(マリア・ロサレン)
★音楽賞のプレゼンターはレオナルド・スバラグリアとナイワ・ニムリでした。
◎主演男優賞
ハビエル・カマラ (Sentimental)
エルネスト・アルテリオ (Un mundo noemal) 監督アチェロ・マニャス
ダビ・ベルダゲル (Uno para todos) 監督ダビ・イルンダイン
マリオ・カサス (No matarás) 監督ダビ・ビクトリ(受賞1個)

(初ノミネート初受賞のマリオ・カサス)
★26番目に発表された主演男優賞、2時間以上待たされましたが、家族や仲間からハグとベソの猛攻撃を受けました。「ファンに感謝」とマリオ。プレゼンターは既に主演男優賞のゴヤ胸像保持者のロベルト・アラモとホセ・コロナドでした。
◎主演女優賞
アマイア・アベラストゥリ (Akelarre)
キティ・マンベール (El inconveniente)
カンデラ・ペーニャ (La boda de Rosa)
パトリシア・ロペス・アルナイス (Ane)

(「たくさんの愛と感謝を」とスピーチしたパトリシア・ロペス・アルナイス)
★25番目の発表、嬉しさで声が出ませんでした。後ろに控えていた監督、仲間と抱き合って喜びに浸っていました。プレゼンターは複数個ゴヤの胸像をもっているエンマ・スアレスと2018年の栄誉賞受賞者の大先輩マリサ・パレデスでした。
◎助演男優賞
アルバロ・セルバンテス (Adú)
セルジ・ロペス (La boda de Rosa)
フアン・ディエゴ・ボトー (Los europeos)
アルベルト・サン・フアン (Sentimental)

(笑が止まらなかったアルベルト・サン・フアン)
★セスク・ゲイの「Sentimental」は5カテゴリーにノミネートされていましたが、受賞は助演男優賞だけに終わりました。共演のハビエル・カマラも大喜び。笑っていますが「PSOEに言いたいことがあるんですよ。いま良心的な監督たちは市場に作品を送り出すことができていない。家族をもつことは基本的人権です」と現政権の文化政策に苦言を呈していた。プレゼンターはアンダルシア出身の助演男優賞受賞者アントニオ・ベラスケスと2020年の主演女優賞を受賞しているマルタ・ニエトでした。ベラスケスが名前を読み上げました。
◎助演女優賞
フアナ・アコスタ (El inconveniente)
ベロニカ・エチェギ (Explota explota) 監督ナチョ・アルバレス
ナタリア・デ・モリーナ (Las niñas)
ナタリエ・ポサ (La boda de Rosa)

(2018年の主演女優賞受賞者ナタリエ・ポサ、数ヵ月ハグしていない母親に捧げた)
★少し意外な印象を受けましたが、人生を立て直すために急停止しなければならなくなったロサの姉妹を演じました。監督のイシアル・ボリャイン、ロサ役のカンデラ・ペーニャに感謝の言葉、セルジ・ロペスには「セルジ、愛してるよ~」と興奮していました。何故かカルメン・マチが一緒でハグしていました。プレゼンターは助演男優賞と同じ、こちらはマルタ・ニエトが受賞者名を読み上げました。
◎新人男優賞
チェマ・デル・バルコ (El plan) 監督ポロ・メナルゲス
ジャニックJanick (Historias lamentables)
フェルナンド・バルディビエルソ (No matarás)
アダム・ヌルー (Adú)

◎新人女優賞
パウラ・ウセロ (La boda de Rosa)
ミレナ・スミット (No matarás)
グリセルダ・シチリアニ (Sentimental)
ジョネ・ラスピウル (Ane)

