カメラドールにセサル・アセベド*カンヌ映画祭2015 ⑧2015年05月27日 09:57

        パルム・ドール、意外な結果にブーイング

 

★ジャック・オディアールの“Dheepan”受賞に、「なんてこった」とブーイング。スペインのメディアもトッド・ヘインズの“Carol”か、ソレンティーノの“Youth”を予想している批評家が多かった。オール外れの人のなかには「コーエン兄弟は変わってるね」とやんわり。当ブログでも審査員メンバーを紹介したおり、「こんなに異質な船頭さんたちでは、船頭多くして舟、山に登るにならなければいいけど」と杞憂したんでした。どっちにしろ直ぐ公開されるから無冠でもいいか。

 

             

                     (パルム・ドール受賞のジャック・オディアール)

 

★嬉しいのはLa tierra y la sombra(“Land and Shade”コロンビア他)のセサル・アウグスト・アセベド≪カメラドール≫を受賞したこと。「批評家週間」の新人賞他に続いての大賞です。写真下はプレゼンターの大女優サビーヌ・アゼマとのツーショット、まさに夢心地とはこのことでしょう。大きなお土産を持って帰国できます。「この映画は個人的な痛みから生れた」、痛みとは脚本構想中に亡くなったという母親の死ですね。17年間の長期にわたる農民一家の物語ですから、勿論フィクションですが。

 

         

               (カメラドール受賞のセサル・アセベドとサビーヌ・アゼマ)

 

★コロンビアの躍進には、「映画産業を向上させようとする国家の財政的な減税や資金援助がある」とスペイン・メディアは報じています(スペインは、まさにその反対ですから)。ブラジル、フランス、アルゼンチンなどとの合作とはいえ、これは内戦中のコロンビアでは考えられないことでした。若い独立系の監督たちにとって、国家の資金的な大奮発は大きな支え、意欲をかきたてるに違いない。「監督週間」最優秀作品賞受賞のチロ・ゲーラEl abrazo de la serpiente”にも言えることです。今年のカンヌにはこの2作以外に紹介が間にあわなかったホセ・ルイス・ルへレスの“Alias María”(「ある視点」部門)とカルロス・オスナの“El concursante”(「シネフォンダシオン」部門)の4作がノミネートされていた。写真下左から“Alias María”、“La tierra y la sombra”、“El abrazo de la serpiente”、“El concursante”。

           (コロンビア発のノミネーション4作品のポスター)

 

ホセ・ルイス・ルへレスの長編第2Alias María(アルゼンチンとの合作)は、コロンビア内戦中の少女ゲリラ兵マリアの物語。ゲリラ兵御法度の妊娠をしてしまったマリアは、お腹の子供を守るため逃走を決心するが・・・。この映画はさまざまな武装グループにかつては所属していた女性たちのインタビューから生れた。民間人の脆さや傷つき易さ、戦争の不条理について問いかけている。ポスターは本作でデビューしたマリア役のカレン・トーレス。コロンビアでは既に4月に公開されています。

 

        

        (共演者のカルロス・クラビホ、カレン・トーレス、ルへレス監督、カンヌにて)