「スペインクラシック映画上映会」のご案内 ― 2020年05月12日 16:12
スペインクラシック映画の名作10作品が週替わりで楽しめます
★この度インスティトゥト・セルバンテス東京が、文化イベント「スペインクラシック映画上映会」をVimeoチャンネルを通じて英語&ポルトガル語字幕で上映するとアナウンスしました。日時は5月9日から7月11日、毎週土曜日15:00から48時間限定です。週替わり1作ずつ10作です。第1回めは2020年5月9日(15:00~)から、オープニングはフアン・アントニオ・バルデム監督の「あるサイクリストの死」(55)です。スペイン協力開発庁(AECID Film Library)所有のカタログから選ばれたということです。上映順は分かりませんが、10作を纏めた予告編がアップされています。スペイン映画史に名を残した粒揃いの作品です。
★10作の中には「あるサイクリストの死」のように『恐怖の逢びき』の邦題で公開された作品、ルイス・ブニュエルの『ビリディアナ』のように、スペイン本国より日本で先に公開された作品、はたまたスペイン映画祭で上映されただけで未公開に終わったルイス・ガルシア・ベルランガの『ようこそマーシャルさん』(52)、ホセ・アントニオ・ニエベス・コンデの『根なし草』(51)、映画祭上映もなかったベルランガの代表作「死刑執行人」などが選ばれています。
(ガルシア・ベルランガの代表作「死刑執行人」のポスター)
★以下に原題、製作年、監督名、邦題(未紹介作品は仮題)の順で列挙しておきます。「」タイトルは未公開並びに映画祭上映もなかった作品です。映画祭としたのは、1984年10月に開催された「スペイン映画の史的展望<1951~1977>」の略です。この映画祭は一挙に23本を上映するという画期的な企画で、日本におけるスペイン映画元年といってもよいほど素晴らしいものでした。
★第1回目は終了してしまいましたが、来週5月16日も別の作品が上映される予定、以下のリストは上映順ではありません。
1)Los golfos 1961年、カルロス・サウラ、「ならず者/不良たち」(仮題)
*カンヌ映画祭1959出品、公開スペイン1961年。
2)El verdugo 1963年、ルイス・ガルシア・ベルランガ、「死刑執行人」(仮題、伊合作)
*ベネチアFF1963出品、FIPRESCI 受賞、公開マドリード1964年。
3) El pisito 1650年、マルコ・フェレーリ、「小さなアパート」(仮題)
*ロカルノ映画祭1958出品、公開マドリード1959年。
4)Calle mayor 1956年、フアン・アントニオ・バルデム、『大通り』(映画祭)
*ベネチア映画祭1956出品、FIPRESCI 受賞、公開マドリード1956年、日本未公開。
5) Viridiana 1961年、ルイス・ブニュエル、『ビリディアナ』(メキシコ合作)
*カンヌ映画祭1961出品、パルムドール受賞、公開マドリード1977年、日本1964年。
6)La vida por delante 1958年、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、
「来たるべき人生」(仮題)
*公開マドリード1958年。
7)El cochecito 1960年、マルコ・フェレーリ、「車椅子」(仮題)
*ベネチア映画祭1960出品、FIPRESCI 受賞、公開バルセロナ1960年。
8)Bienvenido Mr. Marchall 1952年、ルイス・ガルシア・ベルランガ、
『ようこそマーシャルさん』(映画祭)
*カンヌ映画祭1953、コメディ映画賞・脚本賞受賞。公開マドリード1953年、日本未公開。
9)Surcos 1951年、ホセ・アントニオ・ニエベス・コンデ、『根なし草』(映画祭)
*公開バルセロナ1952年、日本未公開。
10)Muerte de un ciclista 1955年、フアン・アントニオ・バルデム、『恐怖の逢びき』
*カンヌ映画祭1955出品、FIPRESCI 受賞。公開マドリード1955年、日本1956年。
本上映会のタイトルは「あるサイクリストの死」と直訳されました。
★以上の10作です。クラシックといっても1950年代が主で、イタリアのネオレアリズモに影響を受けた作品から選ばれています。邦題がどのようになるか分かりませんが、一応仮題をつけておきました。この監督を選ぶなら「これよりあっちのほうがよかった」と思う作品も無きにしも非ずですが、スペイン映画の基礎をつくった作品群ではないでしょうか。巣ごもりのイライラ解消の一助となることを願っています。
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