第24回ホセ・マリア・フォルケ賞2019*結果発表 ― 2019年01月17日 16:20
ハビエル・フェセル「Campeones」が作品賞とCine y Educación en Valores のダブル受賞
(第24回フォルケ賞受賞者一同)
★1月12日夕べ、第24回ホセ・マリア・フォルケ賞の授賞式がサラゴサで盛大に開催されました。先日、作品賞とアントニオ・デ・ラ・トーレの男優賞受賞のニュースはアップいたしましたが、全容は以下の通りです。フォルケ賞は、監督ではなく縁の下の力持ちとして映画産業を支える製作者に光を当てるべく設けられた賞で監督賞はありません。本来なら制作会社名をを入れるべきなのですが、認知度のある監督名を便宜的に入れておりますが、今回受賞作には追加しました。選考母体はオーディオビジュアル著作権管理協会EGEDA(会長エンリケ・セレソ)です。ゴヤ賞の行方を占うにはカテゴリー数が少ないのですが、ある程度の目安にはなると思います。
(スピーチをする、EGEDA会長エンリケ・セレソ)
★2018年の長編映画賞はイサベル・コイシェの『マイ・ブックショップ』(3月公開予定)とマヌエル・マルティン・クエンカの「El autor」が分け合い、ゴヤ賞作品賞は前者、男優賞は後者の主役だったハビエル・グティエレスの手に渡りました。総合司会者のうち女性は昨年に引き続きジャーナリストのエレナ・サンチェス、男性は俳優のエドゥ・ソトに代わりました。
(平土間に降りてきて候補者にインタビューするエレナ・サンチェスとエドゥ・ソト)
★昨年の栄誉賞に当たるEGEDA金のメダル受賞者カルロス・サウラ、A.J. バヨナ、ロドリゴ・ソロゴジェン、アランチャ・エチェバリア、候補者ホセ・コロナド、ペネロペ・クルス、エバ・リョラチ、フォルケ氏の一人娘ベロニカ・フォルケの姿もありました。教育文化スポーツ相ホセ・ギラオ、アラゴン州知事ハビエル・ランバンも列席、ミュージカル仕立てで、7カテゴリーにもかかわらず2時間近い授賞式でした。
◎長編映画賞(フィクション&アニメーション、副賞30,000ユーロ)
★「Campeones」ハビエル・フェセル(アカデミー外国語映画賞スペイン代表作品)
制作会社:Morena Films / Pelícuias Pendeltón SA / Telefónica Audiovisual Digital
「Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』アランチャ・エチェバリア
(カンヌ映画祭「監督週間」)
「El reino」ロドリゴ・ソロゴジェン(サンセバスチャン映画祭コンペティション)
「Entre dos aguas」イサキ・ラクエスタ(サンセバスチャン映画祭金貝賞・監督賞受賞)
(トロフィーを掲げているのが女優グロリア・ラモス、その右がハビエル・フェセル監督)
◎長編ドキュメンタリー賞(同6,000ユーロ)
★「El silencio de otros」ロバート・バハー&アルムデナ・カラセド
(ベルリンFF「パノラマ」のドキュメンタリー観客賞、オスカー賞スペイン代表作品)
制作会社:España BTeam Pictures /(共同)El Deseo
「Apuntes para una película de atracos」エリアス・レオン・シミニアニ
「Dessenterrando Sad Hill」『サッド・ヒルを掘り返せ』(2017)ギジェルモ・デ・オリベイラ
「Camarón: flamenco y revolución」アレシス・モランテ
(トロフィーを手にアルムデナ・カラセド)
◎短編映画賞(同3,000ユーロ)
「Nueve pasos」マリサ・クレスポ&モイセス・ロメラ
★「Cerdita」カルロタ・ペレダ
制作会社:Pantalla Partida / Imval Producciones
「Matria」アルバロ・ガゴ
(製作者マリオ・マドゥエニョとルイス・アンヘル・ラミレスに挟まれたカルロタ・ペレダ)
◎男優賞(同3,000ユーロ、Aisge基金より)
★アントニオ・デ・ラ・トーレ「El reino」
ハビエル・グティエレス「Campeones」
ハビエル・バルデム「Todos lo saben」『エブリバディ・ノウズ』アスガー・ファルハディ
