スペインの映画賞2017の行方を占う ― 2017年01月01日 17:23
期待値を下げればハッピーになれるかもしれない
★当ブログも4回目の新年を穏やかに迎えることができました。映画の世界も世の中の危機と無縁ではありませんが、映画の未来を信じて発信していきたいと思っています。多くを望まず期待値を若干修正すればそれなりにハッピーになれるかもしれない。秋開催のサンセバスティアン映画祭も節目の65回目を迎えます。サプライズを期待したいところです。
★スペインでは新春早々フォルケ賞(1月14日)、フェロス賞(1月23日)、そしてゴヤ賞(2月4日)と大きなイベントが開催されます。それぞれ主宰する組織は異なりますが、前年公開された映画の総決算だから、ノミネーションは当然似てきてしまいます。いわば釣師は違っていても同じ釣堀から釣るわけだから当然なのかも知れません。なかで一番盛大なのが殿りのゴヤ賞ですが、無い袖は振れないというわけで、今年は「地味路線」がはっきりしています。
★大体三つの映画賞に共通している最優秀作品賞は、長短はあれ既にご紹介済みの作品です。なかでフォルケ賞にだけノミネートされたサルバドル・カルボのデビュー作“1898, Los últimos de Filipinas”は当ブログ初登場、ご紹介したいと思っています。タイトルから歴史物であることは一目瞭然、1898年という年は米西戦争によってかつて栄華を誇ったスペイン帝国が完全に瓦解した失意の年です。ゴヤ賞9個(新人監督・新人男優・撮影・プロダクション・美術・録音・衣装デザイン・メイク&ヘアー・特殊効果)は、技術部門に集中しているとはいえ気になります。本作が長編デビューの監督ですが、ルイス・トサール、ハビエル・グティエレス、エドゥアルド・フェルナンデス、カラ・エレハルデなどの演技派ベテランに、リカルド・ゴメス、ミゲル・エラン、アルバロ・セルバンテスなどの若手人気俳優を揃えて、12月2日封切り以来アクション・アドベンチャーとして若者から年配の男性観客のあいだで評判になっています。

(“1898, Los últimos de Filipinas”のポスター)
★他に受賞に絡みそうな作品として、マリナ・セレセスキーの“La puerta abierta”もなかなか面白そうです。カルメン・マチ(主演)にテレレ・パベス(助演)がノミネーションとくれば、受賞しなくても鑑賞したい映画リスト入りです。

★ゴヤ賞にはノミネートされませんでしたが、フォルケ賞ラテンアメリカ映画部門のセバスティアン・コルデロの“Sin muertos no hay carnaval”(エクアドル、メキシコ、独)なども、ラテンビートを視野に入れてご紹介したい。授賞式までに間に合うよう順を追ってアップできたらと思っています。

(“Sin muertos no hay carnaval”のポスター)
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