(スクリーン出席のジョネ・ラスピウル)
★「予想していなかった、頭がおかしくなりそう」と開口一番。本当に予期していなかったかな。プレゼンターは、アントニオ・デ・ラ・トーレが新人男優賞、ベレン・クエスタが新人女優賞を読み上げました。マリア・バランコは新人監督賞を読み上げました。
◎ドキュメンタリー賞
Anatomía de un dandy (監督アルベルト・オルテガ&チャーリー・アルナイス)
Cartas mojadas (監督パウラ・パラシオス)
My Mexican Bretzel
El año del descubrimiento (受賞2個)製作El año del descubrimiento /
Alina Film / Cromagnon Producciones / Lacima Producciones / Magnetica Cine
監督ルイス・ロペス・カラスコ

◎プロダクション賞
グアダルーペ・バラゲル・トレリェスTrellez (Akelarre)
カルメン・マルティネス・ムニョス (Black Beach) 監督エステバン・クレスポ
トニ・ノベリャ (Nieve en Benidorm)
アナ・パラ&ルイス・フェルナンデス・ラゴ (Adú)

(アナ・パラとルイス・フェルナンデス・ラゴ)
★パンデミアの困難を乗り越えたことが評価されました。プレゼンターは、フアン・アントニオ・バヨナでした。
◎撮影賞
セルジ・ビラノバ (Adú)
ハビエル・アギーレ (Akelarre)
アンヘル・アモロス (Black Beach)
ダニエラ・カヒアス (Las niñas)

(ダニエラ・カヒアス)
★ボリビア出身のダニエラ・カヒアスは遠方の家族に感謝。プレゼンターは、白いドレスの Hiba Abouk、中央がマギー・シバントス、赤いドレスのマルタ・エトゥラでした。
◎編集賞
ハイメ・コリス (Adú)
フェルナンド・フランコ&ミゲル・ドブラド (Black Beach)
ソフィ・エスクデ (Las niñas)
セルヒオ・ヒメネス (El año del descubrimiento)

(セルヒオ・ヒメネス)
◎美術賞
セサル・マカロン(Adú)
モンセ・サンス (Black Beach)
モニカ・ベルヌイ (Las niñas)
ミケル・セラーノ (Akelarre)

★プレゼンターは、編集賞と同じでした。
◎衣装デザイン賞
クリスティナ・ロドリゲス (Explota explota)
アランチャ・エスケロ (Las niñas)
レナ・モッスム・モスンMossum (Los europeos)
ネレア・トリホス (Akelarre)

★「私に投票して下さった皆さま、ありがとうございました」とスピーチ、プレゼンターはペドロ・アルモドバルでした。登壇したのは左から、アルモドバル、ペネロペ・クルス、アレハンドロ・アメナバル、パス・ベガ、フアン・アントニオ・バヨナの実力者5人でした。

◎メイク&ヘアー賞
エレナ・クエバス、マラ・コリャソ、セルヒオ・ロペス (Adú)
ミル・カブレル、ベンハミン・ぺレス (Explota explota)
パウラ・クルス、ヘスス・ゲーラ、ナチョ・ディアス (Origenes secretos)
Beata Wojtowicz、リカルド・モリーナ (Akelarre)

(ベアタ・ヴォイトヴィッチとリカルド・モリーナ)
★プレゼンターは、シャネルのドレスのペネロペ・クルスでした。
◎録音賞
ウルコ・ガライ、ホセフィナ・ロドリゲス、他 (Akelarre)
コケ・ラエラ、ナチョ・ロヨ=ビリャノバ、他 (Black Beach)
マル・ゴンサレス、フランセスコ・ルカレリィ、他 (El plan)
エドゥアルド・エスキデ、ハマイカ・ルイス・ガルシア、他 (Adú)

(エドゥアルド・エスキデ)
★プレゼンターは、写真中央のアレハンドロ・アメナバルでした。
◎特殊効果賞
ラウル・ロマニリョス、ジャン=ルイ・ビリヤード (Black Beach)
ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル (Historias lamentables)
リュイス・リベラ・ホベ、ヘルムス・バーナートHelmuth Barnert (Origenes secretos)
マリアノ・ガルシア・マルティ、アナ・ルビオ (Akelarre)

