新人監督賞に女性監督がノミネーション*ゴヤ賞2020 ⑥2019年12月24日 15:56

                ベレン・フネスのデビュー作「La hija de un ladorón

 

★新人監督賞にはラテンビートと東京国際映画祭で上映された『列車旅行のすすめ』(「Ventajes de viajar en tren」)アリッツ・モレノがノミネートされている他、サンセバスチャン映画祭でグレタ・フェルナンデスに女優賞をもたらしたLa hija de un ladorónベレン・フネス、アニメーションBuñuel en el laberinto de las tortugasサルバドール・シモー、近未来SF映画El hoyoガルデル・ガステル⋍ウルティアと、誰が受賞しても納得のいくカテゴリーです。予想が難しいだけに面白いのですが、今回のようにアニメーション作家が候補になるのは珍しいケースです。

 

★ガルデル・ガステル⋍ウルティアのデビュー作「El hoyo」は、予告編からしても異様な雰囲気、アリッツ・モレノの『列車旅行のすすめ』も相当可笑しな映画でしたが、こちらもフツウの登場人物がゼロ、厳しい階級社会らしくこんな近未来なら長生きなど御免をこうむりたい。2作ともシッチェス映画祭2019でプレミアされた。

      

新人監督賞

 

サルバドール・シモー 映画「Buñuel en el laberinto de las tortugas

  スペイン=オランダ=ドイツ、2018

〇アニメーション映画部門の他、脚色賞・オリジナル作曲賞の4 部門ノミネート。

〇サルバドール・シモー(バルセロナ1975)は、アニメーター、視覚効果、短編監督としての実績があり、スペイン語の長編監督としてはデビュー作。2018年製作だが、スペインではマラガ映画祭2019でプレミアされ、ASECAN 賞を受賞、ヨーロッパ映画賞2019アニメーション賞を受賞した。

〇フェルミン・ソリスの同名コミック「Buñuel en el laberinto de las tortugas」(2009発表)の映画化、ハリウッドからスペインに帰国した1932年に、ルイス・ブニュエルが撮ったドキュメンタリーLas Hurdes (Tierra sin pan)1933、邦題『糧なき土地』)の製作秘話が語られる。『糧なき土地』の実写とアニメーション。ブニュエルのボイスはホルヘ・ウソン

別途に作品紹介の予定。

 

     

    (サルバドール・シモー、ヨーロッパ映画賞アニメーション賞受賞、127日)

    

      

 

 

ガルデル・ガステル⋍ウルティア 映画「El hoyo」(The Platform)スペイン、2019

〇オリジナル脚本賞・特殊効果賞を含めて3 部門ノミネート。

〇ガルデル・ガステル=ウルティア(ビルバオ1974)は、製作者、脚本家、2本の短編を撮っている。今回本作で長編映画デビューを果たした。ホラースリラー、近未来SF映画とジャンル分けが難しい。トロント映画祭の「ミッドナイト・マッドネス」でワールドプレミア、観客賞受賞、続くシッチェス映画祭で作品・視覚効果・新人監督・観客の4賞を受賞し別途に作品紹介の予定。

作品紹介は、コチラ⇒2020年01月14日

 

    

    (ガルデル・ガステル⋍ウルティア、シッチェス映画祭フォトコールにて)

 

   

 

 

ベレン・フネス 映画「La hija de un ladorón」スペイン、2019

〇女優賞(ベルタ・フェルナンデス)を含めて2 部門ノミネート。

〇ベレン・フネス(バルセロナ1984)は、脚本家、監督。助監督歴が長く、2015年短編「Sara a la fuga」がマラガ映画祭短編賞、2017年同「La inutil」がメディア映画祭脚本賞を受賞している。今回長編デビュー作ながらサンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアルにノミネートされた。バジャドリード映画祭SEMINCIではドゥニア・アヤソ賞を受賞した。1129日スペイン公開。

〇エドゥアルド・フェルナンデスとグレタ・フェルナンデスの実の父娘が、ドラマでも窃盗犯で常に刑務所暮らしの父親、年の離れた弟の面倒と若くして子持ちになって苦労する娘を演じている。別途に作品紹介の予定。

 

    

      (ベレン・フネス、スペイン公開前のマドリード、1128日)

    

   

 

 

アリッツ・モレノ 映画「Ventajes de viajar en tren」(『列車旅行のすすめ』)西=仏、2019

〇脚色賞・美術賞・メイク&ヘアー賞を含めて4 部門ノミネート。

〇アリッツ・モレノ(サンセバスティアン1980)は、監督、脚本、編集、製作、撮影と何でもこなす。シッチェス映画祭コンペティション部門正式出品、ラテンビート、東京国際映画祭で上映され、後者には監督と原作者アントニオ・オフレド・ウトリジャが来日、Q&Aで会場を沸かせた。既に作品紹介をアップしています。

作品紹介は、コチラ2019101411月15日

 

 

        (映画の舞台となったゴミ山の前のアリッツ・モレノ)