ウルグアイの新星ルシア・ガリバルディ*サンセバスチャン映画祭2019 ⑱2019年09月04日 11:53

       ホライズンズ・ラティノ第5弾――ルシア・ガリバルディの「Los tiburones

 

       

 

★女性監督が少ない今回のホライズンズ・ラティノ部門、サンダンス映画祭2019(ワールド・シネマ部門)で監督賞を受賞したルシア・ガリバルディ(モンテビデオ1986)のデビュー作Los tiburonesは、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 BAFICI 審査員特別賞、続いて8月開催のリマ映画祭2019で審査員スペシャル・メンションを受賞したばかりです。もともとはSSIFF Cine en Construcción 342018年)の技巧賞受賞作品です。主演にウルグアイのロミナ・ベンタンクルフェデリコ・モロシニを起用、二人とも映画は初出演である。他にアルゼンチンからバレリア・ロイスファビアン・アレニジャスが脇を固めている。サンダンスFFの高評価が以後の成功を導きだしたようです。

 

      

               (ルシア・ガリバルディ監督)

 

       

      (ルシア・ガリバルディとロミナ・ベンタンクル、サンダンスFF2019にて)

 

 Los tiburones(「The Sharks」)

製作:Montelona Cine / Nephilim Producciones / Trapecio Cine

監督・脚本:ルシア・ガリバルディ

撮影:ヘルマン・ノセジャ

編集:セバスティアン・Schjaer

音楽:ファブリツィオ・ロッシ、ミゲル・レカルデ

製作者:パンチョ・マグノス、イサベル・ガルシア、他

 

データ:製作国ウルグアイ、アルゼンチン、スペイン、スペイン語、2019年、ドラマ、80分。ウルグアイ公開201966

映画祭・受賞歴:サンダンス映画祭2019(ワールド・シネマ部門)監督賞、BAFICI 審査員特別賞、ウルグアイ映画祭出品、シアトル映画祭出品、グアダラハラ映画祭イベロアメリカ部門の審査員特別賞と女優賞(ロミナ・ベンタンクル)、リマ映画祭2019審査員スペシャル・メンションなどを受賞している。サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ部門」正式出品。2018年サンセバスチャン映画祭Cine en Construcción 34 技巧賞受賞作品。

 

キャスト:ロミナ・ベンタンクル(ロシナ)、フェデリコ・モロシニ(ホセロ)、バレリア・ロイス(ロシナの母)、ファビアン・アレニジャス(ロシナの父)、アントネジャ・アキスタパチェ(マリアナ)、他

 

ストーリー:いつもは物静かな湯治場なのだが、沿岸にサメが出没したという噂が立ち動揺していた。14歳になるロシナは、海のなかに何かがいるのを見たのだが、誰もそのことに注意を払わなかった。住宅のメンテナンス業をしている父親に連れられて仕事場に行ったとき、自分より少し年長のホセロと知り合った。汚れたプール、豪華な庭園、人気のない浜辺で、ロシナの新しい体験が始り、自分とホセロの体の隔たりを縮めたい欲求を覚えた。しかし殆ど反応がなく、彼の注意を惹くために大胆な少しみだらな計画を練り上げることにした。それは何か不思議な存在によって心を動かされる、目に見えない危険なものでなくてはならなかった。サメ警報の出ている地方のコミュニティを背景に、少女の性の目覚めが語られる。

 

     

           (ロシナ役のロミナ・ベンタンクルとホセロ役のフェデリコ・モロシニ)

 

    

(左端、フェデリコ・モロシニ、映画から)

 

★ロシナの家族は、ウルグアイの経済的な危機もあって、少なくとも平穏とは言い難い。サメの噂や水不足からくる湯治場の観光客減によって共同体にも変化の兆しがみられる。父親の仕事もプールの清掃やら、庭園の管理やらあれこれ、雇人を使ってこなしている。そのなかの青年の一人がホセロという設定のようです。小魚やそのほかの海の生物を食い漁るサメが様々なメタファーになっている。例えば獲物を待ち伏せる狩人のような少女、あるいは不機嫌、無秩序、フラストレーション、ささやかな勝利など、悲喜劇というコメントも目にしました。

 

     

 (トロフィーを手にした、製作者パンチョ・マグノスと監督、グアダラハラ映画祭2019にて)

 

 

★ベネチア映画祭も後半に入りましたが、ということはサンセバスチャン映画祭 SSIFFの開幕が近いということです。両映画祭は期間の近接だけでなく上映作品もダブっている。コンペティション外だがホライズンズ・ラティノ部門のクロージング作品、ハイロ・ブスタマンテLa Lloronaは、ベネチア・デイズのコンペティション外上映、セバスティアン・ムニョスEl príncipe(「The Prince」チリ、アルゼンチン、ベルギー)は、第34回「国際批評家週間」に正式出品されている。1970年代のチリ、首都サンティアゴ近郊の都市サンベルナルドにある刑務所に収監された20代の青年ハイメの愛と忠誠、刑務所内の権力闘争が描かれる。アルフレッド・カストロガストン・パウルスがクレジットされているので、時間があればアップします。

   

 

       (ハイメ役フアン・カルロス・マルドナドを配したポスター)

 

     

 (アルフレッド・カストロ、フアン・カルロス・マルドナド、ガストン・パウルス)

  

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