期待できるスペイン映画2016 ③2016年02月26日 15:00

         2016年に長編映画デビューを果たした監督

 

★アルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』に出演していたラウル・アレバロ1990年代にマヌエル・ゴメス・ペレイラの『電話でアモーレ』(95)、イマノル・ウリベの『ブワナ』(95)や“Plenilunio”(99)に出演していたミゲル・デル・アルコが監督デビューしました。初監督とはいえ、彼は今世紀に入ってからは脚本家として、または舞台演出家としても活躍している。

 

            

                (“Las furias”のポスター)

 

ミゲル・デル・アルコLas furias”(2016年の後半)、脚本ミゲル・デル・アルコ、製作Aqui y Alli Films / Kamikaze Producciones / TVE、撮影2015810日マドリードでクランクイン(2週間)、のちカンタブリアに移動した(4週間)。

キャスト:バルバラ・レニー、ホセ・サクリスタン、カルメン・マチ、メルセデス・サンピエトロ、エンマ・スアレス、ゴンサロ・デ・カストロ、アルベルト・サン・フアン、エリザベト・ヘラベルト、他。

ストーリー:70歳代のオルガ(サンピエトロ)は、海沿いの避暑地にある別荘を売るつもりだと3人の子供に告げた。ついては各自欲しい家具調度や思い出の品があれば選ぶように言い渡す。長男エクトル(ゴンサロ・デ・カストロ)は、売却前の最後の1週間を家族みんなで楽しむことを提案する。既に15年以上連れ添っている女性との婚礼もここで挙げたい。家族は思い思いに1週間を過ごすことになるだろう、ありふれた家族の集りが描かれるのだが・・・

 

            

               (カンタブリア海での撮影風景)

 

ミゲル・デル・アルコ1965年マドリード生れ、監督、脚本家、俳優、舞台演出家。舞台監督としてはシェクスピア、ゴーリキーの戯曲、スタインベックの小説の翻案劇を手掛けている。前述したように俳優として出発、脚本家、TVシリーズ、舞台演出などのかたわら、短編を撮る。今回50歳にして長編映画デビュー。豪華なキャスト陣からも分かるようにスペインでの評価は高い(バルバラ・レニー、ゴヤ賞2015主演女優賞、カルメン・マチ助演女優賞、ホセ・サクリスタン、2013主演男優賞)。演劇と映画の二足の草鞋派の俳優が多いのもキャリアから推して頷ける。

★本作については、最近ご紹介した『マジカル・ガール』のなかで、バルバラ・レニーやホセ・サクリスタンが出演する映画としてアップしております(コチラ⇒2016215)。

 

 

               (ミゲル・デル・アルコ監督)

 

   

             

     

ラウル・アレバロTarde para la ira”(2016年、スリラー)、共同脚本ダビ・プリド。製作者ベアトリス・ボデガス、セルヒオ・ディアス、撮影アルナウ・バルス・コロメル。予算120万ユーロ。ラウル・アレバロは脚本執筆に7年の年月をかけたが、撮影に6週間しかかけられなかったのはクレージーと嘆いている。マドリードとセゴビアのマルティン・ムニョス・デ・ラス・ポサダスというアレバロが育った町で撮影された。町の人々がエキストラとして協力しており、主人公の一人ルイス・カジェホはセゴビア出身。昨年7月マドリードでクランクインした。

キャストルイス・カジェホ(クーロ)、アントニオ・デ・ラ・トーレ(ホセ)、ルス・ディアス(アナ)、アリシア・ルビオ(カルメン)、マノロ・ソト、ラウル・ヒメネス、フォント・ガルシア、他

ストーリー:クーロとホセの物語、クーロには暗い大きな秘密の過去があった。最近刑務所から出所したばかりであり、過去の亡霊にとり憑かれている。アナと一緒に人生をやり直そうと思っているが、見知らぬ男ホセと出逢うことで歯車が狂ってくる。復讐と人間に潜んでいる暴力が語られるだろう。まだ詳細が見えてこないが、ルイス・カジェホとアントニオ・デ・ラ・トーレが主役とくれば期待したくなります。監督と俳優が互いに知りすぎているのは、時にはマイナスにはたらくことが懸念されるが。カルメン役のアリシア・ルビオは恋人。

 

 

   (ホセ役のアントニオ・デ・ラ・トーレ、映画から)

 

                                         

                                                (クーロ役のルイス・カジェホ、撮影中)

 

ウル・アレバロは、1979年マドリード生れ、俳優、監督、脚本家。クリスティナ・ロタの演劇学校で演技を学んだ。「妹と一緒に父親のカメラで短編を撮っていた。17歳でデビューしたのも映画監督になりたかったから」という根っからの映画好き。日本デビューはダニエル・サンチェス・アレバロの第1『漆黒のような深い青』06)がラテンビート2007で上映されたときで、監督と「義」兄弟の契を結んでいるアントニオ・デ・ラ・トーレも共演している。サンチェス・アレバロは合計4作撮っていますが、デ・ラ・トーレと同じに全てに出演しています。ゴヤ賞絡みではサンチェス・アレバロの第2『デブたち』09)で助演男優賞を受賞している。ホセ・ルイス・クエルダ、アレックス・デ・ラ・イグレシア、アルモドバル、アントニオ・バンデラス、『マーシュランド』のアルベルト・ロドリゲス、先日ご紹介したばかりのCien años de perdón のダニエル・カルパルソロなどに起用されている。舞台にも立ち、テレドラ出演も多く、NHKで放映された『情熱のシーラ』でお茶の間にも登場した。個人的に好きな作品が未公開なのが少し残念です。

           

             

                            (本作撮影中のラウル・アレバロ)

  

追記:邦題『物静かな男の復讐』で Netflix 配信されました。


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