カルロス・レイガダス、6年ぶりの新作*サンセバスチャン映画祭2018 ⑯2018年09月02日 15:54

        イガダス一家総出演で「Nuestro tiempo」―ホライズンズ・ラティノ第2弾

 

    

2012年の『闇のあとの光』の後、カルロス・レイガダスは新作がなかなか完成しませんでしたが、沈黙していたわけではなく、2016年のベルリンやカンヌのフィルムマーケットではワーキングタイトル「Where Life is Born」が噂になっていた。予定していた今年のカンヌに間に合わなかったのか、ベネチア映画祭2018でワールドプレミアされることになった。最終的にタイトルはNuestro tiempoOur Time)になりました。他にトロント映画祭「マスターズ」部門上映も決定しています。デビュー作『ハポン』(02)以来、レイガダスを支えている制作会社Mantarraya Produccionesハイメ・ロマンディアと、監督自身のNoDream Cinema が中心になって製作された。

*追記:東京国際映画祭2018「ワールドフォーカス」部門上映決定、邦題『われらの時代』

 

      

         (ワーキングタイトルWhere Life is Bornのポスター)

   

   Nuestro tiempoOur Time2018

製作:Mantarraya Producciones / NoDream Cinema / Bord Cadre Films / Film i Väst / Snowglobe Films / Le Pacto / Luxbox / Mer Films / Detalla Films

監督・脚本・編集・製作:カルロス・レイガダス

編集:(共)カルラ・ディアス

撮影:ディエゴ・ガルシア

プロダクション・デザイナー:エマニュエル・Picault

衣装デザイン:ステファニー・ブリュースターBrewster

録音:ラウル・ロカテッリ

製作者:ハイメ・ロマンディア、(以下共同製作者)エバ・ヤコブセン、ミケル・Jersin、アンソニー・Muir、カトリン・ポルス

 

データ:製作国メキシコ・仏・独・デンマーク・スウェーデン、スペイン語・英語、2018年、ドラマ、173

映画祭:ベネチア映画祭コンペティション部門(上映95日)、トロント映画祭「マスターズ」部門(同99日)、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門正式出品作品

 

キャスト:カルロス・レイガダス(フアン)、ナタリア・ロペス(エステル)、フィリップ・バーガーズ(フィル)、ルートゥ・レイガダス、エレアサル・レイガダス

 

物語:闘牛用の牛を飼育しているある家族の物語。エステルは牧場を任されていおり、夫のフアンは世界的に有名な詩人であると同時に動物の選別や飼育をしている。エステルがフィルと呼ばれるアメリカ人の馬の調教師と恋に落ちると、夫は嫉妬心を抑えられない。夫婦は感情的な危機を乗りこえるために闘うことになる。

            

★目下のところ情報が少なくて(わざと伏せているのでしょうか)、こんなありきたりの筋書で173分も続くのかと不安ですが、そこは一筋縄ではいかないレイガダスのことだから、幾つも秘密兵器が隠されているのではないかと期待しています。監督自身が夫フアン役、いつもは編集を手掛けている監督夫人ナタリア・ロペスが妻エステルを演じている。ルートゥとエレアサルは夫妻の実子、前作『闇のあとの光』にも出演していた。6年経っているからかなり大きくなっている。

 

★ベネチア映画祭公式作品紹介の監督メッセージによると「私たちが誰かを愛しているとき、彼女または彼の幸福安寧をなによりも望んでいるでしょうか。あるいは、そのような寛大な無条件の行為は、自分にあまり影響を与えない程度のときだけでしょうか。要するに、愛は相対的な問題なのではないか?」とコメントしています。

 

              

                 (カルロス・レイガダス)

 

ハイメ・ロマンディアJaime Romandia は、『ハポン』02、カンヌFFカメラドール受賞)、『バトル・イン・ヘブン』05、カンヌFFノミネート)、『静かな光』07、カンヌFF審査員賞受賞)、『闇のあとの光』12、カンヌFF監督賞受賞)とレイガダスの全作を手掛けている。ほか『ハポン』で助監督をつとめたアマ・エスカランテのデビュー作『サングレ』04、カンヌFF「ある視点」国際映画批評家連盟賞受賞)、『よそ者』08)、『エリ』13、監督賞受賞)、『触手』16、ベネチアFF監督賞受賞)、アルゼンチンの監督リサンドロ・アロンソ『約束の地』14、カンヌFF国際映画批評家連盟賞)など、三大映画祭の話題作、受賞作をプロデュースしている。

 

ナタリア・ロペスNatalia Lópezは、映画編集、製作、脚本、監督。今回本作で女優デビュー。レイガダスの『静かな光』、『闇のあとの光』、アマ・エスカランテの『エリ』、リサンドロ・アロンソの『約束の地』などの編集を手掛けるほか、短編「En el cielo como en la tierra」(0620分)を撮っている。

 

      

            (エステル役のナタリア・ロペス、映画から)

 

フィリップ・バーガーズPhil (Philip) Burgersは、アメリカの俳優、脚本家、プロデューサー。代表作はアメリカTVシリーズThe Characters16、全8話)の1話に出演、脚本、エグゼクティブプロデューサーとして製作も手掛ける。本作は『プレゼンツ:ザ・キャラクターズ』としてNetflixで配信されている。アメリカン・コメディSpivak18)など。レイガダスはプロの俳優は起用しない方針と思っていたが、そういうわけではなかったようです。

 

                

        (フィル役バーガーズとフアン役のレイガダス、映画から)

 

★評価の分かれた第4作『闇のあとの光』は、カンヌ映画祭2012の監督賞受賞作品。全員一致の受賞作品は皆無だそうですが、最も審査員の意見が割れたのがレイガダスの監督賞受賞だった。カフェでは13年振りに戻ってきたレオス・カラックスに上げたかったようだ。個人的にはメディアの悪評にレイガダスはあり得ないと思っていたが、審査委員長ナンニ・モレッティによるとレイガダス、カラックス、ウルリッヒ・サイドルの三人に意見が分かれた。結局アンドレ・アーノルド監督がレイガダスを強く推して決まったと。続いてサンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門でも上映されたが酷評が目立ったスペインではレイガダス・アレルギーが結構多い。多分『静かな光の続きを期待していた人には不評だったのかもしれない。レイガダスが求めるものと他の監督が求めるものとは違うから評価は分かれる。監督自身はメディアの酷評謙虚に分析していたようです。

 

      

         (カンヌ映画祭監督賞受賞の『闇のあとの光』ポスター)

 

★本映画祭の今年のスペイン映画の話題作を集めた「メイド・イン・スペイン」部門11作が発表になったり、アルフォンソ・キュアロンRomaがベネチア映画祭コンペティションに選ばれたり、5回フェニックス賞2018のノミネーションが発表になったりとニュースが多く、アップ順位に迷っています。またマラガ映画祭2018のオープニング作品マテオ・ヒルのLas leyes de la termodeinámica『熱力学の法則』の邦題で早くもNetflixで配信が始まっています。

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