ナタリア・ベルベケ来日『屋根裏部屋のマリアたち』上映とトーク2013年12月08日 11:55

★ナタリア・ベルベケさん来日につき、セルバンテス文化センターで映画上映とトークがあります。既に予約受付終了となっております。映画上映後「ラテンビート」プログラミング・ディレクターのアルベルト・カレロ氏とのトーク・セッションが予定されています(12111800~)

 

★フランス映画祭2011で『6階のマリアたち』の邦題で上映されたラブ・コメディ。20127月、『屋根裏部屋のマリアたち』と改題されて劇場公開されました。スペインではLas chicas de la sexta planta20126月に公開。

監督:フィリップ・ル・ゲー 

   

キャストファブリス・ルキーニ(ジャン=ルイ/サンドリーヌ・キベルラン(妻シュザンヌ)/ナタリア・ベルベケ(マリア)/カルメン・マウラ(マリアの叔母コンセプシオン)/ローラ・ドゥエニャス、他

製作:フランス、2010年、106分 

言語:フランス語・スペイン語

 

 (マリアとジャン=ルイ)
             

プロット1960年代初頭のパリ。株式ブローカーのジャン=ルイは、妻や子供たちと堅実だが退屈な日々を送っていた。しかし同じマンション6階の屋根裏部屋に、スペインから出稼ぎにきた6人のメイドが引っ越してきたことで一変する。ジャン=ルイは開放的なスペイン女性たち、とりわけメイドとして雇ったマリアのユーモアと賢さに魅了されていく。妻から顧客との不倫を疑われ追い出されたジャン=ルイは、屋根裏部屋の≪新住人≫として自由を手に入れる。自分が幸せでいられる場所はどこでしょうか。                                                 (文責:管理人)

 

ル・ゲー監督は子供の頃に過ごしたスペイン人メイドの思い出がこの映画のもとになっていると語っている。それは当時を忠実に再現した美術や衣装に反映されており、エリック・ロメールの『しあわせの雨傘』、ロラン・ティラールの大ヒット作『モリエール:恋こそ喜劇』でお馴染みの名優ファブリス・ルキーニが、若いマリアに翻弄される悩めるオジサンをコミカルに演じている。スペインの大女優カルメン・マウラがマリアの叔母役、「ラテンビート2013で先行上映されたアルモドバルの最新コメディ『アイム・ソー・エキサイテッド!』に出演のローラ・ドゥエニャスもメイドの一人として出演、演技に定評のあるスペイン女優たちが活躍、本国フランスで大ヒットしたフレンチ・コメディ。

 

ナタリア・ベルベケ Natalia Carolina Verbeke Leiva は、1975年ブエノスアイレス生れ。1986年、11歳のとき家族と共に父親の政治的理由でマドリードに移住、スペインに帰化したアルゼンチン出身の女優、ベルベケはベルギー系の苗字。高校卒業後、Real Escuela Superior de Arte Dramáticoで学び、またEscuela Guindaleraではフアン・パストールに師事する。更にジョン・ストラスバーグ・スタジオでプロとしての演技を磨いた。コンテンポラリー・ダンス、バレエ・フラメンコはビクトル・ウリャテに師事した。イギリスの「ユース・シアター」でシェイクスピア劇『真夏の夜の夢』の舞台経験もある。

 

    主な出演映画

1998Un buen novioヘスス・・デルガド、スペイン、西語、コメディ・スリラー

1999Nadie conoce a nadieNobodey Knows Anybodyマテオ・ヒル、スペイン、西語。邦題『パズル』で20016月公開

2001El hijo de la noviaSon of the Bride)フアン・ホセ・カンパネラ、アルゼンチン=スペイン、西語。2002年トゥリア賞スペシャル賞受賞

2002El otro lado de la camaThe Other Side of the Bed)エミリオ・マルティネス・ラサロ、スペイン、西語、コメディ。2002Ondas Awardeベスト女優賞受賞

2003Días de fútbolSoccer Days”)ダビ・セラーノ、スペイン、西語・英語、コメディ

2003El punto sobre la IDot the I)マシュー・パークヒルのデビュー作。イギリス=スペイン=アメリカ、英語、スリラー・ドラマ。『ドット・ジ・アイ』の邦題で20047月公開

2005Tempestaティム・デズニー、ルクセンブルグ=スペイン=イギリス他、英語、スリラー。邦題『ヴェネツィア・コード』(2006DVD発売)

2005El métodoThe Method)マルセロ・ピニェイロ、アルゼンチン=スペイン=イタリア、西語・英語・仏語

2006GAL”ミゲル・コルトワ、スペイン、西語・仏語

2007Arritmia”(Guantanamero)ビセンテ・ペニャロチャ、イギリス=スペイン、西語・アラビア語・英語、ミステリー・ドラマ。『悪魔のリズム』の邦題で200811月公開

2010Les Femmes du 6e étageフィリップ・ル・ゲー、『屋根裏部屋のマリアたち』(上記)

 

 (『ドット・ジ・アイ』でのナタリアとG.G.ガエル)
      

Un buen novioで映画デビュー、スリラー・コメディとしての作品評価は低かったが、無名の新人ナタリア・ベルベケの演技が評判になった。マテオ・ヒルの『パズル』は、第13回東京国際映画祭に『ノーバディ・ノウズ・エニバディ』の邦題で上映され公開時に改題された。当映画祭には監督や人気絶頂のエドゥアルド・ノリエガも来日、女性ファンが押しかけた。話は逸れるが、この2000年はアレハンドロ・イニャリトゥの『アモーレス・ペロス』が話題を攫った年でもあった。来日こそしなかったがガエル・ガルシア・ベルナルがカンヌで巻き起こした旋風からグランプリ受賞は最初から決まっていた。ナタリア・ベルベケは、『ドット・ジ・アイ』でG.G.ベルナルと共演している。「ラテン・アメリカ映画」の小特集も組まれ、ダニエル・ブルマンの『エスペランド・アル・メシアス』以下5作品が上映された。椿事も幾多あったが、とにかくスペイン、ラテンアメリカ映画がかためて見られた年でした。

(”GAL”のワンシーン、共演者ホセ・ガルシアと)

       

★ナタリア・ベルベケはコメディを得意としていますが、マルセロ・ピニェイロEl métodoのコケティッシュだが実はやり手の秘書役、スペイン現代史(1980年半ば)の負の部分を描いた、ミゲル・コルトワGAL”のジャーナリスト役などで好演している。コルトワはフランスの監督ですがスペイン語映画もGAL”を含めて3作撮っており、いずれも現代社会にメスを入れた問題作です。El métodoはセルバンテス文化センター土曜映画会(20135月)で英語字幕で上映されました。

 

★恋多き女性らしく最初のパートナーは故ピラール・ミロー監督の子息ゴンサロ・ミロー、次の闘牛士ミゲル・アベジャンとはかなり長かったが、現恋人はゴンサロ・デ・カストロ、人気TVドラマ・シリーズDoctor Mateo200911)の共演者。ナタリアはアドリアナ・ポスエロ役で53話に出演、2010年にテレビ・アワードを受賞している。最近はテレドラの出演が多く日本のファンとしては新作映画が待たれます。