ダビ・トゥルエバ新作がアカデミー賞2015のスペイン代表に決定2014年10月24日 12:44

★ラテンビート上映の『Living Is Easy with Eyes Closed』(“Vivir es fácil con los cerrados”)がアカデミー賞スペイン代表作品に決定、ダビ・トゥルエバ監督がプロモーションを兼ねてロスアンジェルス入りしました。ロスで開催された「スペイン映画祭」のオープニング作品になりました(1016日)。梅田ブルク7は間もなく(1025日)、横浜ブルク13はちょっと先になります(118日)。このスペイン的色彩の濃い映画がノミネーション5作品まで生き残れるかどうかは難しそう。今年は最多の83カ国が参加、当ブログ紹介の作品もアルゼンチン、チリ、ベネズエラなどが顔を見せています。

この映画祭は、スペイン映画アカデミーICAAと教育文化スポーツ省、及び視聴覚製作者の権利運営機関EGEDAが主催しています。

 


★この映画祭のためトゥルエバの他、Caemina y aménの監督パコ・レオン、エミリオ・マルティネス・ラサロのバスク・コメディOcho apellidos vascos主演女優クララ・ラゴ、ハビエル・ルイス・カルデラのTres bodas de más主演男優マルティン・リバスも現地入りしてスピーチしました。いずれも今年のスペイン映画の話題作です。トゥルエバ曰く、「クララとリバスは英語でスピーチしたんだよ、観客の多くはヒスパニック系でスペイン語が分かるんだけど」。「コッチで映画に出ることを熱望してるんだ」と皮肉やのトゥルエバは冗談を飛ばしていました。他にも『スガラムルディの魔女』、ダニエル・サンチェス・アレバロのLa gran familia espanolaも上映されました(ゴヤ賞2014やマラガ映画祭などで既に紹介しています)。

 

               

                        (スペイン映画祭でのダビ・トゥルエバ)

 

★最終候補に残るには、少なくともロスで1週間以上の一般公開が必要条件です(アメリカ主催の映画祭上映、映画祭で受賞してもダメ)。勢い配給会社の力関係が決め手になるようです。トゥルエバ作品は、Outsider Picturesと小さいところなので、とても難しいと悲観的。それでも「この映画はアメリカ人好みではないかもしれないが、アカデミーのメンバーはシネアストで無知ではない。彼らはスペインの歴史にも詳しく、サウラからアルモドバルの映画を見てきているからね。会員は一般の米国人とは違って、エリート集団だ」と望みを託している。一般の米国人はエリートではない?

 

★会員の加齢が進んで最近の受賞作を見ると、老いとか死がテーマになっていると強い。例えば『みなさん、さようなら』(03)、『海を飛ぶ夢』(04)、『おくりびと』(08)、『愛、アムール』(12)、または信念を持って権力と闘う人がテーマ『善き人のためのソナタ』(06)、『瞳の奥の秘密』(09)など。発表は来年1月中頃、監督にとって今年は長い冬になりそうです。

 

ラテンアメリカ諸国の代表映画リスト

 

◎ アルゼンチンRelatos salvajesWild Tales)ダミアン・ジフロン (西合作)

カンヌFF 522日/トロントFF 815

 


   ウルグアイ Mr. Kaplan  アルバロ・Brechner

   エクアドル  En la tierra de los SueñosSilence in Dreamland)ティト・モリナ

   キューバ ConductaBehavior)エルネスト・ダラナス

マラガ映画祭2014「ラテンアメリカ部門」で作品賞・監督賞他を受賞(44

  ダラナスは2回目、『壊れた神々』(2008、ラテンビート2009)がキューバ代表作品だった。

 

                

               (女優賞受賞のアリーナ・ロドリゲスとアルマンド・バルデス)

   コスタリカ Princesas rojas Red Princesses)ラウラ・アストルガ(ベネズエラ合作)

  マラガ映画祭(44)、ベルリン映画祭、グアダラハラ映画祭、各出品

   コロンビア Mateo マリア・ガンボア(仏合作)

   チリ Matar a un hombreTo Kill a Man)アレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラス

ラテンビート2014『殺せ』の邦題で上映 108

 


   ベネズエラ LibertadorThe Liberator)アルベルト・アルベロ(西合作)

ラテンビート2014『解放者ボリバル』の邦題で上映

トロントFF 2013 「ガラ・プレゼン」2013916

 

        

       (宣伝ポスターをバックにアルベロ監督)

   ペルー El evangelio de la carne エドゥアルド・メンドーサ・エチャベ

   ボリビア Olvidados カルロス・ボラド

   メキシコ Cantinflas セバスティアン・デル・アモ

 

★今年のメキシコは良作揃いで予想できませんでしたが、“Cantinflas”は意外でした。ペルーはモントリオール映画祭2014「ワールド・コンペ」出品の“Perro Guardián”(監督:バチャ・カラベド他)を予想しておりました(94)。ショートリスト9作品は12月中、ノミネーションは年が明けた1月中頃になるはずです。