"El autor" トロント映画祭でFIPRESCI賞*サンセバスチャン映画祭2017 ⑩ ― 2017年09月18日 16:42
マヌエル・マルティン・クエンカ、三度目の挑戦で国際批評家連盟賞受賞
★去る9月17日トロント映画祭tiff 2017は、マーティン・マクドナーの “Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”(米=英)を観客賞(最高賞)に選んで閉幕しました。開催期間がベネチア映画祭と重なる部分もあり、作品もかなりダブっています。とにかくtiffは合計300本ぐらいあるからチェックするのも面倒くさくなります。本作もベネチア映画祭のコンペティション部門に出品されていました。隣国だから授賞式まで残っていたのか、あるいは直前に呼び戻されたのか、「本当に観客に受け入れられるかどうか全く分からなかった」と、監督は受賞の驚きを隠さなかったようです。

(主演のフランシス・マクドーマンド、“Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”から)
★サンセバスチャン映画祭のコンペティションにも出品されているマヌエル・マルティン・クエンカの新作 “El autor”(The Motive)がスペシャル・プレゼンテーション部門の国際批評家連盟FIPRESCI賞を受賞しました。過去には彼の2作品 “La mitad de Oscar” と “Canibal” が出品されておりますが、今回三度目の挑戦で大賞を手にしました。他にはベネチア映画祭の金獅子賞をとったギレルモ・デル・トロの “The Shape of Water”、同じくベネチア映画祭正式出品のジョージ・クルーニーの “Suburbicon” や、ダーレン・アロノフスキーの “Mother!” を押しのけて、彼らからすれば知名度的には低いマルティン・クエンカが受賞するなんて予想もしませんでした。幸先良いニュースですが、果たしてサンセバスチャンでは賞に絡めるでしょうか。

(アントニオ・デ・ラ・トーレとハビエル・グティエレス、“El autor” から)
★サンセバスチャン映画祭2017のドノスティア賞受賞者のアニエス・ヴァルダと、写真家でアーティストのJRのドキュメンタリー映画 “Visages Villages”(Faces Places)がドキュメンタリー観客賞を受賞しました。アニエス・ヴァルダは89歳、JRは34歳、祖母と孫ほど年の違う二人連れが、町の人々と触れあいながらフランスの田舎をめぐります。これは今年観たい映画5本に入れたいです。

(アニエス・ヴァルダとJR)

(ベロドロモ部門のポスター)
★サンセバスチャン映画祭では3000人が収容できる大型スクリーンで上映されるベロドロモ部門(コンクール外)で上映されるのが、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスが出演することで話題になっている、フェルナンド・レオン・デ・アラノアの “Loving Pablo” です。tiffではスペシャル・プレゼンテーション部門に出品されていましたが、残念でした。ベネチア映画祭はコンペティション外の出品でした。

(パブロ・エスコバルを演じたハビエル・バルデム)
★このベロドロモでは、スペイン語映画はボルハ・コベアガのキツいブラック・ユーモア満載のコメディ “Fe de etarras”、ハビエル・カマラ、フリアン・ロペス、ラモン・バレア、ゴルカ・オチョアなどが出演します。10月12日Netfix放映が決定しています。コベアガはスペイン映画史上最高の興行成績を誇る「8アペジードス・バスコス」の脚本を共同で手掛けています。もう1作がアントニオ・クアドリの “Operación concha”(西=メキシコ)、ジョルディ・モリャ、カラ・エレハルデ、ウナックス・ウガルデ、ラモン・アギーレ、バルバラ・モリ他、お馴染みの役者が出演して笑わせます。どうやら今年のベロドロモ上映3作品は、字幕入りで観られそうです。


(アントニオ・クアドリの “Operación concha” から)
★ベロドロモVelódromoは、英語のvelodromeと同じくスペイン語でも「競輪場」を指します。作品は3~5作品と少なく娯楽アクションものが多い。かつてアレックス・デ・ラ・イグレシアの『スガラムルディの魔女』や、ダニ・デ・ラ・トーレの『暴走車 ランナウェイ・カー』がここで上映された。
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