第67回サンセバスチャン映画祭2019開幕 ㉓ ― 2019年09月24日 19:24
開幕のスピーチは「映画祭は観客なしには開催できない」と観客に感謝

★去る9月20日(現地時間)、メイン会場のクルサール・ホールで映画祭の開会式が開催されました。カジェタナ・ギジェン・クエルボとロレト・マウレオンの総合司者で開幕しました。映画批評家への感謝に続けて「映画を観るために映画館に足を運んでくれる人々なしには映画祭は開催できない」と一般観客への感謝の辞で締めくくられました。
★セクション・オフィシアル部門の審査委員長ニール・ジョーダン(1950)が、審査員*を代表して挨拶した。アイルランドを代表する監督、脚本家、作家でもあるジョーダン映画は、イギリスや米国との合作ではあるが、ジャンルを問わない。『ことの終わり』や『プルートで朝食を』ほか、イザベル・ユペールが主演したスリラー『グレタ GRETA』(18)まで、恋愛ドラマ、ファンタジー・ホラー、コメディと幅広くカバーしている。
*メキシコのプロデューサーパブロ・クルス、スペインの女優バルバラ・レニー、スウェーデンの撮影監督 Lisabi Fridell、アルゼンチンの女優メルセデス・モラン、イスラエルのプロデューサー Katriel Schory の合計6人です。

★オープニング作品、ロジャー・ミッチェルの「Blackbird」は、ビレ・アウグストのデンマーク映画『サイレント・ハート』(14)のリメイクだそうです。本邦未公開作品ですが、「トーキョーノーザンライツフェスティバル2016」で初上映された。本作はサンセバスチャン映画祭2014に出品され、主役のパプリカ・スティーンが銀貝賞の女優賞を受賞している。リメイク版では、スーザン・サランドンが演じる。彼女は来セバスティアンしてないようだが、監督と共演者のサム・ニールが宣伝に努めていた。上映後の批評家の感触は良く、スペイン公開が決定している(公開日未定)、スペインのタイトルは「La decisión」になる。

(ロジャー・ミッチェル監督とサム・ニール、サンセバスチャン映画祭9月20日)
★カメラの放列に敷かれていたのは、ペルラス部門のオープニング作品「Seberg」に抜擢されたクリステン・スチュワートでした。監督はオーストラリア出身のベネディクト・アンドリュース、ジーン・セバーグ(アイオワ州1938)の伝記映画でクリステンはセバーグになる。オットー・プレミンジャーに17歳で見いだされて『聖女ジャンヌ・ダーク』でデビュー、フランスに渡って『悲しみよこんにちは』や『勝手にしやがれ』で一世を風靡した、オールドファンには懐かしい女優。本作は60~70年代のラディカルな公民権運動や反戦運動に参加、ブラック・パンサーをサポートしたため、FBIからマークされた時代に焦点が当てられている。

(ベネディクト・アンドリュース監督とクリステン・スチュワート、SSIFF 9月20日)
★コンペティションにノミネートされている、アレハンドロ・アメナバルのクルー、バスクの監督トリオ、ホセ・マリア・ゴエナガ、アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョのクルー、レティシア・ドレラのクルーなどが続々とセバスティアン入りしている。日本からも昨年のドノスティア賞受賞者是枝裕和監督が到着、『真実』出演のジュリエット・ビノシェとのツーショットが配信されている他、チロ・ゲーラ監督、カンヌ映画祭を総指揮しているティエリー・フレモー、アントニオ・レシネス、21日に最初のドノスティア賞を手にするコスタ・ガヴラス監督とスタッフ一同も現地入りしている。次回はコスタ・ガヴラスの授与式。
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