銀のビスナガ「シウダ・デル・パライソ」賞*マラガ映画祭20172017年03月25日 17:41

         ベテラン女優フィオレリャ・ファルトヤノが受賞

 

フィオレリャ・ファルトヤノFiorella Faltoyano(本名María Blanca Fiorella Renzi Gil)は、1949年マラガ生れ(父親はガジェゴ、後にビゴのパントン町長になった。母親はマドリード出身)、映画、テレビ、舞台女優。1967ペドロ・マリオ・エレーロのClub de solteros(仮題「独身クラブ」)で映画デビュー、つまり今年は映画との金婚式のお祝いというわけです。半世紀の出演本数は映画・テレドラ、舞台をひっくるめれば大変な本数になります。私生活では最初の結婚相手ホセ・ルイス・タファル・カランデ(製作者)との間に1男、2人の孫がいます(1983離婚)、現在のパートナーはフェルナンド・メンデス=レイテ(1944マドリード)、映画評論家、テレビドラマを手掛ける監督、一時期(196881)出身大学バジャドリードで映画理論と映画史の教鞭をとっていました。

 

 

 

(赤絨毯を踏むフェルナンド・メンデス=レイテとフィオレリャ・ファルトヤノ) 


★注目を集めた作品は、民主主義移行期に製作されたホセ・ルイス・ガルシのAsignatura pendiente1977、仮題「未合格科目」)のヒロイン役、ホセ・サクリスタンとタッグを組みました。ガルシのデビュー作であり、大ヒット作でもあった。ベッドでの大胆な下着姿が話題になりました。フランコ時代には好ましからざることとして検閲をうけ削除されるケースだったからです。長いキャリアをもちながら受賞歴が少ないのは、活躍時期にはゴヤ賞(1987年から)などもなく、1995年から映画を離れてテレビに軸足を変えたからと思います。スペイン映画芸術科学アカデミー(AACCE)が設立されたのは1986年、ということはAACCEが選考する「金のメダル」も同年から、さらに国民賞に映画部門が加わったのは1980年でした。サンセバスチャン映画祭は国際映画祭ですから、スペイン映画が受賞するのは1970年代は1作、80年代も1作でした。

 

  

   (ホセ・サクリスタンと下着姿のフィオレリャ、「Asignatura pendiente」から)

 

Asignatura pendiente」の5年後ガルシ監督は、『黄昏の恋』(82)で、初めてスペインにオスカー像をもたらしたのですが、それには出演しませんでした。ガルシはスペイン代表作品監督の常連となり、1994年のCanción de cunaが四度の代表作品に選ばれ、今度は主演女優にフィオレリャを抜擢しました。しかし残念ながら落選となりました。前年トゥルエバの『ベルエポック』が受賞したこともあり、元々可能性は少なかったのです。国内の受賞では、1995シネマ・ライターズ・サークル(スペイン)女優賞を受賞しました。これがノミネートは別として唯一の受賞、ですから今回の銀のビスナガ「シウダ・デル・パライソ」賞は朗報だったに違いありません。1995年エウヘニオ・マルティンの「La sal de la vida」が最後の長編映画となり、現在はシリーズのテレビドラマに出演しています。

 

   

         (ホセ・ルイス・ガルシの話題作「Canción de cuna」から)

 

★その他の主な出演映画、マリアノ・オソレスのコメディ・ミュージカルCristóbal Colón, de oficio...descubridor82)では、カトリック女王イサベルに扮した。カミロ・ホセ・セラの同名小説を映画化したマリオ・カムスの『蜂の巣』(ベルリン映画祭1983グランプリ受賞、「映画講座・スペイン新作映画」で上映)とDespués del sueño92)、ホセ・ルイス・クエルダのTocande fondo93)などがあげられる。2014年には、『Aprobé en septiembre』というタイトルの本をLa Esfera de los Liblosから刊行している。21日に授賞式がありました。

 

    

          (エッセイ『Aprobé en septiembre』の発売記念日から)

 

 

        (銀のビスナガ「シウダ・デル・パライソ」のガラ)

 

 

★序でにそのほかの特別賞ガラのうち、23日にクラウディア・リョサの「エロイ・デ・ラ・イグレシア」賞、24日にはフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「レトロスペクティブ」賞も終了しました。残るはクロージングに行われるアントニオ・バンデラスの「名誉金のビスナガ」賞のみになりました。

 

 

                        (クラウディア・リョサ)

 

 

 (フェルナンド・レオン・デ・アラノア)


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