(マリアノ・ガルシア・マルティとアナ・ルビオ)
★左がマリアノ・ガルシア・マルティとその家族、右がアナ・ルビオと家族。プレゼンターは、パス・ベガでした。
◎アニメーション賞(ノミネーション1作のみ)
La gallinas Túruleca 製作Brown Films / Groriamundi Producciones /
Pampa Films / Tandem Films 他 監督ビクトル・モニゴテ


(左がビクトル・モニゴテ)

(別々に待機していた製作者たちとプレゼンターのジョン・コルタハレナ)
★唯一受賞が決まっていたのがアニメーション賞でした。プレゼンターは、ダニエラ・サンティアゴとジョン・コルタハレナ、コルタハレナが読み上げました。
◎イベロアメリカ映画賞
El agente topo(チリ)『老人スパイ』 監督マイテ・アルベルディ
La llorona (グアテマラ)『ラ・ヨローナ伝説』 監督ハイロ・ブスタマンテ
Ya no estoy aquí (メキシコ)2019、監督フェルナンド・フリアス・デ・ラ・パラ
『そして俺は、ここにいない』Netflix配信
El olvido que seremos (コロンビア) 監督フェルナンド・トゥルエバ

(コロンビアの製作者ゴンサロ・コルドバ)

(監督のフェルナンド・トゥルエバ)
★プレゼンターはモニカ・ランダルとベロニカ・フォルケ。ゴンサロ・コルドバは、スペイン・サイドのトゥルエバ監督や主役のハビエル・カマラ他、コロンビアのキャスト陣、スタッフ陣に感謝のスピーチをしました。トゥルエバ監督は原作者に感謝の言葉、最初イヤホーンを付けていなかったので声が聞こえなかった。Zoomで参加しているゴンサロ・コルドバから「フェルナンド、声が聞こえないよ」と笑われ仕切り直しをしました。
◎ヨーロッパ映画賞
Corpus Christi (原題「Boze Cialo」ポーランド) 監督ヤン・コマサ
El oficial y el espia (原題「J'accuse」フランス=イタリア) 監督ロマン・ポランスキー
Falling (カナダ=イギリス) 監督ヴィゴ・モーテンセン
El padre (The Father)(イギリス=フランス) 監督フローリアン・ゼレール

(アンソニー・ホプキンスとオリビア・コールマンを配したポスター)
★フローリアン・ゼレールは昨年のサンセバスチャン映画祭で参加したときの印象を語っていました。『ファーザー』の邦題で5月公開が決定しています。ホプキンスが認知症の父親を演じる。TVシリーズでエリザベス女王を演じたコールマンが娘に扮する。プレゼンターはエレナ・イルレタとペドロ・カサブランクでした。
◎短編映画賞
16 de decembro 監督アルバロ・ガゴ
Beef 監督イングリデ・サントス
Gastos incluidos 監督ハビエル・マシぺ
Lo efímero 監督ホルヘ・ムリ得る
A la cara 監督ハビエル・マルコ・リコ

(ハビエル・マルコ・リコ)
★プレゼンターは左から、カルロス・アレセス、フリアン・ロペス、アドリアン・ラストラ。

◎短編ドキュメンタリー賞
Paraíso en llamas 監督ホセ・アントニオ・エルゲタ
Paraíso 監督マテオ・カベサ
Sólo son peces 監督アナ・セルナ&パウラ・オラツ
Biografía del cadáver de una mujer 監督マベル・ロサノ

(喜びのマベル・ロサノ監督)
★プレゼンターは左から、カルロス・アレセス、フリアン・ロペス、アドリアン・ラストラ。

◎短ペンアニメーション賞
Homeless Home 監督アルベルト・バスケス
Metamorphosis 監督かリア・ペレイラ&フアンフラン・ハシント
Vuela 監督カリオス・ゴメス=ミラ・サグラド
Blue & Malone: Casos imposibles 監督アブラハム・ロペス・ゲレーロ


★「スペインのアニメーションは信じられないほど力があるが、ただ問題は製作が困難なことです」と資金難を訴えていた。プレゼンターは上記と同じでした。
(以上28部門、ゴチック体が受賞者、目下入手できたフォトだけアップしました)
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