ベルリン映画祭2019落穂拾い&米アカデミー賞結果発表2019年02月25日 15:37

               金熊賞はイスラエルのナダブ・ラピドの「Synonymes

 

★落穂拾いで金熊賞もなんですが、イスラエルのナダブ・ラピドSynonymes(仮題「シノニムズ」仏・イスラエル・独の合作)が受賞しました。1975年テルアビブ生れ、母親のエラ・ラピドが息子の作品の編集を手掛けている。フランスに帰化したいイスラエル人の若者が、国情の違いに呻吟する日常を皮肉たっぷりに描いた映画ということです。

 

         

   (審査委員長ジュリエット・ビノシュからトロフィーを受取るナダブ・ラピド)

 

★審査員グランプリ(銀熊)は、フランソワ・オゾンの「By The Grace of God」でした。フランスのカトリック教会が長年にわたって組織的に黙認というか隠蔽してきた児童性的虐待事件がテーマ。子供のときに受けた性的虐待を大人になった当事者たちが集団で教会を告発した実話に基づいている。現在も裁判が続行中ということです。オゾン監督としては珍しいテーマではないでしょうか。スペインでも宗教系の男子校マリスト会に通っていた人たちが、子供のときに受けた性的虐待を親にも信じてもらえず、人生を台無しにされた当事者たちが重い口を開きはじめている。シリーズ・ドキュメンタリー『良心の糾明:聖職者の児童虐待を暴く』(Netflix)で見ることができる。現在では教会が事実を認め謝罪しているが、バチカンを悩ませている性的虐待は今後とも告発が続くのではないでしょうか。

 

★男優賞・女優賞(銀熊)は中国のワン・シャオシュアイSo Long, My Son(「地久天長」『さらば、息子よ』)、一人っ子の息子を失った夫婦を演じた、ヨン・メイワン・ジンチェンが揃って受賞しました。3 時間にも及ぶ長尺らしく覚悟して見る必要がありそうです。イサベル・コイシェの「Elisa y Marcela」に出演したナタリア・デ・モリーナの受賞を期待していましたが残念でした。

 

★「ジェネレーションKplus」部門の短編部門に出品されていたカルロス・フェリペ・モントヤEl tamaño de las cosas12分、コロンビア)が、短編賞国際審査員特別賞スペシャル・メンションに選ばれました。他に漏れがあるかもしれませんが、そろそろ終りにします。

  

 

        ROMA/ローマ』が下馬評通り外国語映画賞を受賞しました!

 

★映画賞しんがりの米アカデミー賞2019も終わりました。これで大きな2018年度の映画賞は終了したことになります。作品賞は下馬評通りジム・バークチャールズ・B・ウェスラー他の『グリーンブック』、作品賞と外国語映画賞にダブルノミネートされていたアルフォンソ・キュアロン監督のROMA/ローマ』は、これまた下馬評通り後者を受賞しました。プロデューサーのガブリエラ・ロドリゲスは、初参加初受賞でした。キュアロンは他に監督賞・撮影賞も受賞しましたから上出来ではなかったでしょうか。是枝裕和監督も細田守監督も参加することに意味ありとなり、短編映画賞にノミネートされていたロドリゴ・ソロゴジェンMadre(「母」19分)も残念賞でした。

   

              

          (外国語映画賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン)

 

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