アルモドバル『ジュリエッタ』*ヨーロッパ映画賞2016ノミネーション発表 ― 2016年11月08日 10:21
作品賞、監督賞、2人のジュリエッタが女優賞候補に
★アルモドバルの新作『ジュリエッタ』が劇場公開された同じ日に、第29回ヨーロッパ映画賞のノミネーションが発表されました。作品賞、監督賞、2人のジュリエッタに扮したエンマ・スアレスとアドリアナ・ウガルテがユニットで女優賞、観客賞の4個です。アルモドバルはヨーロッパ映画賞のご常連、今回は多分貰えないと予想しますが蓋を開けてみないと分かりません。女優賞の2人は初ノミネート、かなり混戦状態ですが、こちらはアリかも知れません。他にハビエル・カマラがセスク・ゲイの“Truman”(「トルーマン」)で男優賞にノミネートされています。ハビエルはアルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』以来2回め、男優賞は異例の6人が残った。しかし、顔ぶれからみると、受賞は厳しそうです。
(エンマ・スアレスとアドリアナ・ウガルテ、『ジュリエッタ』から)
(左から、ハビエル・カマラ、リカルド・ダリン、「トルーマン」から)
★対抗馬としては、カンヌ映画祭2016コンペティション作品がそのままノミネーションされているかの印象です。つまりケン・ローチ“I, Daniel Blake”(パルムドール受賞)、ポール・ヴァーホーヴェン“Elle”、マーレン・アーデ“Toni Erdmann”(「トニ・エルトマン」)、本作は「ドイツ久々の大物監督誕生」と話題をさらいながらコンペでは無冠に終わり、カンヌでは物議を醸したのでした。サンセバスチャン映画祭でFIPRESCI(国際映画批評家連盟賞)を受賞しています。映画祭と映画賞は性質が違い、特に映画祭は審査委員長の意向に左右されるから、今回は無冠ということにはならないと予想します。最多ノミネーション5個(作品、監督、脚本、女優サンドラ・フラー、男優ペーター・シモニシェック)、どれか一つくらい受賞するのではないでしょうか。というのも観たい作品だからです。アルモドバルやケン・ローチでは新鮮味がないなどという理由ではありません(笑)。残るレニー・アブラハムソン(エイブラハムソン)『ルーム』のみが2015年作品、すでに劇場公開されています。
(娘サンドラ・フラーと父親ペーター・シモニシェック、“Toni Erdmann”から)
★アルモドバルの第20作目になる『ジュリエッタ』は、愛してやまない者の喪失がテーマのドラマ、スリラー的要素もありそうですが、アクション好きな人にはお薦めでない。居眠りしてしまうかもしれない。他のカテゴリーでは、長編アニメーション1作、短編2作が残りました。結果発表は12月10日、ポーランド西部の古都ヴロツワフで授賞式が行われる。
*公開2016年11月5日、新宿ピカデリー他、順次全国ロードショー展開
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