ハイビジョン化されたスペイン映画&イタリア映画300本 ― 2014年03月13日 15:25
★高解像度(ハイビジョン)されたスペイン&イタリアの主にクラシック映画が毎月10~12本のペースで発売されることになりました。最終的には300本の予定とか。2年半ぐらい掛かりますね。かなり悲惨な状態にある作品もあり厳しい作業のようです。
★価格は作品によって異なり、ブルーレイが14~18ユーロ、DVDが9.95~11.95ユーロです。初回3月発売12作品リストは以下の通り(国名表示がないものはスペイン)
1 『ベルエポック』(1992)フェルナンド・トゥルエバ
2 『マタドール』(1986)ペドロ・アルモドバル
3 El último cuplé(1957)フアン・デ・オルドゥーニャ、サラ・モンティエル主演のヒット作
4 Gringo(1963西伊合作)リカルド・ブラスコ、ジャンルはウエスタン
5 Historias
de la radio(1955)ホセ・ルイス・サエンス・デ・エレディア
6
La
Lola se va a los puertos(1947)フアン・デ・オルドゥーニャ、ジャンルはミュージカル
7 La
violetera(1958)ルイス・セサル・アマドリ、サラ・モンティエル主演、ミュージカル
8 Le
llamaban Trinidad(1970伊)エンゾ・バルボニ、ジャンルはウエスタン
9 Las 13
rosas(2008)エミリオ・マルティネス・ラサロ
10 Plácido(1961)ルイス・ガルシア・ベルランガ、ジャンルはブラック・コメディ
11 『汚れなき悪戯』(1954)ラディスラオ・バフダ
12 『自転車泥棒』(1948伊)ヴィットリオ・デ・シーカ
★お目当ての映画がありましたでしょうか。2000年以降に製作された作品も混じっておりますが、フアン・デ・オルドゥーニャ、ラディスラオ・バフダやルイス・ガルシア・ベルランガのような古典が主流のようです。また、デ・シーカの『自転車泥棒』のように粒子は悪くてもしばしばテレビで放映されている作品も選ばれています。(写真はLa Lola se va a los puertos のポスター)
★画像に「雨が降っている」のも当時が偲ばれて趣があるかかもしれません。まずオリジナル板の保存が大切で、修復はそれからだという意見もあるでしょう。絵画の修復画家のように技術だけでなく芸術としての映画の重要性を理解している人が携わるべきで、ただ画像が鮮明になっただけでは戴けません。フィルムの荒い粒子の修復だけでなく、光の入れ方、濃淡も考慮されなくてはならない。しかし音声も復元されるので、ノイズの入っていないかつてのスターたちの歌声が聴けるのは収穫です。フランコ時代には厳しい検閲を通過させるためミュージカル仕立てが多かった。
★「すごい美声だった」という話しか聞かされていない若い人、外国人には朗報、そのなかにフローリアン・レイのミュージカル“Carmen
la de Triana”(1938「トリアナのカルメン」仮題)があり、往年の大女優インペリオ・アルヘンティーナ(1910~2003)がカルメンになったのでした。ブエノスアイレスで生れたので付けられた芸名。
(写真は修復されたホセ役のラファエル・リベリェス)。
★ルイス・ガルシア・ベルランガ(1921~2010)は、スペインで一番愛された監督でありながら日本では映画祭上映のみ、公開ゼロという稀有な存在。第1回発売に“Plácido”(「プラシド」仮題)が選ばれたのは嬉しい。オリジナルのネガから修復された“Calabucu”(1956「カラブッチ」仮題)も発売予定のようです。(写真はプラシド役のカスト・センドラ“カッセン”)。
★サラ・モンティエル(1928~2013)は、インペリオ・アルヘンティーナの次の世代の大スター、昨年鬼籍入りしたときはテレビで大特集が企画されたほどでした。
(写真はLa violetera のサラ・モンティエル)
★アルモドバルの『バッド・エデュケーション』のなかで、まだ少年だったイグナシオとエンリケがサラ・モンティエルの出演した映画を見に行くシーンがありました。多分オマージュとして挿入したのでしょうね。今回の『マタドール』とデビュー作“Pepi, Luci, Bom y otras chicas del montón ”(1980)だけエル・デセオの製作ではない。
(写真は『マタドール』撮影中のアルモドバル、エバ・コボ、チュス・ランプレアベ)
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