カンヌ映画祭2014*「ある視点」ハイメ・ロサーレス2014年05月04日 14:55

★昨年はルシア・プエンソの『ワコルダ』(アルゼンチン)、ディエゴ・ケマダ・ディエスの La jaula de oro(メキシコ)の2作がエントリーされました。前者は「ラテンビート2013」上映に合わせて作品紹介を致しました(1023日)コチラ。後者は「ある才能賞」(Prix un talent certain)に初出演のキャストたちが受賞しました。第28回ゴヤ賞2014*イベロアメリカ映画賞部門にメキシコ代表作品としてエントリーされた折り、少しご紹介いたしました(115日)コチラ。監督と一緒にカメラに収まっている3人が受賞者。


今年もなんとか
2作が踏みとどまりました。ハイメ・ロサーレスの Hermosa juventudBeautiful Youth 西)とリサンドロ・アロンソの Jauja(デンマーク==アルゼンチン)の2作。
 


★まずスペインのHermosa juventud はハイメ・ロサーレスの5作目、カンヌ入りは4回目となる。ということは5戦4勝ですから勝率8割という高い確率、スペインではちょっと珍しい監督です。ハイメ・ロサーレスは一部で注目を集める監督、特にカンヌでは確かにそういう印象を受けます。前回は2012年ですから2年振り、寡作な監督としてはガンバっているといえます。

 

*ストーリー:経済的危機から一向に抜け出せないでいる現代スペインが舞台、恋人カルロス(カルロス・ロドリーゲス)とアマチュアのポルノ映画を撮ろうとするナタリア(イングリッド・ガルシア・ヨンソン)の物語。二人は共に二十歳、美しいが運に見放されたナタリアに特別な野心はないが、生き残るにはお金を稼がねばならない。

 

(写真:イングリッド・ガルシア・ヨンソン

ロサーレスによると、現代のスペインの若者には良くも悪くも未来が描けないという。「勿論、皆ながみんなそうだとは言ってない、たくさんの青春があり、現実がある。そのなかで私たちは将来に行き詰まり状況を変えられずにいる、未来は黒一色に染め上げられている若者たちに焦点を当てた」。今年2月に撮影を終え、3月にミキシングを終えたばかりでカンヌに間に合わせたという。「ほんとに小さな映画、若い人と一緒に仕事をして、自分は教師でもあり生徒でもあった」と語っています。「教えることは学ぶこと」は真理です。日本から見ると20代の失業率60%は想像できない。経験もなくチャンスもなければ、自らアクションを起こす必要があるのかもしれない。

 

*長編映画の主役は初めてというイングリッド・ガルシア・ヨンソン Ingrid Garcia-Jonsson は、スウェーデンの女優だが幼少時はセビリャで育ち、のちマドリードに居を定めている。2006年から舞台俳優としてデビュー、映画はヘスス・プラサの短編 Manual for Bored Girls2011)でブロンドの少女役が初出演、代表作はマヌエル・バルトゥアルの長編Todos tus secretos2014)、アルバロ・ゴンサレスの短編 El jardinero2013)など。スペイン語の他、英語、仏語、勿論スウェーデン語ができる。(写真右がイングリッド・ガルシア)


*ハイメ・ロサーレス:1回目の2003年は、デビュー作 Las horas del día が幸運にも「監督週間」にエントリー、国際映画批評家連盟賞を受賞してしまった。次が「ある視点」部門に出品された La soledad2007)です。イマジカBSの前身シネフィル・イマジカが放映してくれた『ソリチュード:孤独のかけら』(118日に作品紹介をUP、詳しくはコチラ)、ETAをテーマに無声で撮った Tiro en la cabeza 2008)は、5月のカンヌで蹴られ、9月のサンセバスチャンに持っていくも不発というか物議をかもしただけに終わってしまった。見ればそれも納得なのでしたが。理論先行でしばしば観客を置いてけ堀にしてしまうタイプ。3回目が「監督週間」に出品された Sueño y silencio2012)、Tiro en la cabezaでトラウマを抱えてしまったのかカンヌに持っていくのを間際まで躊躇していた。 


ロサーレスは1作ごとにスタイルを変えるのが特徴、第4作はモノクロで撮り、キャスト陣はアマチュアを起用した。娘を亡くしたばかりのパリに住む夫婦が、エブロ川のデルタでバカンスを過ごそうとやってくる。彼の映画には「死」が描かれることが多いが、それは「生」を際立たせるためのようです。ラストシーンはモノクロを活かして素晴らしい。2012年はモノクロが流行った年で、フェルナンド・トゥルエバが『ふたりのアトリエ』を、パブロ・ベルヘルが『ブランカニエベス』をモノクロで撮りました。

 

*ロサーレスのキャリア紹介1970年バルセロナ生れ、監督、脚本家、製作者。同市のフランス系高校で学ぶ。経営学の学士号取得している。映画はハバナの映画学校サンアントニオ・デ・ロス・バニョスで3年間学ぶ。その後オーストラリアに渡り、シドニーのAFTRSBEAustralian Film Television and Radio School Broadcasting Enterteinment)で学ぶ。影響を受けた監督としてフランスのロベール・ブレッソンと小津安二郎を上げています。

1997年短編 Virginia no dice mentira を発表、短編多数、長編は以上の通り。

 

(写真はHermosa juventud を撮影中の監督)

アルモドバルとかアメナバルのような有名監督は別にして、スペインでは9月に開催されるサンセバスチャンやベネチアに焦点を当てて製作される傾向にあります。そうはいっても相当のヘソ曲がりでもない限りカンヌは無視できません。2012年からはサンセバスチャン関係者もカンヌ映画祭とのコラボを推進すべく路線変更をしています。

  

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