サンセバスチャン映画祭2017終幕*結果発表 ⑮ ― 2017年10月03日 10:10
金貝賞はジェームズ・フランコの “The Disaster Artist” が受賞
★下馬評では “El autor”(マルティン・クエンカ)と “The Disaster Artist” (ジェームズ・フランコ)の傾向の異なる2作品がしのぎを削っていたようですが、結局ジョン・マルコヴィッチ審査委員長率いる審査員は、600万ドルの資金をつぎ込みながら1800ドルしか回収できなかった21世紀の駄作といわれるトミー・ウィソー(ウィゾー)の『ザ・ルーム』のパロディを金貝賞に選んで終幕いたしました。批評家、観客ともに評価が高かったことが決め手だったのでしょうか。結局、マルティン・クエンカは、無冠に終わりました。
★以下のような結果になりましたが、追加作品のアナイ・ベルネリの ”Alanis” が、監督賞と女優賞のダブル受賞になり、さらにボグダン・ドゥミトラケが男優賞を受賞した “Pororoca” も追加作品でした。時どき受賞させるために追加したのではないかと勘繰りたくなるケースがあります。女性監督の受賞は初めてのようですが、1作品1受賞の慣行を今年も変更しました。ベネズエラのマリアナ・ロンドンの “Pelo malo” が作品賞を受賞したSIFF2013以来の女性監督が輝いた年になりました。”Alanis” はスペイン語映画でしたので本来なら紹介すべきでしたが、追加だったこと、ストリーが逆境にめげず頑張る赤ん坊を抱えた娼婦というプロットに、いささか食傷気味だったこともあってアップを怠りました。
第65回サンセバスチャン映画祭の主要受賞結果
金貝賞(ゴールデン・シェル賞)
◎ “The Disaster Artist” 監督ジェームズ・フランコ(米)
他にシネマルディア・フェロス賞を受賞
審査員特別賞
◎ “Handia” (Aundiya)監督ジョン・ガラーニョ&アイトル・アレギ(西)
他にバスク映画賞を受賞
審査員特別メンション
◎ “Anne Gruwez” (Ni juge, ni soumise)監督Jean Libon&Yves Hinant(仏・ベルギー)
監督銀貝賞
◎ アナイ・ベルネリ ”Alanis” (アルゼンチン)
女優銀貝賞
◎ ソフィア・ガラ・カスティリオーネ ”Alanis”
男優銀貝賞
◎ボグダン・ドゥミトラケ “Pororoca” 監督コンスタンチン・ポペスク(ルーマニア・仏)
脚本賞
◎ ディエゴ・レルマン&マリア・メイラ “Una especie de familia” 監督ディエゴ・レルマン
(アルゼンチン・ブラジル・ポーランド・仏)
*ラテンビート2017に『家族のように』の邦題で上映される。
撮影賞
◎ フロリアン・バルハウス “The Captain” 監督ロベルト・シュヴェンケ
(独・仏・ポーランド)
ホライズンズ・ラティノ部門作品賞
◎ “Los perros” 監督マルセラ・サイド
サバルテギ-タバカレラ賞
◎ “Braguino” 監督Clément Cogitore (仏)
国際批評家連盟賞FIPRESCI
◎ “La vida y nada más” 監督アントニオ・メンデス・エスパルサ(西・米)他にSIGNIS賞受賞
*東京国際映画祭2017「ワールド・フォーカス」部門に、前作の『ヒア・アンド・ゼア』に続いて、『ライフ・アンド・ナッシング・モア』の邦題で上映される。
作品賞(ニューディレクターズ部門)
◎ “Le Semeur” (“The Sower”)監督マリーヌFrancen (仏・ベルギー)
ユース賞(ニューディレクターズ部門)
◎ “Matar a Jesús” 監督ラウラ・モラ (コロンビア・アルゼンチン)
他にFedeora賞を受賞
観客賞
◎ “Three Billboards Outside Ebbing Missouri” (“Tres anuncios en las afueras de Ebbing Misuri”)監督マーティン・マクドナー (英)
*ベネチア映画祭2017脚本賞受賞作品
TVE「もう一つの視点」賞
◎ “Custodia compartida”(“Custody”) 監督グザヴィエル・ルグラン(仏)
★栄誉賞のうち、オープニング・ガラで授賞式があった「批評家連盟賞グランプリ」にアキ・カウリスマキ、新作『希望のかなた』は国連難民映画祭の後、12月から公開されます。シネミラZinemira賞に、フリア・フアニス、マックスファクター賞にバルバラ・レニーが受賞しました。
(アキ・カウリスマキ)
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