『暗殺者と呼ばれた男』Q&A*第10回LBFF2013 ― 2013年10月29日 15:36
10月12日上映後のQ&A
出席者:カタリーナ・サンディノ・モレノさん 司会者:アルベルト・カレロ氏
司会者:(アンドレス・)バイスとの出会いはどのようなものだったのですか。
カタリーナ:第1作のときにも、第2作のときにもオファーがあったが、調整がつかなくてお断りした。3回目のオファーを頂いてやることにしたのです。実はコロンビアでの撮影は初めてだったのです。「マジック」と違って家族のいるボゴタだったのでリラックスできたし、3カ月の撮影期間には家族もスタジオに見学に来てくれた。「マジック」で味わった孤独はなかったのです。自国の歴史的事件でもあり、そういう映画に出会えてよかったと思っています。祖母から当時の「ボゴタッソ」の話も聞いていましたから。
(管理人:第1作とは『ある殺人者の記憶』、第2作とは『ヒドゥン・フェイス』を指しています。デビュー作『マリア、そしてひと粒のひかり』も『コレラの時代の愛』も撮影はアメリカでしたから、コロンビアでの撮影は初めてになります。ボゴタッソとはガイタン暗殺のあった1948年4月9日のボゴタ暴動、ボゴタだけでなくコロンビア全土に波及したので、現在では「4月9日事件」と言われているようです。)
司会者:コロンビア映画の現状はどうですか。
カタリーナ:コロンビアでも映画推進協会ができて後押ししてくれるようになった。やはり機材や音響技術の進歩、俳優の演技も良くなってきている。麻薬物、ゲリラ物以外の新しいジャンルとしてホラーも作られている。まだ映画よりテレビが主流です。
シルバ:今後の予定としては何を撮るの?
カタリーナ:自分は目下テレビの仕事をしているが、1時間使って撮ったものが20分に編集されたりしてムダが多い感じがします。個人的には映画のほうが好きです。
(管理人:シルバ監督は前の席で鑑賞していた。やはり映画のテイストは違っていても他監督作品を見るチャンスは逃さない。)
質問1:政治的なテーマの作品が多いが、そういうテーマが好きなのでしょうか。
カタリーナ:コロンビアだけでなくラテンアメリカ映画は政治的な映画が多い。私が選んでいるのではなく、監督が私を選んでくれているのです。
質問2:古い時代なのにボゴタの街並みの雰囲気が残っていてよかった。
(管理人:質問者は俳優にする質問ではないがと断っていたが、通訳に混乱もあってカタリーナさんは、質問の主旨が分からず答えに窮していた。)
質問3:ボゴタは現在もスペイン時代のコロニアル建築物が残っていて街並みはあまり変わっていません。
(管理人:日本語も分かるコロンビア人らしい女性から助け舟の説明がありました。ここも若干通訳に混乱があり、最終回上映後のQ&Aは参加者全員にとってハードということもあって課題の残る結果になりました。)
★個人的には『ある殺人者の記憶』(“Satanás”)のほうが気に入りました(邦題に問題ありとしても)。コロンビア国民には教科書で習う歴史的事件でも、当時ボゴタ大学の法学部学生だったガルシア・マルケスの自伝風エッセイ『生きて、語り伝える』(2002、訳書2009)の読者とか、ラテンアメリカ政治史に興味のある人以外の外国人には馴染みがない。
★ちょうど第9回汎米会議開催中で各国代表がボゴタに滞在、それに合わせてアメリカ帝国主義打倒を目指すラテンアメリカ学生会議も開催されていた。ハバナ大学の学生代表だったフィデル・カストロも仲間と滞在しており、当日午後二時にガイタンと二度目の会談をする予定だった。フィデルはまだコミュニストではなかったし、マルケスとも面識がなかったが、お話し作りの上手な二人は、後に尾鰭を付けてアレコレ語ることになる。
★暗殺者は今もって謎のままですが、仮に映画のようにフアンが陰謀に巻き込まれて暗殺者に仕立てられたとするなら、映画の時代背景をもう少し描く必要があります。ガイタンを崇拝していた失業中の夢見がちな男に何故白羽の矢が立てられたのか。また力演でしたが当時26歳だったというフアンを、40歳のマウリシオ・プエンテスが演じるには無理があったように感じました。
★監督・キャスト紹介は、『暗殺者と呼ばれた男』*第10回LBFF④に詳述してあります。
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