アルベルト・アルベロ”Libertador”*トロント映画祭④ ― 2013年09月16日 11:06
★トロント第4弾は、「ガラ・プレゼン」に唯一エントリーされたベネズエラ=スペイン合作のベネズエラ映画、英題“The Liberator”(2013)、何かの賞に絡むことを祈ってご紹介。ベネズエラ解放独立の父シモン・ボリーバル(1783~1830)の栄光と挫折の日々を描く力作。今年はボリーバル生誕230年ということから、3人の監督がそれぞれの視点から≪ボリーバル映画≫を製作しています。つまり3人のボリーバル誕生です。その一人が本作登場のエドガー・ラミレスです。あのオリヴィエ・アサイヤスの『カルロス』(2010、LBFF2011上映)で伝説のテロリスト、カルロス・ザ・ジャッカルを演じた俳優。
*監督紹介*
アルベルト・アルベロ(・メンドーサ)Alberto Arvelo Mendoza、1966年カラカス生れ。監督、脚本家、撮影監督。詩人アルベルト・アルベロ・ラモスを父に、音楽家アルベルト・アルベロ・トレアルバの孫。ロスアンデス大学で歴史を専攻、1986年に監督・脚本家としてデビューする。
1986“Candelas en la niebla”“La
canción de la montaña”共に監督・脚本。
1997“Una vida y dos mandados”(One
Life and Two Trails”)同上。Freddy
Sosa の同名小説の映画化、ニューヨークのラテンアメリカ映画祭で脚本賞を受賞。
2001“Una casa con vista al mar”(“Hause with a View of the Sea”)同上。ビアリッツ、ウエルバ国際映画祭等で観客賞受賞。ハバナ映画祭でグラウベル・ローシャ賞も受賞(イマノル・アリアスやレアンドロ・アルベロが出演)。
2004“Habana, Havana”同上
2006“Tocar y luchar”(“To Play and To Fight”)ドキュメンタリー*
2007“Cyrano Fernández”監督・脚本。
2013“Libertador”同上。
*「シモン・ボリーバル・ユース・オーケストラ・システム」の沿革をインタビューと演奏を交えて製作したドキュメンタリー。プラシド・ドミンゴ、クラウディオ・アバド、サー・サイモン・ラトル、ジュゼッペ・シノーポリ、などなどを感動させ出演させた感動の記録。グスタボ・ドゥダメルの若い指導者の熱意と謙虚さに拍手。楽器を触るどころか見ることもなかった貧しい子供たちにクラシック音楽を楽しむことで人生を豊かにしていく軌跡は涙なしには見られない。マイアミ映画祭の観客賞を皮きりに、ヒューストンのラスアメリカス映画祭ドキュメンタリー賞、シカゴのラテン映画祭審査員特別賞、ベネズエラ国内のドキュメンタリー部門の賞を攫った。本作は2011年2月公開されたシネ響「マエストロ6」の一環として製作された映画『グスターボ・ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ』とは別の作品です。オーケストラは来日公演をしておりますからライブを聴かれた方もいらっしゃるでしょう。
(写真上:“Libertador”をバックにアルベルト・アルベロ)
*キャスト*
シモン・ボリーバル:エドガー・ラミレス
マリア・テレサ・ボリーバル妻:マリア・バルべルデ
アントニオ・ホセ・デ・スクレ将軍:エーリヒ・Wildpret
マヌエラ・サエンス:フアナ・アコスタ
ほか、“Una casa con vista al mar”に出演したイマノル・アリアスとレアンドロ・アルベロ、ダニー・ヒューストンなど。
アレバロ監督作品としては“Cyrano Fernández”にフェルナンデス役で起用されていた。
(写真:エドガー・ラミレス、2011年5月カンヌにて)
★Erich Wildpret ベネズエラの国立演劇学校で教育を受けた。メキシコ、イギリスでも学び、特に重要なのは新分野に挑戦しようとロスアンジェルスでも学んだこと。2010年あたりからベネズエラで活躍、今ではベネズエラの中心的存在となっています。ホセ・(ラモン・)ノボアの“Un lugar
lejano”(2010“A Distant
Place”)の主役、マルガリータ・カデナスのデビュー作“Cenizas
eternas”(2011“Eternal
Ashes”)に出演、本作はモントリオール国際映画祭金賞にノミネートされた。ホセ・ノボアは東京国際映画祭1995で“Sicario”が『少年ハイロ、迷走の果て』の邦題で上映され、最優秀監督賞を受賞したウルグアイの監督。
★“Libertador”製作中から期待も大きく、数多くのインタビューに応じています。難しいのはボリーバルという誰でも名前なら知っている革命家にして思想家でもあった人間の複雑な性格というか生き方だったそうです。テーマがあまりに大きすぎて、どこから手をつけたらいいのか、何を入れ何を外すか、それで映画を撮る前に、まずスペイン内戦をテーマにした映画を見ることから始めたと。6年の沈黙は長すぎたと思いますが、言われてみれば分かることですね。ガルシア・マルケスの『迷宮の将軍』(新潮社刊)を読まれた方は納得してもらえると思います。
アレックス・デ・ラ・イグレシア新作*トロント映画祭⑤ ― 2013年09月16日 13:00
アレックス・デ・ラ・イグレシア、観客賞次点に入賞
★ご紹介がすむ前に結果が発表されてしまいました。アレックス・デ・ラ・イグレシアの“Las brujas de Zugarramurdi”が、Midnight Madness部門のピープルズ・チョイスの次点に入りました。これから始まるサンセバスティアン国際映画祭SIFF(9月20日~28日)のコンペティション外に出品が決まっていたのでそちらでと思っていました。
★キャストはデ・ラ・イグレシア作品にお馴染みの面々、シリーズ“Rec”のニーニャ・メデイロス役の大当たりから『気狂いピエロの決闘』『いのちの花火』(DVD題ですが、原題に辿りつくのが・・・)に起用されたハビエル・ボテ、大物サンティアゴ・セグラ、アルモドバル作品にはもう出ないがアレックスのには出ると発言していたカルメン・マウラ、ピエロ役だったカルロス・アレセス、あのテレレ・パベスも凄いメーキャップで登場、マカレナ・ゴメス、お茶の間を卒業したマリオ・カサス、ウーゴ・シルバ、加えてマリア・ブランコ、ペポン・ニエト・・・など、曲者役者をどう泳がしたか楽しみです。もう劇場公開、少なくともDVDは間違いなしでしょう。
★SIFFの9月22日上映の後、早くも27日からスペイン公開、フランス10月、ロシア11月が決定しています。アメリカのオースティン・ファンタジック・フェスティバルで“Witching and Bitching”の英題で9月26日上映。
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