オリジナル脚本賞&脚色賞*ゴヤ賞2020 ⑦ ― 2019年12月26日 23:22
作品賞、監督賞に重ならないのがロドリゴ・ソロゴジェンの「Madre」1作
★オリジナル脚本賞は、ペドロ・アルモドバルの「Dolor y gloria」、ダビ・デソラ&ペドロ・リベロの「El hoyo」、ホセ・マリ・ゴエナガ&ルイソ・ベルデホの「La trinchera infinita」、アレハンドロ・アメナバル&アレハンドロ・エルナンデスの「Mientras dure la guerra」(『戦争のさなかで』)と、作品賞と新人を含む監督賞に一致しています。共同執筆者で初出となる脚本家だけの紹介。
★脚色賞は、エリヒオ・モンテロ&サルバドール・シモーの「Buñuel en el laberinto de las tortugas」、ベニト・サンブラノ、ダニエル&パブロ・レモン兄弟の「Intemperie」、イサベル・ペーニャ&ロドリゴ・ソロゴジェンの「Madre」、ハビエル・グジョンの「Ventajes de viajar en tren」(『列車旅行のすすめ』)、作品賞にも監督賞にも選ばれなかった唯一が「Madre」でした。これは米アカデミー賞2019短編部門にノミネートされた同タイトル短編を原作として、今回の長編を脚色賞枠に選んだようです。今回初登場ということで、本作だけ作品紹介をしておきます。
◎最優秀オリジナル脚本賞
ペドロ・アルモドバル 映画「Dolor y gloria」2019
ダビ・デソラ&ペドロ・リベロ 映画「El hoyo」2019
〇ダビ・デソラは、1971年バルセロナ生れ、戯曲家、脚本家。ジャック・ザガ・カバビエの「Almacenados」(15)でアリエル賞2017脚色賞を受賞、「El hoyo」でトリノ映画祭2019、Scuola Holden賞をペドロ・リベロと受賞している。
〇ペドロ・リベロは、1969年ビルバオ生れ、アニメ監督、脚本家、製作者。2007年長編アニメーション「La crisis carnivora」でデビュー、ワルシャワ映画祭2008のフリー・スピリット賞を受賞、2011年短編アニメ「Birdboy」をアルベルト・バスケスと共同監督、共に脚本も手掛け、ゴヤ賞2012の短編アニメーション賞を受賞した。長編第2作「Psciconatas, los niños olvidados」(15)を監督、ゴヤ賞2017アニメーション賞、イベロアメリカ・プラチナ賞2017アニメーション賞ほか、国際映画祭での受賞歴多数。「El hoyo」ではトリノ映画祭2019、Scuola Holden賞をダビ・デソラと受賞している。
ホセ・マリ・ゴエナガ&ルイソ・ベルデホ 映画「La trinchera infinita」2019
*ホセ・マリ・ゴエナガのキャリア紹介は、コチラ⇒2014年11月09日
〇ルイソ(ルイス)・ベルデホは、1975年サンセバスティアン生れ、監督、脚本家、製作者。ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサの『REC/レック』(07)で監督と共同執筆、続いてパコ・プラサの『REC/レック3ジェネシス』の脚本も手掛けている。フアン・カルロス・メディナの『ペインレス』(12)では監督との共同執筆、フェルナンド・ゴンサレス・モリナの『パサジャウンの影』(17)など、比較的字幕入りで公開か放映されている、長編監督デビュー作『ネストNEST』(09)は、ケビン・コスナーのデビュー30周年記念作品、ホラー・スリラーの英語映画ということもあって公開された。第2作は米西合作映画「Violet」(13)で脚本の他、エグゼクティブ・プロデューサーも兼ねている。レティシア・ドレラ、フニオ・バルベルデ、カルロス・バルデム、リカルド・ダリンなど有名どころが共演している。
アレハンドロ・アメナバル&アレハンドロ・エルナンデス 映画「Mientras dure la guerra」
(『戦争のさなかで』)2019
*アレハンドロ・アメナバルのキャリア紹介は、コチラ⇒2018年06月01日
〇アレハンドロ・エルナンデスは、1970年ハバナ生れ、スペインに移住、両国で活動している脚本家。現スペイン映画アカデミー会長であるマリアノ・バロッソが監督した「Todas las mujeres」を監督と共同執筆して、ゴヤ賞2014脚色賞を受賞している。既にキャリア紹介しています。
*アレハンドロ・エルナンデスのキャリア紹介は、コチラ⇒2018年06月01日
(ゴヤ胸像を手にしたアレハンドロ・エルナンデス、ゴヤ賞2014授賞式にて)
◎最優秀脚色賞
エリヒオ・モンテロ&サルバドール・シモー 映画「Buñuel en el laberinto de las tortugas」
〇エリヒオ・モンテロは、1970年ア・コルーニャ生れ、脚本家。本作以外はTVシリーズ、TVミニ・シリーズの脚本専門に執筆している。
*サルバドール・シモーのキャリア紹介は、コチラ⇒2019年12月24日
ベニト・サンブラノ、ダニエル・レモン、パブロ・レモン 映画「Intemperie」2019
*3人のキャリア紹介は、コチラ⇒2019年12月17日
ハビエル・グジョン 映画「Ventajes de viajar en tren」(『列車旅行のすすめ』)2019
〇ハビエル・グジョン(グリョン)Javier Gullónは、1975年スペイン生れ、脚本家、製作者。本邦ではグヨンと表記されている。英語映画のミステリーやスリラーの脚本を手掛けていることから、公開作品も多い。2007年のゴンサロ・ロペス=ガジェゴのスリラー「El rey de la montaña」は、レオナルド・スバラグリアやマリア・バルベルデ出演で話題になった。ガベ・イバニェスのミステリー「Hierro」(09)は、作品の出来はともかく、主演のエレナ・アナヤがシッチェスやファンタスポルト映画祭で女優賞を受賞した。古い映画だが現在でも『シャッター ラビリンス』の邦題でNetflix配信しているようです。
〇他にダニエル・カルパルソロの『インベーダー・ミッション』(12)、ドゥニ・ヴィルヌーヴがジョゼ・サラマーゴの同名小説を映画化した「Enemy」(13、英語)は、『複製された男』の邦題で公開された。アルフレッド・モンテロの『ディープ・サンクタム』(14)、エリオット・レスターの『アフターマス』(17、米英)にはシュワルツェネッガーが主演したことで話題を提供した。2016年女優でエッセイストの藤谷文子と結婚したことでも話題になった(両親はスティーブン・シーガルと藤谷美也子)。監督のモレノ夫人も日本人です。
(本作のインタビューを受けるハビエル・グジョン)
イサベル・ペーニャ&ロドリゴ・ソロゴジェン 映画「Madre」2019
〇他にマルタ・ニエトが主演女優賞にノミネートされている。
〇第76回ベネチア映画祭2019出上映された。彼女はソロゴジェンのパートナーで短編でも主役の母親に扮した。セビーリャ・ヨーロッパ映画祭2019の女優賞を受賞している。
*イサベル・ペーニャのキャリア紹介は、コチラ⇒2019年07月19日
*ロドリゴ・ソロゴジェンの主なキャリア紹介は、コチラ⇒2018年03月26日
*短編「Madre」の作品紹介は、コチラ⇒2018年02月10日
(イサベル・ペーニャ、ロドリゴ・ソロゴジェン、ゴヤ賞2019のフォトコールにて)
(ソロゴジェンとマルタ・ニエト、米アカデミーー賞2019の授賞式に出席)
(監督、マルタ・ニエト、息子役のJules Porier、ベネチア映画祭フォトコール、8月30日)
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