(カンヌ映画祭オープニング作品)
ホセ・コロナド「Tu hijo」ミゲル・アンヘル・ビバス
(バジャドリード映画祭オープニング作品)
(受賞を確信していたアントニオ・デ・ラ・トーレ)
◎女優賞(同3,000ユーロ、Aisge基金より)
アレクサンドラ・ヒメネス「Las distancias」エレナ・トラペロ
(マラガ映画祭「金のビスナガ」)
★エバ・リョラチ「Quién te cantará」カルロス・ベルムト
(サンセバスチャン映画祭コンペティション)
ペネロペ・クルス「Todos lo saben」
バルバラ・レニー「Petra」ハイメ・ロサーレス(カンヌ映画祭「監督週間」、
サンセバスチャン映画祭「ペルラス」)
(ペネロペ・クルスやアレクサンドラ・ヒメネスをおさえて受賞したエバ・リョラチ)
◎長編イベロアメリカ映画賞(同6,000ユーロ)
★「ROMA」『ローマ』アルフォンソ・キュアロン(ベネチアFF「金獅子賞」)メキシコ
制作会社:Esperanto Filmoj / Participante Media
「Las herederas」『相続人』マルセロ・マルティネシ
(ベルリンFF「アルフレド・バウアー」賞他)パラグアイ他
「La noche de 12 años」『12年の長い夜』アルバロ・ブレッヒナー(ベネチアFF「オリゾンティ」、
サンセバスチャンFF「ホライズンズ・ラティノ」)ウルグアイ他
「Sergio y Serguei」『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』エルネスト・ダラナス
(サンセバスチャンFF「ホライズンズ・ラティノ」)キューバ他
(サプライズ・ゼロの受賞作「ROMA」、キュアロン監督は欠席でした)
◎Cine y Educación en Valores(副賞なし)
★「Campeones」
「Carmen y Lola」
「La enfermrdad del domingo」『日曜日の憂鬱』ラモン・サラサール
(ベルリン映画祭「パノラマ」)
◎EGEDA 金のメダル(栄誉賞)
★ホセ・フラデ(Jose Angel Frade Almohalla、マドリード1938、映画&テレビのプロデューサー)
*ホセ・フラデ受賞はノミネーション段階(12月5日)では未決定でしたが、半世紀に及ぶ映画&テレビ界への功績が讃えられて贈られることになりました。1996年、マドリードを中心に放映するCanal 7 Televisiónの設立者の一人。主なフィルモグラフィーとして、フランコ体制時代では検閲逃れのピンクコメディ、アルフレッド・ランダを主役にした「No desearás al vecino del quinto」(70、ティト・フェルナンデス)やサスペンスもの、1973年にはエウヘニオ・マルティンのミュージカル「La chica del Molino Rojo」を天才少女マリソル主演で製作している。
(EGEDA 金のメダル受賞のホセ・フラデ)
*フランコ没後の民主化移行期には、ペドロ・オレア監督と組んで「Tormento」や「Pim,pam,pum...!fuego!」、
1978年ホセ・サクリスタンが女装して出演した「Un hombre llamado Flor de Otoño」、ハイメ・カミーノとは70年代後半の優れた作品の一つと評価された「Las largas vacaciones del 1936」(76)を手掛けている。1989年のハビエル・エロリエタの「Sangre y arena」は、ビセンテ・ブラスコ・イバニェスの同名小説の映画化、言語が英語、人気の高い闘牛物ということで、邦題『血と砂』で公開された。まだそれほど有名でなかったシャローン・ストーンや『ミツバチのささやき』のアナ・トレントが出演していた。
*90年代後半からはTVシリーズの製作が中心、2016年のTVシリーズ「La sonata del silencio」(9話)、今年からアレクサンドラ・ヒメネス主演のコメディ「Hospital Valle Norte」が始まります。
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