作品賞はラウル・アレバロの手に*フォルケ賞2017結果発表 ― 2017年01月15日 22:35
トロフィーを手にしたのはエンマ・スアレスとロベルト・アラモ

★1月14日、フォルケ賞の授賞式が初めてセビージャで開催され、 結果は以下のとおりです。ラウル・アレバロの“Tarde para la ira”が受賞したとなると、ゴヤ賞もちょっと分からなくなってきました。2016年スペインで観客動員数第1位はフアン・アントニオ・バヨナの“Un monstruo viene a verme”(450万人、売上高2600万ユーロ)だった。受賞作は第4位のダニエル・カルパルソルの『バンクラッシュ』(650万ユーロ)、第6位のパコ・レオンの『KIKI~愛のトライ&エラー』(610万ユーロ)にも満たない。いずれも100万人以上の観客を集めたという。勿論、動員数や売上高の多寡で決まるわけではありませんが、少し驚きました。次のフェロス賞(1月23日)、最後のゴヤ賞(2月4日)まで続くかどうかは神のみぞ知るです。
★12日にはゴヤ賞の候補者が一堂に会して行う顔合わせカクテル・パーティがあり、いつもなら同じマドリード市内ということで問題なかったのですが、今回はセビージャということで両方にノミネートされている人は忙しかったでしょう。
長編映画賞(フィクション、アニメーション)
“El homre de las mil caras”“Smoke&Mirrors”『スモーク・アンド・ミラーズ』
監督アルベルト・ロドリゲス
“Julieta” 『ジュリエッタ』監督ペドロ・アルモドバル
“Que Dios nos perdone”“May God Save Us”監督ロドリゴ・ソロゴイェン
◎“Tarde para la ira”“The Fury of a Patient Man”監督ラウル・アレバロ
製作者ベアトリス・ボデガス
“Un monstruo viene a verme”“A Monster Calls”(西・米・英・カナダ)
監督フアン・アントニオ・バヨナ
“1898, Los últimos de Filipinas”監督サルバドル・カルボ

(ホセ・コロナドの手からトロフィーを受け取り、祝福の霰を受けるアレバロ監督)
男優賞
エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』監督アルベルト・ロドリゲス
◎ロベルト・アラモ“Que Dios nos perdone” 監督ロドリゴ・ソロゴイェン
アントニオ・デ・ラ・トーレ“Tarde para la ira” 監督ラウル・アレバロ
アレックス・モネール“La propera pell”(“La próxima piel”)
監督(共同)イサキ・ラクエスタ、イサ・カンポ
オスカル・マルティネス“El ciudadano ilustre”(アルゼンチン、スペイン)
監督(共同)ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン

*ロベルト・アラモは、マドリードの舞台の仕事で欠席した。代理でトロフィーを受け取ったのは、ロドリゴ・ソロゴイェン監督、アラモの「感謝の辞」はビデオで上映された。
(上記の写真)
女優賞
アドリアナ・ウガルテ『ジュリエッタ』監督ペドロ・アルモドバル
◎エンマ・スアレス『ジュリエッタ』監督ペドロ・アルモドバル
カルメン・マチ“La puerta abierta”(“The Open Door”)監督マリナ・セレセスキー
バルバラ・レニー“María (y los demás)”監督ネリー・ネゲラ
アナ・カスティージョ『The Olive Tree』監督イシアル・ボリャイン
インマ・クエスタ“La novia” 監督パウラ・オルティス

(「映画の夢に向かって全力を尽くす」と感謝したエンマ・スアレス)
長編ドキュメンタリー賞
◎“2016, Nacido en Siria”監督エルナン・シン
“El Bosco, El jardín de los sueños”(スペイン、フランス)監督ホセ・ルイス・ロペス=リナレス
“Omega”監督(共同)ヘルバシオ・イグレシアス、ホセ・サンチェス=モンテス
“Jota de Saura”監督カルロス・サウラ
“La historia de Jan”監督ベルナルド・モル・オットー
“Miguel Picazo, Un cineasta extramuros”監督エンリケ・エスナオラ

短編映画賞
“Timecode”『タイムコード』(15分)監督フアンホ・ヒメネス
◎“Graffitti” (30分)監督リュイス・キレスLluís Quílez (スペイン、ウクライナ)
“Bla Bla Bla”監督アレクシス・モランテ

長編ラテンアメリカ映画賞
“Neruda”(チリ、メキシコ)監督パブロ・ラライン
◎“El ciudadano ilustre”『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)
監督(共同)ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン
“Aquí no ha pasado nada”(“Much Ado About Nothing”)(チリ)
監督アレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラス
“El acompañante”(キューバ)監督パベル・ジロー
“Sin muertos no hay carnaval”(エクアドル、メキシコ、ドイツ)
監督セバスティアン・コルデロ
★ドキュメンタリー賞、ラテンアメリカ映画賞は予想通りの結果でしたが、短編映画賞はカンヌ映画祭パルムドールの『タイムコード』と思っていたので外れました。2作ともオスカー賞2017短編部門のプレセレクション・リスト10作に残っています。どちらもアルカラ・デ・エナレス短編映画祭2016の受賞作品。
★栄誉賞にあたるゴールデン賞を受賞したアントニオ・P・ペレスは、前日の金曜日に母親を亡くして「悲しみと喜びとは交互に相次ぐ」を実感しているようでした。人生においてはこういう偶然はときどき起こりますね。

最近のコメント