第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表 ― 2018年05月03日 09:33
大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!
★4月29日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がラテンアメリカ諸国、偶数回がスペイン各都市と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。
(TVシリーズは割愛、*当ブログ紹介作品)
*ノミネーション発表は、コチラ⇒2018年03月20日
(メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)
◎作品賞(フィクション部門)
La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)*
La librería(スペイン)*
Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)*
Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
(中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)
◎監督賞
アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎脚本賞
カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎オリジナル作曲賞
アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)*
アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)*
デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)
フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)
プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)
◎男優賞
アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)*
ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)*
ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
◎女優賞
アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)*
マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン)*
ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)
◎作品賞(アニメーション部門)
Deep(スペイン)
El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)
Historia antes de uma historia(ブラジル)
Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)
Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガト&ダビ・アロンソ、スペイン)
◎作品賞(ドキュメンタリー部門)
Dancing Beethoven(スペイン)
Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)
El pacto de Adriana(チリ)
Los niños(チリ)
Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)*
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
El techo(ニカラグア、キューバ)
La defensa del dragón(コロンビア)*
La llamada(スペイン)*
La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)*
Mala junta(チリ)
Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)*
◎編集賞
アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)*
エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)*
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー
「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎美術賞
エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ミケル・セラーノ Handia*
モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)*
レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
◎撮影賞
ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)*
*ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。
◎録音賞
アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ
Verónica(「エクリプス」スペイン)
グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ
El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)*
Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、
バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)
◎価値ある教育シネマ賞
Como nossos pais ブラジル
Handia (監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ)スペイン*
La mujer del animal コロンビア*
Mala junta チリ
Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞
★アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza、1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』(09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』(99)、続いて『バベル』(06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。
(『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)
★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。
(栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、4月29日)
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