グラシア・ケレヘタ*スペイン映画アカデミー副会長辞任2016年07月05日 11:58

              何かあったのでしょうか?

 

★当ブログ開設以来、折りに触れて記事にしてきたグラシア・ケレヘタのスペイン映画芸術科学アカデミー副会長辞任の報道がありました。スペイン映画アカデミー前会長エンリケ・ゴンサレス・マチョの突然の辞任をうけ、昨年5月に新体制ができて就任したばかり、今回も水面下はともかく、突然の辞任劇でした。新会長アントニオ・レシーネス、もう一人の副会長エドモン・ロチも辞任を受け入れたようです。後任が決まるまではレシーネス会長をエドモン・ロチが一人で補佐することになる。プレス向けの辞任理由の他に何かあったのでしょうか。

 

 

★去る627日に会長に提出された辞任文書によると、「副会長の仕事と本来の監督業との両立が困難になった」というのが辞任理由だそうです。激務を承知で引き受けたのでしょうが、頭で考えていたことと実際では、かなりの差があったということですかね。「ここ数ヶ月は自分の仕事に手がつけられなかった。ここに至るまでには何度も何度も考えた」とプレスには語ったようで、熟考の末に出した結論だったことを強調した。前会長ゴンサレス・マチョも「会長職と製作者としての本業の両立ができなかった」が辞任理由でした。「食べていくには仕事をしなくては」とも語っていた。名誉職ではあるが現役ばりばりでは激務をこなすのは難しいのでしょう。会長が辞任するわけではないので再選挙にはならず、レシーネス会長が次を指名するまで空席になります。

 

        

              (顔も気性も似ていたケレヘタ父娘)

 

グラシア・ケレヘタ1962年マドリード生れ、監督、脚本家。20136月鬼籍入りした大物プロデューサー、エリアス・ケレヘタの一人娘。代表作“Una estación de paso”(92)、Siete mesas de billar frances07)、“15 años y un día”(14)、最新作はFelices 140”(15)など。なかで15 años y un día”は、例年4月開催のマラガ映画祭2014のグランプリ作品、同年のオスカー賞のスペイン代表作品にも選ばれましたが最終候補に残れませんでした。ゴヤ賞も作品賞以下7カテゴリーにノミネートされましたが無冠に終わってしまいました。ゴヤ賞関連では、マリベル・ベルドゥを起用したSiete mesas de billar francés2007)も、ベルドゥが主演女優賞、アンパロ・バロが助演女優賞を受賞しましたが、自身は監督賞・作品賞とも逃しました。

 

   

              (15 años y un día”のポスター

 

★父エリアス・ケレヘタは、ビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』『エル・スール』、カルロス・サウラがベルリン映画祭で監督賞を受賞した『狩り』、『カラスの飼育』『急げ、急げ』、マヌエル・グティエレス・アラゴンの『激しい』、フェルナンド・レオン・デ・アラノアのデビュー作『ファミリア』、『月曜日にひなたぼっこ』、ほかモンチョ・アルメンダリス「タシオ」、リカルド・フランコ『パスクアル・ドゥアルテ』、ハイメ・デ・アルミニャン、イマノル・ウリベなど「映画の近代化」または「スペイン映画の国際化」に寄与した製作者、脚本家。彼なしでスペイン映画史を語ることはできない。

 

 

 (『ミツバチのささやき』30年後、左から、エリアス・ケレヘタ、妹アナ役アナ・トレント、

   姉イサベル役イサベル・テリェリア、ビクトリ・エリセ監督)

 

スペイン映画芸術科学アカデミー選挙関連の記事は、コチラ⇒2015年0511

ゴヤ賞2014ノミネーション“15 años y un día”の作品紹介と監督フィルモグラフィーの記事  は、コチラ⇒20141262月06

Felices 140”の記事は、コチラ⇒2015年01月07

 

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